10日に阪神競馬場で行われる桜花賞・1600メートル。今年で第82回を迎えるこの伝統のクラシックレースを舞台に、桜の女王の栄冠を目指し、若き才能が激突する。
この桜花賞、競馬ファンならご存じだろうが、3歳牝馬(ひんば、メス馬)だけで争われ、そのチャンスはサラブレッドの短い生涯でたった1度きりだ。
昨年は白毛馬で数々の重賞レースを制しているソダシが、サトノレイナスとの接戦を制し、白毛馬で初のクラシック制覇。競馬界に大旋風を巻き起こした。
この記事では女王争いで注目を集める人気馬の情報とともに、各陣営の手ごたえを紹介していく。
2歳女王の名にかけて、負けられない“サークルオブライフ”
ここまで5戦3勝。去年12月のGIレース阪神ジュベナイルフィリーズで見事勝利し、2歳女王の座を射止めたのがこのサークルオブライフだ。
この記事の画像(12枚)しかし前走のチューリップ賞では、桜花賞のライバル、ナミュールに敗れた。
騎乗はデビュー以来コンビを組むM.デムーロ騎手だ。
追い切り後の、国枝栄調教師はこう語る。
「やはりGIですので良いメンバーが集まったのではないかと思うので、しっかり自分の競馬ができないと厳しいかなとは思います」
「リズム良く行って、長く良い脚を使えると思うので、不利のないように伸びてきてほしいなと思います。スタートしてポンと出て良い感じで行けるのだったら、その位置(前目)でも良いですし、あえて急かしたり引っ張ったりすることなく乗ってもらいたいです」
一方この馬を操るM.デムーロ騎手は、ライバルとの対決に燃えている。
「(この馬は)気が強いですね。競馬が上手ですし、負けたくない気持ちがあります。前回はたまたま負けましたが、能力は高いですし、瞬発力もある馬です。2歳のGIを勝っていますし、負けたくないです」
“ナミュール”は 1勝1敗のサークルオブライフと決着の時
これまで4戦3勝。1番人気に支持されながら去年12月のGI阪神ジュベナイルフィリーズで敗れたナミュール。
しかし、ここで負けたサークルオブライフに前走のチューリップ賞では快勝。1勝1敗で決着をつけるときがこの桜花賞でやって来た。
前走と同様、横山武史騎手が騎乗するが、3日の大阪杯では一番人気エフフォーリアに騎乗しまさかの敗戦。
高松宮記念と大阪杯、どちらも1番人気の馬を勝利に導けなかった横山武史騎手がナミュールでどんな騎乗を見せるか注目が集まる。
横山武史騎手は現在の感触をこう語る。
「(調教では)チューリップ賞の前に乗せていただいて、すごく良い馬だという感触を得ていました。今日は再確認ということで、良い感触を得られました。チューリップ賞の前から良い馬でしたし、良い意味で変わってなければ良いな、と思っていましたが、良い意味で変わってなかったです。
まだまだしっかりしてほしいところはありますが、課題がある中でもしっかり走ってくれているので、気にしなくて大丈夫かなと思います。
(GIでは)ここ2週連続で期待に応えられていないので、何とか良い結果を出せるように頑張りたいと思います。前走は馬の力で勝てただけのレースなので、今回は馬の力プラス自分自身もしっかり乗れて、この馬の力を発揮できるよう頑張りたいと思います」
そして高野友和調教師は、この桜花賞に特別な思いを持ってのぞんでいる。
「桜花賞というのは歴史も伝統もありますし、華のあるクラシックレースです。一貫して生産する牧場に勤めていた経験がありますが、牡馬ならダービー、牝馬ならオークス、それ以上に言葉が出てくるのは桜花賞だと思います。
馬に関わる生産者の方にとって、桜花賞は胸に抱くレースだと思います。それを背負って出る馬を管理させていただくのは幸せなことですし、責任を感じて仕事をしています。
桜花賞というのは華のあるレースだと思いますし、一生に一度のレースです。桜花賞馬というタイトルをつけてあげられるかは一生に関わってきます。一族、兄弟や母親の評価にズシンとかかるレースです。
そういう思いで仕事をさせていただいていますが、出走全頭が良い競馬をできると思います。華のある桜花賞というレースを楽しんでもらえたらと思います」
“プレサージュリフト”「他の馬たちにリスペクトを持って臨みたい」
GⅢレースのクイーンC制覇など、これまで2戦2勝。今回出走するメンバーで唯一の無敗馬がこのプレサージュリフトだ。
ナミュール、サークルオブライフとはまだ対戦はないが、前走のクイーンCは自慢の末脚が炸裂した。無傷で桜の女王へ。鞍上は戸崎圭太騎手だ。
追い切り後の木村哲也調教師は、静かに闘志を燃やす。
「馬の体調を何とか戸崎騎手のパフォーマンスがしやすいような状態に持っていくことが第一で、そこに集中しています。
強い馬がたくさん出てきますので、関係者の皆さんを含めて他の馬たちにリスペクトの気持ちを持って臨みたいです。
参加させてもらえるのは本当にありがたいことなので、プレサージュリフト自身が現時点で良い体調、健康状態を保って戸崎騎手に跨ってもらえるようにしていきたいです」
武豊&幸四郎が、兄弟GI制覇に挑む“ウォーターナビレラ”
今年の桜花賞もう一つの注目は、歴代最多5勝を誇る武豊騎手が、弟の武幸四郎調教師が管理するウォーターナビレラで、JRA史上初の兄弟GI制覇に挑むことだ。
ここまで5戦3勝。阪神ジュベナイルフィリーズは3着、前走のチューリップ賞は5着と、ここ2戦は結果を出せていないが、この桜花賞はどうか。
武豊騎手はこう語る。
「(桜花賞は)クラシック第一弾で盛り上がるレースですし、数年勝っていないので勝ちたいですね。
相手は強いですが、自分のレースをしてどこまでやれるか、という気持ちです。今年の桜花賞は良い馬で挑むことができますし、馬も状態が良さそうなので、1着を狙って乗りたいと思います。
(武幸四郎調教師からは)何もないですよ。逆に心配になるくらい連絡もないですね。しばらく顔も見ていないです。(勝てば表彰式に並ぶことに、という質問に)調教師と騎手ですからね。そうなれば良いですね。がんばります」
桜花賞は、オークス・秋華賞と続く“牝馬三冠レースの最初の関門”であり、5着までの馬にオークスの優先出走権が与えられる。
過去、三冠制覇を成し遂げている馬はわずか6頭。栄えある名馬に名を連ねる、新たなスターホースは誕生するのか?すべてはここから始まる。
みんなのKEIBA 桜花賞・GI
4月10日(日)15時から生中継
https://www.fujitv.co.jp/sports/keiba/index.html