新たに26人の遺体が見つかるなど、次々に明らかになるロシア軍によるウクライナ市民の殺害。日本政府が日本にいるロシアの外交官らを国外に退去させると発表した。

ロシア軍から奪還した街に戻る市民で大渋滞…

ウクライナで取材を続ける報道写真家の八尋伸さんと伊藤めぐみさんが撮影した映像。ロシア軍から奪還したキーウ近郊の街「イルピン」へつながる道路には、隙間なく車が並び大渋滞となっていた。

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報道写真家・八尋伸さん
7日イルピンが一般住民に解放されました。イルピンにつづく街道は大渋滞となっています

イルピンでは地雷などの撤去が終わり、住人が街に戻ることが許された。

イルピンに住んでいた女性
これから家を見に行きます。写真で見たときは建物が真っ黒だった

次々と明らかになるロシア軍によるウクライナ市民の殺害。3月末にロシア軍から解放されたボロジャンカでは新たに26人の遺体が見つかった。

ロシア軍への協力を拒否した女性村長ら遺体発見

キーウ州モティジン村では、手を縛られた状態で死亡していた女性村長ら5人の葬儀が営まれた。

SNSに投稿された葬儀の映像には車に乗せられた村長らの棺の後を多くの村人が参列する様子が映っていて、「私の息子たち、私の娘、なんでこうなったの」と泣く女性の声もおさめられていた。

女性村長や夫、息子はロシア軍への協力を拒否したところ、連行されたという。

ロシア兵が民間人殺害について話す無線通信を傍受

一方、ロシア軍が市民を虐殺した疑惑がでているブチャの街。ドイツのメディアは、ロシア軍の兵士が民間人の殺害について話す無線通信をドイツの情報当局が傍受していたと報道。

その会話では、兵士達が自転車に乗っていた市民を射殺する様子を“日常会話”のように話していたと伝えている。

ロシア軍の撤収が進む首都キーウ周辺。しかしロシア軍はウクライナ東部を制圧した場合、再び首都を攻撃する可能性があるとウクライナ軍参謀本部は分析している。

ロシア側「兵力損失が大きい」と初めて認める

一方、ロシア側からも7日、注目の発言があった。ペスコフ大統領報道官はロシア軍の被害について…

ロシア ペスコフ大統領報道官
私たちの兵力の損失が大きい。それは私たちにとって大きな悲劇だ

侵攻以降多くのロシア軍兵士が死亡していることを初めて認めたのだ。ロシアがこれまでと一転して大きな被害が出ていることを認めた狙いは、どこにあるのだろうか?

ロシア政治に詳しい筑波学院大学の中村逸郎教授に聞いた。

筑波学院大学 中村逸郎教授
たくさんの兵士が亡くなったという情報は、ロシア国内ですでに広まっています。国内の世論の反響を見てみたいというのが、プーチン大統領の思惑だと思います。今後、停戦、そして和平への動きが加速することが考えられます

国際社会のロシアへの非難はさらに広がっている。国連総会では日本時間7日夜、人権理事会でのロシアの資格停止が3分の2以上の賛成多数で可決された。

日本政府もロシアからの石炭輸入禁止や、日本駐在のロシアの外交官8人の国外退去を求めるなど、ロシアへの新たな制裁を発表した。

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