気軽に多くの人と繋がることができるSNS。多くの人が日常的に利用していることだろう。

そのような中で東京都健康長寿医療センター研究所が、中高年への調査で「SNS上での交友関係が豊かでも、現実世界でそうとは限らない」という結果を4月27日に発表した。

Facebookアカウントがある40歳以上を対象に調査

調査は、中高年層をターゲットとしたSNSの会員を対象に2020年3~5月にインターネットで実施。このうち、Facebookアカウントがある40歳以上の2320人(男性68.8%、平均年齢67歳)のSNSを介したつながりの実情を解析した。

結果、平均でFacebook上での友達が96.3人で、そのうち「実際に親密な付き合いをしている人」は8.4人、「困ったときに助けてくれそうな人」は3.5人となった。

さらに、その関係を調べるとFacebookの友達数が多いと「親密な付き合いをしている人」の数も多い傾向があることが判明。一方で、「困った時に助けてくれそうな人」の数については、友達数が500人までは親密な付き合いをしている人と同様、友達数に合わせて増加するのだが、友達数501人以上になると上げ止まり、友達数201~500人と回答した人の平均より少ない結果となった。

Facebook上での友達数(提供:東京都健康長寿医療センター研究所)
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この調査結果はSNS上の友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまう」ということを示唆しているという。

「困った時に助けてくれそうな人」は現実世界での付き合いの数

中高年において「SNSで交友関係が豊かでも現実がそうとは限らない」というSNSの実情が分かった結果だが、では年齢関係なく若者などにも同じ傾向が言えるのだろうか?

調査を実施した、東京都健康長寿医療センター研究所の村山洋史さんに教えてもらった。

ーー「中高年者へのインターネット調査」を実施した理由を教えて。

中高年者のインターネットやSNSの利用割合は、若い世代より低いとはいえ、年々上昇しています。今回の調査の対象者は、中高年者をターゲットにしたSNSの会員でした。すでにインターネットやSNSを利用している中高年者の方々に調査させていただくことで、今後の中高年者のインターネットやSNS利用の傾向や生じる課題が掴めると考えました。


ーーなぜFacebookの友達数が多いほど、その中で親密な付き合いをしている人の数も多くなっていった?

「親密」の定義を厳密には行っていません。回答者ご本人が親密と感じられる付き合いの人を回答してもらいました。ですので、ご回答の中には色々な「親密」が含まれていると思います。今回の「親密」には、現実世界での付き合いもオンライン上での付き合いも含めることが可能です。そのため、Facebook友達の数と相関したものと思われます。

中高年者のインターネットやSNSの利用が年々上昇しているという(イメージ)

ーー「困った時に助けてくれそうな人」は、友達の数が501人以上で上げ止まった。その理由は?

「困った時に助けてくれそうな人」は、多くの場合に現実世界での(対面での)付き合いに限定されると考えています。Facebook友達が500人未満のような場合には、実際に対面での付き合いがある人も一定数含まれてくると思いますが、501人以上のような大人数のFacebook友達の中には、実際には会ったことがないような人も含まれてくるものです。ですので、Facebook友達の数が多くても、実際に助けてくれるような人はある一定の数で上がり止まったのではないかと考えています。

人との関係は、一度知り合いになったからといって、永続的につながれるわけではありません。ある程度の時間と労力を割いて、関係を定期的にメンテナンスしていく必要があります。本研究は、SNS上の友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまうということを示唆しています。

現実世界でのつながりへも意識を向けることが重要

ーー中高年層を主ターゲットにした調査だが、この結果は中高年特有のもの?

若い世代を含めて調査した海外の研究では、同じような傾向が報告されています。そのため、どの世代でも見られる傾向ではないかと考えています。ただし、若い世代の方がインターネットやSNSに慣れ親しんで使いこなしていることを考えると、今回見られた傾向は、若い世代ほど顕著に出てくるのではないかと思います。


ーーFacebookの他のSNSでも同じことが言えるの?

