JR九州の人気観光列車「ななつ星」や「36プラス3」などを手がけた鉄道デザインの第一人者、水戸岡鋭治さん。その水戸岡作品を一堂に集めたミュージアムが北九州市にオープンした。その名も「小倉工場鉄道ランド」。

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実はこのミュージアム、JR九州の工場の体育館をリノベーションした前代未聞のプロジェクト。工場の社員総出で作り上げた、ミュージアム完成までの軌跡を追った。

車両整備工場の体育館をミュージアムに

2021年11月、ミュージアムが出来る北九州市の「小倉総合車両センター」。鉄道の車両整備工場として100年以上の歴史を持つ工場だ。

このプロジェクトを発案したのは、工場の所長である高添博司さん。

小倉総合車両センター 高添博司所長:
今ある設備を極力活用して、お金をなるべくかけず自分たちの手で、展示スペースに作り替えていきたい

ミュージアムは工場の敷地内にある大きな体育館を活用する。

小倉総合車両センター 高添博司所長:
こちらが体育館です。2000平米の広さがあります。以前は社員の食堂として使っていました

かつては工場に約3000人以上の社員が在籍していて、1975年頃まで体育館が「会食場」として使われていたとのこと。

しかし、活用の機会は減っているという。

小倉総合車両センター 高添博司所長:
歴史ある立派な施設が注目されずに終わるのはもったいない。(ミュージアムを通して)多くの方に知ってもらい、楽しんでほしい

12月に入り、いよいよ作業開始。小倉工場で働いている社員が作業を行う。

慣れない作業かと思いきや…。

作業中の社員:
昔は現場にいるときは、車両の塗装作業をやりよったけど

塗装作業はお手の物

さすが車両整備工場の社員だけあって、塗装作業はお手の物のようだ。社員が一斉に床を塗り進め、1時間ほどで床の大半をきれいに塗り上げた。

社員たちで塗装作業

小倉総合車両センター 高添博司所長:
自分たちでやることで、1000万円はかかるといわれていたものが10分の1程度に収まった

その翌週にかけて、水戸岡鋭治さんの資料や調度品などの搬入がスタート。東京と岡山から合計7台のトラックが、2日がかりで荷物を搬入した。

部署の垣根を越えて、全員で作業を進めていく。

小倉総合車両センター 高添博司所長:
車両の仕事は1人ではできない。そういう土壌がある

現場には、ミュージアムのデザインを手掛ける水戸岡さんの姿が。

ミュージアムのコンセプトを伺うと…。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治さん:
今までにない“変なもの”ができる。子どもからおじいちゃんまで、一緒になって楽しめるものを作った

ミュージアムのデザインを手掛ける水戸岡鋭治さん

「三世代が楽しめる」もの。これは、水戸岡さんが鉄道をデザインする上でも心がけていることだ。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治さん:
お父さんたちが子どもに乗せたいものをイメージしてデザインしてきた

ついに完成!細部にさまざまな工夫

作業は着々と進み、徐々にその形が作られていく。

そして、2022年3月。完成までもう少しとの連絡を受けて工場に向かうと、水戸岡さんがこれまでデザインしてきた鉄道のパネル200枚が並んでいた。そこにはこんな工夫が。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治さん:
子どもが楽しめるように、足元にもデザインしています

子供の目線の高さに動物のイラストが描かれていた。さらに…。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治さん:
茶室です

「電車」と「茶室」

水戸岡さんのこだわりが詰まった、子どもたちが楽しめる「茶室」。

ドーンデザイン研究所 水戸岡鋭治さん:
これまで、電車にも茶室を持ち込みたいと思って作っています。2.7メートルで、これは電車のサイズ。茶室が連結しているイメージで鉄道をデザインしている

他にも施設内を走るミニトレインなど、まさに遊園地のようなつくり。

小倉総合車両センター 高添博司所長:
感動しました。新幹線の88系の椅子を置くなんて発想はなかった。鉄道に興味を持って楽しんでほしいし、自分たちも楽しんで運営していけたらと思います

この鉄道ランドに入場できるのは、JR九州が企画するツアーの参加者のみとなっている。4月23日には博多駅で、鉄道ランドに向かう初めての客を乗せた特別団体列車の出発式が行われた。

JR九州によると、このツアーは2022年6月までに8回実施される予定で、5月まではほぼ満員だという。

(テレビ西日本)

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