こどもの数の減少が止まらない。総務省の推計によると、日本国内の4月1日時点の15歳未満のこどもの数は1465万人と去年より26万人減り、41年連続の減少となった。総人口に占めるこどもの割合は1950年には35%を超えていたが、11・7%まで落ち込んだ。

「危険な人口減少」 政府が少子化に危機感

「もはや見過ごせない危険な人口減少に入っている」野田聖子こども政策担当相は4月26日の会見で、歯止めの効かない少子化に強い危機感を示した。

野田氏は、岸田政権の看板政策の一つである「こども家庭庁」を設置する法案を担当し、国会で答弁を続けている。「こども家庭庁」は、こども政策の指令塔機能を担い、これまでの省庁の縦割りをなくすのが狙いだ。こども家庭庁は、子育て支援や子どもの貧困対策、いじめや虐待の防止等などを幅広く所管し、少子化対策も担うことになる。

野田聖子こども政策担当相は、歯止めの効かない少子化に強い危機感を示した。
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野田氏は、前回2021年の自民党総裁選に立候補した際も、「人口減少問題を本気で考えるべきだ」と訴え、少子化問題に警鐘を鳴らしていた。

少子化問題は「政治が逃げてきた」

野田氏は26日の会見で、少子化が進んだ原因について「少子化が国にとって大きな問題ではないという空気があった。スルーしてきたことが一番大きな問題だ」と指摘した。さらに、「子どもが生まれないのは女性の方に何かある、女性の問題だと矮小化されてきた」「プライベートなこととして、政治が逃げてきた」と述べた。

そして、少子化対策での「こども家庭庁」の役割について、「子どもを望んでいる人がいるのに叶えられないのは、政治的に非常に問題だ。叶えられるようにするには、実際の制度と今のライフスタイル、社会のギャップを埋めていく」と述べ、強い意欲を示した。

野田氏は「子どもを望んでいる人がいるのに叶えられないのは、政治的に問題」と指摘した(画像はイメージ)

一方、政府関係者は少子化について「晩婚化、未婚、ライフスタイルの多様性など多くの要因が関係している」とした上で、「即効性のある対策を打ち出したいが、簡単ではない」と語る。

政府はAIで婚活マッチングを支援

 どうすれば少子化を止められるのか。別の政府関係者は、多様化する価値観の尊重を前提とした上で、少子化の原因について「大きいのは晩婚、未婚だというのは否定できない」と指摘する。

こうした中、「こども家庭庁」に統合される予定の内閣府の担当部署は、県や自治体が実施するAI(人工知能)を使った婚活を支援する事業に注力している。自治体がAIでのマッチングサービスを展開する際、必要なシステム経費などの3分の2を国が補助する。

AIマッチングとは、「好み」や「趣味」など個人の行動履歴をビックデータとして活用し、膨大なデータの中から、相性の良い異性を探すもの。内閣府によると、すでに現在、AIでのマッチングサービスは22の県で実施されているという。

政府は、自治体による”AI婚活マッチング”を支援するという(画像はイメージ)

各自治体でAI婚活の取り組み

埼玉県では「恋たま」と呼ばれる婚活支援を実施。成婚した割合について、AIマッチング使用が54%と、自分で検索した場合の46%を上回っている。「恋たま」では、7月からAI婚活を集中的に支援するイベントを行う。

岩手県では、2021年に国から1600万円の補助を受ける形で、2400万円をかけてAIによるマッチングシステムを導入した。システム導入前の年間の紹介者数は637件だったが、システム導入後は紹介者数が985件と1.5倍に増加したという。

このシステムでは、年齢や学歴、年収など希望の条件にあう人だけでなく、希望にあわなくても、価値観などの質問項目をもとにAIが相性の良いであろうと判断した人を紹介する。「出会いがないから結婚できない」といった層に対し、アプローチしたい考えだ。

「子ども家庭庁」設置で、実効性のある少子化対策が打ち出せるか(画像はイメージ)

政府関係者は「国が支援しているという安心感や、条件以外で相手の魅力を感じることのできる場を提供したい」と述べ、機会の創出にも力を入れている。

「こども家庭庁」の設置法案は、今国会で成立する見通しだ。これまで政府は、様々な少子化対策を打ち出してきたが、少子化に歯止めをかけたとは言えない。コロナ禍で加速する少子化に対して、政治が実効性のある対策を打ち出せるか、注目される。

(フジテレビ政治部)

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総理大臣、首相、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。

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