いま、男性が育児休業を取りやすい環境づくりが進もうとしている。実際に育休を取った男性を取材すると、男性の育休期間はその後の家族を形づくる大事な時間であることが伝わってきた。

取得率低い“男性の育児休業” 4月に法改正へ

2020年度、新潟県内の民間事業所で育児休業を取得した男性の割合は12.8%。ここ数年、取得率は上がっているが、女性に比べると非常に低い水準だ。

新潟県内 民間事業所の育休取得率
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そうした中、国は男性の育休取得率を上げるため法改正を行う。

育休の円滑な取得のため、事業主は本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対し、育休を取得するかどうかの意向を個別に確認する義務が発生する。この際「育休取らないよね?」といった、取得を控えさせる確認は認められない。(2022年4月1日施行)

 

第1子誕生で3週間の育児休業を取得

新潟市に住む青野鉄平さん(28)。

青野鉄平さん:
(赤ちゃんの体重は)3000gちょっと。

松村道子キャスター:
日々重くなっているのを感じている?

青野鉄平さん:
感じている。(持ち上げるのが)きつくなってくると。

育休を取得した青野鉄平さん

青野さんは第一子である長女・恵茉ちゃんの誕生に合わせ、2022年2月に3週間の育児休業を取得。恵茉ちゃんに視線を配りながら家事を進める。

恵茉ちゃんに視線を配りながら家事を進める

青野鉄平さん:
(恵茉ちゃんが)寝ているときに細々と、少しずつ洗濯・掃除含めて色んなことをやっている。

男性社員の育休100%を目指す建設会社

恵茉ちゃん誕生前の2021年11月、青野さんの姿は建設中のバイパスの上にあった。

青野鉄平さん:
現場代理人、現場監督として工事全体の工程や安全管理を取りまとめている。

建設会社で働く青野鉄平さん

新潟県三条市に本社のある小柳建設に勤務し、現場の統括にあたる青野さん。同じ日、育休取得に向けた総務部との面談に臨んだ。

小柳建設総務部 伊原友恵チームリーダー:
育児休業をどれくらい取りたいか教えてください。

青野鉄平さん:
1月末に生まれて1週間程度、妻が退院するまで待ってからなので、2月のはじめから3週間程度。

小柳建設総務部 伊原友恵チームリーダー:
労務でも上長と連絡を取りながらサポートできれば。

2月のはじめから3週間程度の育休を希望

青野さんの勤務する会社では2021年から、全体の7割を占める男性社員の育児休業取得率100%を目指している。2021年度は青野さんを含め、3人が取得した。

小柳建設 総務部 月岡良一 部長:
従業員だけでなく、その家族も含めて幸せを実現していくためには、一人一人が生き生きと働ける職場環境をつくらなくてはいけない。育児休業を取得しやすいイメージづくりで建設業界に貢献できれば。

男性社員の育児休業取得率100%を目指す

自身の子どもが誕生した20年近く前には「男性の育休は考えられなかった」と話す青野さんの上司も歓迎ムード。

小柳建設 建設事業部 田中利栄チームリーダー:
なかなか大変だと思うけど、いいパパになってほしい

青野さんの上司 田中利栄チームリーダー

長期間の育休で強まる夫婦の絆

男性の育休取得率は上昇傾向にあるが、その取得日数は5日前後がほとんど。青野さんのような3週間にわたる休業はまだまだ珍しいといえる。

男性の育児休業は5日前後が大多数

出産までフルタイムで働いてきた青野さんの妻・ひとみさんは現在、1年を目処に育休を取得中。この日は、ほ乳瓶の消毒の仕方について夫婦で話し合っていた。

ほ乳瓶の消毒について夫婦で話し合い

青野さんの妻・ひとみさん:
1人で考えてというよりは、同じ立場・同じ目線・同じ時期に相談できるのはかなり大きい。全部相談しながらやっている。

 

青野鉄平さん:
子どもに対してのアプローチを夫婦2人で、トライアンドエラーで考えるというのが、夫婦や家族の絆を高めていくというところでも大事だと思うので、長い期間取ってよかった。

引き継ぎ作業はなし 日頃から休みを取りやすい環境づくり

一方、大規模な建設工事のリーダーである青野さんが、3週間の休みを取ることは難しいことのようにも思われる。恵茉ちゃん誕生の2週間ほど前、仕事中の青野さんを訪ねた。

松村道子キャスター:
工事の進捗状況について話をしていたが、これは業務の引き継ぎ?

青野鉄平さん:
引き継ぎではなく、日々の情報共有の一貫でやっている。

工事の進捗など情報共有は日頃から

この日に限らず、育休前の引き継ぎは行われなかった。

特定の人だけが担当する業務をつくらないことで、休みが取りやすい環境にあること。また、工事の発注者から育休への理解を得られたことが青野さんを後押しした。

休みを取りやすい環境づくり

松村道子キャスター:
育児休業が近づいていますが、現場を離れる寂しさは?

青野鉄平さん:
入社してから現場に出てきた人間なので、多少なりとも寂しさはあるが、3週間後に戻ってきたときに“現場に出たい欲”を仕事に向けられるよう、自分の中で沸々とためておきたい。

現場を離れる寂しさはあるものの…

「育休は家族の強い芯になる」夫婦での育児の大切さを実感

育休中、恵茉ちゃんのお風呂あがり。青野さんは引き出しに何枚も入っている恵茉ちゃんの衣類を把握したうえで、いま何を着せるべきか判断。夜泣きにも夫婦2人で対応しているという。

 

青野鉄平さんの妻・ひとみさん:
どうしても育児は母親主体になることがあると思うが、全然そんなこともなくて。(お互いが)職場復帰しても変わらず(夫婦での育児が)できるのではないかと思う。

青野鉄平さん:
同じ体験を夫婦でして、それが家族のベース・基盤になる。それを中心に夫婦で話ができるというところで、この育休期間は家族としての強い芯になるのかなと思う。

 

松村道子キャスター:
現時点で、後輩や世の男性に「育児休業いいよ」と伝えたい気持ちはどれくらいありますか。

青野鉄平さん:
できれば100%取ってもらいたいくらいの気持ち。

多くの男性に育児休業を取ってほしい

今回の法改正には、夫婦で子育てをする環境を整えることで、産後の女性の離職を防ぐ狙いもある。男性の育休取得率向上につながるか、注目だ。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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