2021年、長野・安曇野市の当時小学6年の少年が、家の畑で採れた野菜で弁当を作った。その体験を書いた作文が、このほど全国コンクールで最上位の賞に輝いた。題名は「命とお弁当」だ。

夏休みの体験を作文に

レタスの苗植えが始まった畑。作業を手伝うのはこの春、中学生になった三沢樹生さん(12)。畑では毎年、祖父の文男さん(86)と母・浩美さんが野菜を育てている。

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三沢樹生さん(12):
レタスとキャベツを植えたのと、インゲンの種まきをしました。掘る深さに気をつけてやったけど難しかった

2021年の小学校最後の夏休み、樹生さんは自分で野菜を収穫し、弁当を作った思い出を作文にした。

題名は「命とお弁当」

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
お母さんの提案で、ぼくが毎日、畑の野菜をとることになりました。本当は暑いし、かにさされるので「ちょっといやだなあ」と思っていました。でも、毎日野菜をとっていると『今日はどれくらいとれるかな』と楽しみになってきました。なすやきゅうり、ピーマンが次の日にはびっくりするほど大きくなっていることがありました。すごいスピードで成長していく野菜を見ていたら、当たり前のことだけれど、野菜も生きていて命があるんだなと実感しました

学校の宿題として、通信社が主催する弁当の思い出に関する作文コンクールに応募。すると、全国の小中学生が書いた2600余りの作文の中で、樹生さんの作文が最上位となる「弁当の日賞」に輝いた。

三沢樹生さん(12):
僕の書いた作文に共感してくれたことが一番うれしくて、びっくりした

「弁当の日賞」に輝いた作文

母・浩美さん:
普段はゲームばかりやっていて、割とおとなしくて人見知りなところがある。本当に息子が大きな賞を取るとは思わなかったので驚きました

作文の後半は弁当作りだ。

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
はじめは野菜をうまく切れなかったりしたけれど、お母さんにコツを教えてもらい、がんばって作りました。中身はお父さんが好きなおかずをお母さんと一緒に考えて、ぼくがとった野菜をいっぱい使いました

お父さんのために作ったという弁当を、樹生さんに再現してもらった。

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
ゴーヤ、なすのあえもの、きゅうり、レタス、ミニトマトのサラダ、豚肉のしょうが焼きには、ピーマンと六月にほった玉ねぎ

母・浩美さん:
いいよ、野菜も入れちゃって。おいしそうだね

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
お父さんは出来上がったお弁当を持って仕事に行きました。夜になって帰ってきてからお弁当を食べた感想を聞いたら『色もきれいで、とても美味しかったよ』と言われて、本当にうれしかったです

この日、使った野菜は買ってきたものだが、当時は畑でとれた夏野菜をふんだんに使った。

三沢樹生さん(12):
けっこう、よく作れました。100点中70点くらい

この日は、祖父の文男さんに食べてもらった。

祖父・文男さん:
おいしいわ。いい味してますよ、仕事した後にはちょうど塩味がきいて

三沢樹生さん(12):
とてもうれしいですし、これからも畑仕事も手伝っていきたいな

祖父・文男さん:
また作ってね

学んだ二つのこと

作文の中で、樹生さんは二つのことを学んだと記している。

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
一つ目は、野菜もふくめて食べ物は全部命があり、その命を食べさせてもらっているということです。だから食べ物を残したり無だにしたりしないで、大切に食べようと思いました

祖父・文男さん:
野菜だと1日に5センチくらいは大きくなってますし、キュウリだと朝晩とらないと大きくなりすぎてしまう。それが作文の核心になったんじゃないかな

(樹生さんの作文「命とお弁当」より)
二つ目は、調理は楽しいけれどとても大変で時間がかかるということです。お母さんは毎日いろいろな料理を作ってくれるけど、何を作るか考える事から出来上がるまでこんなに大変なんだな、これが当たり前じゃないと思いました

母・浩美さん:
食べ物を調理するというのは大変な作業で、ほんの小さいおかずでも結構な労力、時間がかかることが分かったので、作ってもらったことにありがとうという気持ちを持ってくれている

野菜の収穫と弁当作り。それはひと夏の思い出だが、樹生さんを成長させる貴重な体験になったようだ。

三沢樹生さん(12):
野菜とかにも命があることを考えたら残しちゃいけないなと思ったので、苦手な物もあるけど、食べたりするようになった。母は毎日、料理以外にも家事をやってくれて、いつも僕が言ってくれることをやってくれたり、ありがたいと思うので、これからも料理とかを手伝いたい

(長野放送)

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