宿泊施設の挽回策。コロナで苦境が続く中、長野県千曲市の温泉旅館は個室型の貸切風呂を始めた。家族など小規模グループをターゲットにしている。

日帰りでも 個室の温泉でゆっくりと

※撮影のため特別にタオルを着用しています
※撮影のため特別にタオルを着用しています
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記者:
完全個室の貸切風呂。プライベートな空間で気兼ねなく温泉を楽しむことができます

こちらは4月15日にオープンした貸切風呂「さらしなの月うさぎ」。戸倉上山田温泉のホテル圓山荘が、駐車場の一角に整備した新施設だ。

圓山荘・竹本博昭社長:
宿泊のお客さまが少なくなってしまったものですから、従業員を守るために、少しでも売り上げができるものということで

コロナ禍で客足が遠のいた宿泊業界。圓山荘はコロナ前、数百人単位の社員旅行など「団体客」が全体の売り上げの65%を占めていたが、ほとんどゼロに。売り上げは3割程度に落ち込んでいる。2020年3月、竹本社長は「今までの中で、一番厳しい状況…」と話していた。

ピンチを切り抜けようと目を付けたのが「家族などの小規模グループ」と「日帰りでの利用」。

圓山荘・竹本博昭社長:
事業継続のためには、個人のお客さまの集客をしていかないといけない。泊まりじゃなくても個室で温泉を利用できる。そういったニーズが(客から)お声もありましたので、この機会にとチャレンジした

これまでは大浴場のみだったが、個室型の貸切風呂の設置へと動いた。建設費約6000万円は、国の補助金や金融機関からの融資で工面。脱衣所から接触を避けられ、安心して源泉かけ流しが楽しめる8室を用意した(利用は1室1時間2100円~)。

家族でリラックス 久しぶりの温泉「楽しい」

上田市から訪れた小宮山さん家族。

母・彩子さん:
広いね

娘、最愛ちゃんの保育園入園のお祝いにと利用した。

母・彩子さん:
どなたとも会わずにここまで来られた。コロナの心配も全くなく入れそうで、とてもいい

家族でゆっくり、久しぶりの温泉を楽しんだ。

父・純一さん:
あったかいね

娘・最愛ちゃん:
あったかい。いいにおいする

父・純一さん:
楽しいね

娘・最愛ちゃん:
たのしい

父・純一さん:
とても安心ですし、他の人の目を気にせず入れるので、とてもゆっくりできる

昼食はバイキング形式 客室に運ぶことも

貸切風呂と同時に「ランチバイキング」もスタート(大人2200円、貸切風呂利用客は1800円)。

日帰り利用のニーズを取り込もうと、宴会場を改装した。

ランチバイキングの会場
ランチバイキングの会場

視察に訪れた市の関係者は…。

信州千曲観光局の職員:
泊まりにもちろん来ていただきたいが、こういったものがあれば、ちょっとランチだけ行こうかなというお客さまも増えるかと思う

取り分けた料理を客室に運んで食事をすることも可能、よりプライベートな空間でくつろげる(空室がある場合のみ 3300円)。

個人客と日帰りの利用。大型連休以降、挽回を図る。

圓山荘・竹本博昭社長:
個室ですと感染リスクもそうですし、他の人の目を気にせずにご利用いただけるのが、一番の安心なのかなと感じています。少しでも感染リスクの少ない施設をつくることによって、お客さまに選んでいただきたい

(長野放送)

長野放送
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