子どもたちに高度な医療を提供するこども病院。新潟県内でもその設立に向け、検討が重ねられている。こども病院の設置を望む親子に話を聞いた。

「入院するのは大人と同じフロア」母親が感じたもどかしさや不自由さ

2歳の内山瑞月ちゃんは、生まれながら心臓の心室が一つしかない先天性心疾患を患っている。血中の酸素濃度が低く、呼吸が難しいことなどから酸素の吸入が欠かせない。

内山瑞月ちゃん
内山瑞月ちゃん
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生後2カ月と7カ月のとき、新潟大学病院で手術を受けた瑞月ちゃん。母親の智絵さんがその際、直面したのは、大人と子どもが同じ病棟で入院することのもどかしさだった。

今までに2度手術を受けた瑞月ちゃん
今までに2度手術を受けた瑞月ちゃん

瑞月ちゃんの母 内山智絵さん:
心臓血管外科には大人のフロアの中に1つだけ子ども部屋があって、基本的に子どもたちはそこに入る。大人のほうが明らかに多いし、悪いことではないが泣き止まないとか、昼夜関係なく泣くとか、どうしてもみんな肩身の狭い思いをしている

入院中、肩身の狭い思いも
入院中、肩身の狭い思いも

手術の日程も大人の手術との兼ね合いで決まるため、不自由さを感じたと話す。

専門家も設立望む“こども病院” 普通の病院と違う点は?

隣県の長野や群馬などを含め、全国に約20あるこども病院。

子ども病院のある都道府県
子ども病院のある都道府県

新潟大学大学院で小児医療を専門とする齋藤昭彦教授は、こども病院の必要性を訴える一人だ。

新潟大学大学院 齋藤昭彦 教授:
こども病院とは、子どもを中心に考えた病院。入院する、外来で治療・診療するお子さんを中心に据えた病院

新潟大学大学院 齋藤昭彦 教授
新潟大学大学院 齋藤昭彦 教授

長野県立こども病院には、子どもが使いやすい高さの洗面台や図書館など、子ども目線の施設が備わっているほか、保育士も常駐している。

子どもが使いやすい洗面台
子どもが使いやすい洗面台
図書館
図書館

新潟大学大学院 齋藤昭彦 教授:
病院はどうしても痛いことや嫌なことがあるが、それを忘れさせてくれる通常の日常生活に近いような環境を提供する。そういうところが、こども病院の特徴になる

子ども病院の特徴
子ども病院の特徴

「24時間付き添い」保護者にかかる大きな負担 働き方に影響も…

子どもの入院は、親にとっての負担も少なくない。

(Q.入院時、親にはどういう役割を求められる?)
瑞月ちゃんの母 内山智絵さん:
日中のお世話、薬を飲ませるのも全部お母さん。新潟大学病院の場合は「24時間、お母さんが付き添ってください」という感じ。親の食事はカップラーメンとかレトルトのご飯を持ってきて、何とかしのぐ。入院の長いお母さんはかなりしんどい

入院する子どもの保護者をサポートする施設としては、2022年10月にドナルド・マクドナルド・ハウスが新潟大学病院に併設され、保護者が病院の敷地内で宿泊できるようになる。

ドナルド・マクドナルド・ハウス 完成イメージ図
ドナルド・マクドナルド・ハウス 完成イメージ図

しかし、家族が向き合わなくてはならないのは、入院時の対応だけではない。
内山さんはかつて大手監査法人で働いていたが、2021年に会計士・税理士として独立した。

瑞月ちゃんの母 内山智絵さん:
悩んだが、瑞月の治療が定期的にあるのと、これから手術も控えている状況で、前の職場に戻るのはハードルが高かった

病気を患う子どもを育てながら、働き続ける難しさ。内山さんは独立して時間的な余裕を得たことで、今後、医療的ケア児を持つ親の就業支援にあたりたいと考えている。

瑞月ちゃんの母 内山智絵さん:
ドナルド・マクドナルド・ハウスもそうだと思うが、こども病院ができて、子どもに特化するのだったら、子どもだけではなく、病児の子どもを抱える家族全体をサポートする。そういった面でのサポートが増えてくれると、よりいいのかなと思う

子どもを支える家族のサポートも
子どもを支える家族のサポートも

現在、毎分2リットルの酸素を吸入している瑞月ちゃん。5月には3度目の手術を予定している。

瑞月ちゃんは3度目の手術へ
瑞月ちゃんは3度目の手術へ

瑞月ちゃんの母 内山智絵さん:
今後生まれてくる子どもたちにとって、新潟でよりよい治療が受けられるのであれば、助かる命が増えるのであれば、こども病院はあったらいいだろうなと思う

(NST新潟総合テレビ)