Facebookと、TwitterやInstagramやTikTokとは、同じSNSでも特徴が少し違うと考えています。Facebookは(ある程度の)相互の承認の上で成り立っている一方、Twitter等はそこまでのものはありません(相互の承認は必要なく、不特定に流れてくる短文、写真、動画を見る)。SNS上でのつながりの前提が異なるので、必ずしも今回の結果と同じものにはならないのではないかと予想しています。

若い世代ほどSNSに慣れ親しんで使いこなしている(イメージ)

ーー「SNS上の友達が多くても、困った時に助けてくれるような実際に機能する相手は一部に限られてしまう」という結果は、どう受け止めるべき?

SNS上での友達が多いと、それだけで満足し、人とつながれている気持ちになれるかもしれません。もちろん、それも大事なことですが、日常生活で本当に機能する(実際に手助けを得られる)ようなつながりとは別物である可能性があります。SNS上でのつながりを楽しむ一方で、現実世界でのつながりや交友関係も作り、維持することに意識を向けることも重要です。「SNSでのつながりだけを持っていれば大丈夫というわけではない」ということです。

現実世界とオンラインのバランスが大切

ーー中高年層の人たちにとって、SNSを利用することは良いことと考えられる?

SNSは使いようによってはつながり作りの強力なツールだと思います。例えば、Facebookでいえば、こちらから積極的に交流を持とうとしなくても、「いいね!」ボタンを押すだけで交流のきっかけになり得ますし、もしかすると知り合いが友達申請してくれて、つながりの機会が向こうからやってくることもあります。つながりを作るのが苦手な人にとっては、きっかけ作りに、つながりを作るのが得意な人にとってはさらに広げていくことができるのではないでしょうか。大切な点は、現実世界(リアル)とオンライン(バーチャル)のバランスだと思います。
いずれのSNSであっても、依存のし過ぎは要注意という点は変わらないと思います。


ーーこの結果は、どのようなことに生かしていける?

今回の結果から、SNS上でのつながりが、必ずしも現実世界で役に立つつながりとは言えない可能性が明らかになりました。今まで「ネットやSNSでのつながりって、どのくらい意味があるのかな?」と疑問に思っていた人は多いのではないでしょうか。

今回のような知見が出ることで、その疑問への答えが明確になりました。こういった知見は、例えば、インターネットやSNSの正しい利用の仕方や利用時の注意すべきポイント等を啓発する際の根拠になります。


ーー最後に中高年層の人へ、SNSの利用に関してアドバイスをお願いします。

SNSは私たちの生活を豊かにしてくれるツールであることは間違いありません。例えば、現実世界で新しい知り合いを作ろうと思うとなかなか大変ですが、SNSならそれが比較的簡単です。特に、日本人は「少数でも気の合う仲間と心地よい関係を築きたい」という、つながり作りに対して内輪志向の考えを持つ傾向にあります。こうした我々日本人には、なおのことSNSのようなツールが有効かもしれません。

しかし、今回の調査から、SNS上のつながりだけでは、日常生活で実際に機能する支援を得ることは難しいことが分かりました。SNSはつながりを作るための強力なツールですが、現実のつながりを補完する、あるいは既にある実際のつながりを強化する働きはあっても、現実のつながりを完全に代替できるものではないようです。オンラインでのつながりの良い面も悪い面も、そして限界もあるということをきちんと認識し、かしこく使いこなしていく必要があるといえます。

現実世界でのつながりや交友関係も大切に(イメージ)

村山さんは「SNSでのつながりだけを持っていれば大丈夫というわけではない」という今回の調査結果をもとに、オンラインでのつながりの良い面も悪い面も認識した上で、SNSへの使用の際には「依存のし過ぎには要注意です」と話している。現実世界とネットの世界とのバランスをしっかり意識して、活用していくことが大切だ。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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