ロシアのプーチン大統領が9日、対ドイツ戦勝記念日の式典で演説を行い、ウクライナへの軍事侵攻を正当化した。演説の要旨は以下の通り。

「ロシアの安全のため」の戦い
祖国の防衛は、その運命が決まろうとする時、いつも神聖なものだった。本物の愛国心を持ち、祖国を守るためにミーニンとポジャルスキーの民兵が立ち上がりボロジノでロシアを守ったように、モスクワやレニングラード(サンクトペテルブルク)、キエフ(キーウ)やミンスク、スターリングラード(ボルゴグラード)やクルスク、セバストポリやハリコフ(ハルキウ)で戦ってきた。そして今も皆さんはドンバスで我々の人々のために戦っている。我々の祖国・ロシアの安全のために。

ウクライナ侵攻「唯一の正しい決定」
去年12月、我々が安全保障に関する合意を結ぼうと提案したとき、西側に対しても共通の利益を考慮にいれた解決策を模索しようと対話を呼びかけたが、すべて無駄だった。NATO諸国は我々に耳を貸さなかった。彼らは全く別の計画を持っていたということだ。我々はそれを見ていた。クリミアを含む我々の歴史的な土地への侵入のために、ドンバスにおける新しい威圧的な軍事作戦の準備が行われていた。ウクライナ政府は核兵器の取得の可能性について明らかにした。NATOが我が国に隣接する領土への積極的軍事開発に着手した。このような我々が絶対に受け入れられない脅威が我々の国境で体系的に形成された。こうしたことすべてが、米国と若きパートナーが望みをかけたネオナチ派、バンデーラ派との衝突を避けられないものだということを示した。
我々は、どのように軍事インフラが整備されているか、何百人もの外国人顧問がどのように業務をはじめているか、NATO諸国から定期的に最新の兵器が供与される様子を目の当たりにしてきた。危険は毎日増大していた。ロシアは攻撃に対する先制的な打撃を与えた。それが最もタイミングを得た、唯一の正しい決定だった。主権を持ち、強く、独立した国の決定だ。
米国は特にソ連崩壊後、自身の優位性について主張し始め、全世界のみならず、何にも気づかないふりをしてすべてに従わざるを得なかった衛星国にも屈辱を与えた。
我々は別の国だ。ロシアは別の性格を持っている。我々は祖国に対する愛、信頼、伝統的な価値、先人たちの習慣、そして人々と文化に対する敬意を忘れない。しかし、西側ではこうした千年の価値観を全部無視すると決めたのだ。このような道徳の低下は、大祖国戦争(第2次世界大戦)の買い残の基礎となり、ロシア嫌いや裏切り者の賞賛し、犠牲者を辱め、戦勝をもたらし勝ち得た人々の勇気を消し去った。モスクワのパレードに行きたいと思っていた米国の退役軍人は、事実上それを禁じられたことも知っている。我々はそうした人たちに知ってほしい。我々があなたたちの功績や、共通の勝利のためのあなたたちの貢献を誇りに思っていることを。我々は連合軍すべての兵士、レジスタンスの参加者、中国のパルチザン、ナチズムと軍国主義を打ち負かしたすべての兵士を称える。

団結した多民族国家の力
我々の軍とドンバスの民兵組織の皆さんに申し上げる。あなたたちは、祖国のため、その未来のため、そして大祖国戦争(第2次世界大戦)の教訓を忘れないために戦っている。虐殺者やナチスのための場所がこの世界に存在しないために。今日、我々は大祖国戦争(第2次世界大戦)によって命を奪われたすべての世代の人々の記憶の前に頭を下げる。
現在、様々な民族の兵士が、兄弟のように武器で互いを守っている。これはロシアの力であり我々の団結した多民族国家の偉大な、壊すことのできない力だ。あなたたちは我々の父、祖父、曾祖父たちが戦ってきたものを守っている。
大祖国戦争(第2次世界大戦)でナチズムを打ち破った人々は常に我々に英雄主義の模範を示している。この勝者たち世代を我々は常に尊敬する。
我々の勇敢な軍に栄光あれ!ロシアのために!勝利のために!万歳!
