都会型の太陽電池とは 

「都会型の円筒型太陽電池。都会に設置しやすくて、東京から世界に発信したいような太陽電池」こう話すのは電気通信大学の早瀬修司特任教授。 分刻みのスケジュールの中、東京都の小池知事が足を運んだのは、調布市にある電気通信大学。小池知事の興味は、この太陽電池にあった。 

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「太陽電池」を視察する小池知事(25日 電気通信大学)
「太陽電池」を視察する小池知事(25日 電気通信大学)

総発電量1・5倍、重さ・費用は半分に 

これは、電気通信大学で研究が進められてきた太陽電池だ。 「円筒形にすることでどの角度から光が当たっても発電できる、つまり一日中発電できるので、一日の総発電量が平板型の1.5倍になります」 。そう力説する早瀬特任教授。その他に、平板型の2分の1から3分の1の重さ 、壁面に設置できるなどの利点があるという。

さらに「量産できるようになれば、現在、一般家庭(4キロワット分)で、100万円かかる太陽電池の設置費用(本体のみ)が、設置台も含めての5割から7割ですむ」と話したほか、軽くて蛍光灯のような形であるため、「量販店で購入・廃棄のリサイクルが可能で、家庭に設置して一部壊れても顧客が自分で交換修理ができる」とも。 

円筒形にすることで、どの角度から光が当たっても発電できるという
円筒形にすることで、どの角度から光が当たっても発電できるという

弱点の耐久性を強みに 

円筒型の太陽電池はこれまでもあったが、発電シートをガラスの筒に入れて封をするやり方が電気通信大学の「オリジナル」だという。 また、この発電シートは作るのも扱うのも簡単だが、耐久性が弱かった。それを補うためにガラスの筒にいれて耐久性をアップさせたという。

「原料は国産ですか」 実物を見た小池知事は、原料が輸入に頼らないですむか確認したという。 「重要な部分は国産です」 という返事を聞いて、小池知事は納得した表情でうなずいたそうだ。 

電気通信大学・早瀬修司特任教授
電気通信大学・早瀬修司特任教授

コロナ以上に心配なのは・・・

「今、夏の電気の供給も厳しい、ましてや冬もと言う話がございます」 危機感をあらわにする小池知事。 実は、都庁内で「小池知事がコロナ以上に心配している」とも見られているのが電力供給だ。 

電力の需要に対して、どれぐらい”余裕”があるかを示す数値に「予備率」というものがある。この予備率は、最低限3%必要とされているが、経産省のデータをもとに、都庁で作られた内部資料には、今年の夏に予想される予備率が「3・1%」と記載されているという。

小池知事は、4月29日、「HTT」を推進するキャンペーンに参加した。
小池知事は、4月29日、「HTT」を推進するキャンペーンに参加した。

さらに厳しいのは冬で、年をまたいで1月2月は、東京・中部・北陸・関西・中国・四国・九州の7つのエリアで予備率3%を確保できない見通し。東京エリアは特に厳しく、1月がマイナス1・7%、2月がマイナス1・5%となっている。 

小池知事は、電力をH=減らす、T=創る、T=貯める、として「HTT」キャンペーンを開始、夏の場合には室温を28度に設定、省エネ家電への買い換え補助、省エネ住宅建設補助などの活用を訴えている。 

(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)

社会部
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今、起きている事件、事故から社会問題まで、幅広い分野に渡って、正確かつ分かりやすく、時に深く掘り下げ、読者に伝えることをモットーとしております。
事件、事故、裁判から、医療、年金、運輸・交通・国土、教育、科学、宇宙、災害・防災など、幅広い分野をフォロー。天皇陛下など皇室の動向、都政から首都圏自治体の行政も担当。社会問題、調査報道については、分野の垣根を越えて取材に取り組んでいます。

小川美那
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「お役に立てれば幸いです」 見てくださる皆さんが“ワクワク&ドキドキ”しながら納得できる情報をお伝えしたい! そのなかから、より楽しく生き残っていくための“実用的なタネ”をシェアできたら嬉しいなあ、と思いつつ日々取材にあたっています。
フジテレビ報道局社会部記者兼解説委員。記者歴20年。
拉致被害者横田めぐみさんの娘・キムヘギョンさんを北朝鮮でテレビ単独取材、小池都知事誕生から現在まで都政取材継続中、AIJ巨額年金消失事件取材、TPP=環太平洋経済連携協定を国内外で取材、国政・都政などの選挙取材、のほか、永田町・霞が関で与野党問わず政治・経済分野を幅広く取材。
政治経済番組のプログラムディレクターとして番組制作も。
内閣府、財務省、金融庁、総務省、経産省、資源エネルギー庁、農水省、首相官邸、国会、財界(経団連・経済同友会・日商・東商)担当を経て、都庁担当、経済部長。