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「お金じゃないものがある」コロナ禍で苦境の劇団に"舞台”提供 カラオケ店改装し大衆演芸場に【長崎発】
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「お金じゃないものがある」コロナ禍で苦境の劇団に"舞台”提供 カラオケ店改装し大衆演芸場に【長崎発】

2021年7月、長崎県の中央部にある大村市に大衆演芸場が完成した。
この演芸場には、コロナ禍で活動の場を失った劇団に手を差し伸べようと立ち上がった、1人の男性の熱い思いが込められている。

元劇団員経営のカラオケ店 改装し演芸場に

長崎・大村市のJR松原駅近くにある大衆演芸場「美山(みやま)」。ここでは、全国各地からやって来た劇団による、大衆演劇を見ることができる。

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経営しているのは、美山豊さん。美山さんも、かつて大衆演劇の舞台に立つ劇団員だったが、50歳で劇団を離れて、故郷の大村市でカラオケハウスを経営していた。

「美山」オーナー・美山豊さん

しかし、コロナ禍で劇団の廃業が相次ぐなか、かつての仲間達を見過ごすことができず、店を改装して演芸場を始めた。

「美山」オーナー・美山豊さん:
日本全国には劇団の数が、劇場の数より多いんだから、どうしても休まないかん。休んだらメシ食っていけない。どうにもならん、ということで、皆さんを受け入れてる。ただし、うちは楽屋が狭い、駐車場も狭い、客の動員もあんまりよくない。だから小さな劇団だけ受け入れるんだけど、家族だけの劇団さんは喜んで来てくれる

公演はほぼ休みなく、毎日午後1時から行われる。入場料は1,500円。経営はまだ厳しい状況だ。

「美山」オーナー・美山豊さん:
ビジネスとしては利益を出さんから。こんなもん、ビジネスとは言われん。よそで言ったら恥ずかしいような収入ですよ。でもやっぱり、これは僕も一緒だけど、役者も一緒、恥ずかしいような収入だろうけど、それに魅力を感じるものがあるんでしょうね。こんな劇団が世の中にいっぱいあるんだから

家族6人の劇団 そろって毎日舞台に

この演芸場では、月ごとに劇団が替わる。3月、4月は「劇団えん家」と、「劇団神楽」が共演している。

愛媛県から来た「劇団えん家」は、家族6人の劇団だ。
座長は、父の市村新さん。母の媛野由理さん。長男は通信制高校の2年生、媛野瑚白さんだ。
そして次男の小学5年生、瑚南くん。三男は小学1年生、瑚心(こころ)くん。末っ子は3歳。萌瑚(もこ)ちゃん。この6人で地方を回っている。

愛媛県から来た家族6人の「劇団えん家」。

(Q.小学校に入学してどうですか?)
瑚心くん:
楽しいです

小学生が授業を受けるのは2時間目までで、それから帰って午後から毎日、舞台に立つ。

(Q.その都度、転校を?)
母・媛野由理さん:
そうです。区域外就学っていうのを、市の方に申請したら許可が下りる。それで通っている

座長の市村新さんも、劇団の家に生まれた。
しかし当初は、違う夢があった。

市村新さん:
もともと、家族がこういった仕事やっていて、私は大学まで4年通って卒業して、警察官を目指してたんですけど、柔道もやってて。それが、ちょっと夢が叶わなくて。家族のもとに行って、それからいい年になって、子どももできて、それから自分達の劇団を持てたらなあって夢をいつしか持つようになって

2019年、夢が叶った。
しかし、旗揚げしてすぐコロナ禍に見舞われた。劇場の閉鎖が相次ぎ、この2年間で3か月ほどの公演しかできなかった。そうした中で、救いを求めたのがこの演芸場だった。

市村新さん:
この度、縁あって来させてもらって、初めての土地で最初は戸惑いながら。でも地元の方が、マスターもそうですけど、みんなが支えてくれるので。先月はなんとか、今月もなんとかって、やってるって状態ですね

媛野由理さん:
大変は大変ですけど、子ども達とずっと一緒にいれる仕事ってないと思うので、ずっと24時間一緒にいるので

媛野瑚白さん:
昔は嫌で、嫌で。でも今は仕事の方も熱心にいけてるので。昔よりは全然、好きになれました

「公演できることが貴重」と感謝 劇団支えるオーナー

オーナーの美山さんは、公演中に劇団が寝泊まりできる寮を用意している。メンバーは公演が終わると、あす以降の稽古をして夜は寮に帰る。

期間中に共演している「劇団神楽」は、新潟を拠点にしている。副座長の雅舞子さんは、市村新さんの妹で、3歳からこの道一筋だ。舞子さんの夫、神野泰志さんが座長を務めて、2人の子どもと一緒に地方を回っている。

2人とも、将来 演劇を続けたいと考えている。たとえ小さな芝居小屋でも、劇団にとっては、今は公演できることが貴重だ。

「美山」オーナー・美山豊さん:
長崎県は(国内の)外れだから、例えば大阪方面から来るとなれば、荷物の運搬費とかそういうのを全部、劇団が持たないといけないから気の毒やなと思うけど、それでもいいからやらせてくれと、やりたいと。
ここから車で7分くらいのところに寮を置いて、その電気、ガス、水道、そういうのは全部、劇団が自分で負担するから、お客が入らなかったら収入が減る、気の毒やなって思うけど、これは仕方ないから

演芸場に関する仕事は全て、美山さん1人でこなしていて、少しでも観客が来るようにと、お客の送迎サービスも行っている。すべては劇団を支えるためだ。

「美山」オーナー・美山豊さん:
お金じゃないものが、なんか上手に言えないけど、そういうのがあるんよね。毎日みんなを感動させる。毎日ですよ

この日、雨の降るなかで美山さんはお年寄りのグループを乗せて会場まで車を走らせた。

午後1時、きょうの公演内容は剣劇、舞踊ショーの2部構成。演目は日替り、毎日違った芝居を楽しめる。

6人家族、劇団えん家の長男・瑚白さんは、将来は2代目を継ぎたいと両親に話している。芸を磨くはずの舞台が失われているこの時代。ここにはその舞台がある。

「美山」オーナー・美山豊さん:
子どもたちの学校の勉強じゃないけど、役者として来た時と今と比べたら、子どもたちの成長が目に見えてわかってくる。あー、上手になったなと、これを毎日するんだから

2時間以上に及ぶ公演が終わると、美山さんは楽屋に顔を出し、メンバーに労いの声をかけて回る。

市村新さん:
ありがとうございました。マスター、おかげさまで盛り上がりました

「美山」オーナー・美山豊さん:
琥白くんもお疲れ様。また明日、頑張るぞ

プロの演劇を一度でも見れば感動する。その感動があって、お客さんはまた演芸場に足を運んでくれる。そうやって支えられていると美山さんは語る。

「美山」オーナー・美山豊さん:
好きじゃないとやれないね。お金のことだけ考えるとやれない。でもこうしてお客さんが喜んでくれるのを見てたら、やっぱりやりたくなる。これだけですね

(テレビ長崎)

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