コロナ禍の影響で減った親子同士の交流の場を増やそうと、長野・飯田市で「駄菓子屋カー」が運営されている。取り組んでいるのは、地域の母親たちだ。
「子育て世代が元気な地域に」
この記事の画像(11枚)母親:
うさぎのやつ?
娘:
とれた!
たくさんの駄菓子に目を輝かす子どもたち。飯田市三穂地区で運営されている「駄菓子屋カー」だ。
小学3年生:
選んだり買うところが楽しかった。みんなと集まれて楽しい
運営しているのは、小中学生の子どもを持つ母親3人だ。
今村沙月さん:
きょう、来店ポイント2倍になってます。家から出る時にお手伝い済ましてもらうと、さらにポイントつくので。お家のお手伝い、何でもできる範囲のことで。ありがとうございます、またね
アイデアを出した今村沙月さん(43)。2児の母で、普段は介護施設で調理員として働いている。
今村さんたちが暮らす三穂地区も、少子高齢化・過疎化が進んでいる。住民はこの15年ほどで約300人減って、1300人余り。今村さんは地域に活力がないと感じるようになった。
今村沙月さん:
(住民が)減ってしまうのは仕方のないことだけど、若い世代、子育て世代が元気に過ごせる地域であったらうれしい
気軽に集まれる場所
子育て世代の交流の場をつくりたいと考えた今村さん。当初は仲間を募ってキャンプを企画していた。
しかし、新型コロナの影響で密な状態になるキャンプの開催が難しくなった。そこで思いついたのが「駄菓子屋」だった。
今村沙月さん:
夏休みにおじいちゃんとラジオ体操行った帰りに、地元の商店に今の駄菓子にあたるものが結構、扱われていて、それを買って帰るのが楽しみでした。(今は)1人でお使いに出せるところがなくて、子どもが気軽に寄れるってところと、お小遣いの感覚、金銭感覚を身につけてほしくて、駄菓子がいいのではという発想に至った
仲間と協力して、借りてきた軽自動車の中に手作りの棚を設置。駄菓子はインターネットで仕入れることにした。
地域の理解も得て2020年9月から、週1回、駄菓子屋カーを始めた。すると親子だけでなく、地域のお年寄りも集まってくれるようになったと言う。
今村沙月さん:
こんな時代だからこそ、いろんな世代と絡もうと方向転換できたのは、逆にコロナのおかげというところもあったかもしれない
4カ月ぶりの再開でにぎわう
第6波の感染拡大で、2021年12月から休止を余儀なくされた駄菓子屋カー。先日、約4カ月ぶりに再開した。
今村沙月さん:
あまりにも久しぶりすぎて、手順やら何やら戸惑っています。でもよかったです、天気にも恵まれて
今村さんと一緒に駄菓子屋カーを運営する増田佳世子さん(38)と平田千華さん(32)。2人も小学生の子どもがいる母親だ。
増田佳世子さん:
子どもが集まる場所もそんなになかったので、すごくいいなと思っていたところで声がかかったので、やらせてもらいました
平田千華さん:
地域活性化というのもありますし、こういった活動で、今あるネットやSNSで発信して、こういった地域もあるんだ、行ってみたいなと思ってもらえるとうれしい
子ども:
でかいやつがほしい!
営業スタート。楽しげな声が響いた。取り揃えた駄菓子は、懐かしい定番の品を中心に70種類以上。
子ども:
ねりあめ、あった。50円
子どもたちには購入金額を書き込む「けいさんひょう」を配り、楽しみながら金銭感覚を身に着つけてもらうようにもしている。
久しぶりの駄菓子屋カーに…
小学4年生:
友達とかに会えてよかった。たくさん買えた
中学1年生:
結構、食べたいお菓子とかいっぱいあってうれしかった
駄菓子屋カーは保護者の「交流の場」にも…
保護者(伊賀良地区から):
なかなか(親も)普段、集まることが減ってきているので、こういうところでつながりができるのがうれしいです。私も子どもと一緒に楽しみにしてます、毎回
保護者(三穂地区から):
家の中でコロナ禍で、ゲームとかばっかしてるので、こういうところがあると外出て走り回ったりしているので、親もありがたい
親子が集うコロナ禍の憩いの場。駄菓子屋カーに再び、にぎわいが戻った。
今村沙月さん:
駄菓子って、私の母の世代、祖父祖母の世代も一緒に楽しんだ。(コロナで)人と一緒の空間にいることがなかなか難しいけど、屋外でできていることで、同世代だけでなく、年代の幅をもって楽しんでもらえる場所になっているのでは。また三穂以外の人たちにも、この三穂の良さや地域を伝える場所になるとうれしい
(営業は駄菓子屋カーのインスタグラムで確認(ID:dagashiya car))
(長野放送)