持続可能な開発目標「SDGs」を子供たちに楽しく学んでもらおうと、静岡市の大学教授や学生が「SDGsすごろく」を制作した。スポーツを題材に取り入れて、SDGsの「17の目標」を遊びながら理解できるよう工夫がしてあるという。どんなゲームなのか取材した。
スポーツを題材に親しみやすく
制作したのは静岡市にある常葉大学健康プロデュース学部の木村佐枝子教授とゼミの学生たちだ。
ポイントはスポーツをテーマに取り入れたことだ。スポーツが持つ、人々を集めたり巻き込んだりする力を活用して、SDGsの認知度の向上を図ろうと考えた。
常葉大健康プロデュース学部・木村佐枝子教授:
切り口はオリンピック・パラリンピックですが、スポーツは日常的なものなので今後ずっと続いていきますし、その中で子供たちが1つでも実践できるようになればいいなと
クイズで学ぶ「17の目標」
いったいどんなすごろくなのだろう。高里絵理奈アナウンサーが常葉大学の学生たちと体験してみた。
高里アナ:
(サイコロふって)「3」です。3つ進み「10番」に来ました
SDGsの目標10番「人や国の不平等をなくそう」に止まった。サイコロをふってSDGsの項目が書かれているマスに止まったら、その番号の目標に関するクイズを出題する。
目標10番の問題が読み上げられた。
高里アナ:
日本の女子プロ野球チームはいくつあるでしょうか。(選択肢は)「0球団」、「3球団」、「6球団」
学生:
あまり聞かない。部活でも女子の野球部はあまりないですよね。サッカーも野球も(部活は)男子だけだったので、(女子プロ野球チームは)あまりないのかな
クイズの正解は「0球団」。日本には女子プロ野球のチームはない。
木村教授が意識したのは、世界の課題を身近な問題として感じられるクイズの制作だ。
常葉大・木村教授:
これなら自分たちもできそうだというところまでもっていかないと。遠い世界のことみたいな感じになると、「自分たちは関係ない、自分たちがやらなくても別にどうもない」みたいな感じになってしまう
サイコロを振って、次に止まったのは目標14番「海の豊かさを守ろう」だ。
学生:
スポーツでは、よくペットボトルで水分を補給します。さて日本人が年間で飲んでいる1人あたりのペットボトルの本数は平均何本でしょうか。(選択肢は)「約50本」、「約100本」、「約200本」
別の学生:
1日に3本飲んじゃうからな
高里アナ:
でも今マイボトルを持っている人も増えてるよね
別の学生:
自分の家でペットボトルはそんなに飲まないけど、買ってる人は家のお茶や麦茶も買ってる
正解は「約200本」だ。普段のペットボトルの消費を減らすことでプラスチックごみを削減でき、海の豊かさを守ることにつながる。
まずは身近なところから
全員がゴールにたどり着いたら答え合わせをして、多くポイントを獲得した人が優勝となる。
学生:
SDGsと聞いて難しそうな内容ではあると思うんですけど、ごみ拾いなど身近に個人でできることもたくさんあるということがわかって、まだ知らない人にも広めたい
別の学生:
ゼミでSDGsをやっていて、人より知っていると思っていたけど、忘れていることも多くて、もっとSDGsに関心を持たなくてはいけないと思った
2021年度には浜松市の小学校で、このすごろくを使った授業が行われた。授業後のアンケート調査で、子供たちがすごろくを通して「SDGsの実践に意味がある」と、より感じられるようになったことが分かった。
常葉大・木村教授:
SDGsはすごく身近なものだよ、日々の生活の中で実践できることはたくさんあるよ、そういう気づきにつながってほしい
木村教授たちは、防災をテーマにしたSDGsすごろくも制作している。SDGsを理解するための取り組みが今後も広がっていきそうだ。
(テレビ静岡)