被害者は一体誰なのか。福岡市の九州大学跡地で切断され白骨化した遺体が見つかった事件は、有力な手がかりがないまま発生から1週間が経った。

がれきの中から、腰と大腿部を発見

赤木希アナウンサー:
事件発覚から1週間が経過した九州大学箱崎キャンパス跡地です。捜査員が行き交っていた当時の慌ただしさはなくなり、作業員が淡々と工事を進めています

遺体が発見された九州大学箱崎キャンパス跡地
遺体が発見された九州大学箱崎キャンパス跡地
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広さ約43ヘクタールの広大な現場が、事件解決の難しさを端的に示している。

事件が発覚したのは4月7日。再開発計画が進む福岡市東区の九大箱崎キャンパス跡地で、解体工事のがれきの中から、切断された腰と大腿部のほぼ白骨化した遺体が見つかった。

警察は死体遺棄事件として捜査本部を設置。司法解剖の結果、遺体は20代から40代の成人男性で、死後2カ月から7カ月が経過していることが分かった。

遺体のDNA型も特定されたが、警察庁のデータベースに該当はなし。身元はいまだに分かっていない。

捜査本部は、遺体が見つかったがれきの集積場付近の捜索を続けたが、新たな手がかりは得られなかった。現場での捜査をいったん打ち切り、行方不明者のDNAとの照合や大勢の工事関係者への聞き取りなど、地道な捜査へと手法を切り替えた。

懸命な捜査も新たな手がかかりは得られず
懸命な捜査も新たな手がかかりは得られず

捜査幹部:
かなりの長期戦を覚悟している。地道な捜査を続けるしかない

切断遺体事件に共通する2つの特徴とは

今回見つかった遺体の状態から、どのような犯行が考えられるのか?切断された遺体も数多く検視してきた監察医に尋ねた。

福岡県警察医会の大木實会長
福岡県警察医会の大木實会長

――大腿骨は太いが、スパっと切れる?

福岡県警察医会・大木實会長:
切れませんね、なかなか。少なくとも普通の料理包丁ですとか、そういった類いの刃物では無理ですね

――切断の道具として考えられるものは?

福岡県警察医会・大木實会長:
手近なところではノコギリですね。ただ、切断面が非常にきれいであれば、例えば電動ノコとかは、きれいに切れますからね

遺体の左脚は膝上に、右脚は付け根の部分に鋭利な刃物で切断された痕跡があった。こうした切断遺体の事件には、共通した特徴があるという。

福岡県警察医会・大木實会長:
1つは、被害者を特定されないようにということで、バラバラにするというのは多いですね

福岡県警察医会・大木實会長:
それから相当の憎しみなどがあって、そういった行為をやると。そういうことだと思います

今後の身元特定の糸口について、大木医師は次のように語る。

福岡県警察医会・大木實会長:
頭蓋骨が見つかるということは、非常に重要ですね。頭蓋骨が見つかれば、生前のお顔が推定できるやり方がありますので

長期化の様相を呈し始めた九大跡地の切断遺体事件。捜査本部は身元の特定を進めるとともに、事件の全容解明を急いでいる。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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