絵を描く際に使う色鉛筆。この裏側がTwitterで話題となっている。まずはこちらを見てほしい。一見すると普通の色鉛筆セットなのだが…。

普通の色鉛筆に見えるが…
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赤色の鉛筆をくるりと回転させると、裏側からお地蔵様が登場!にこやかにほほ笑んでいて、見ているこちらも笑顔になりそうだ。

裏側にはにこやかなお地蔵様が!

投稿したのは、京都府在住の宮本我休さん(@Gakyu_Miyamoto)。3歳の娘が保育園で使うことになったことから、名前を書けるように持ち手部分を削ったときに彫ってしまったのだとか。

実は宮本さんは仏像の彫刻家「仏師」で、京都府認定の若手職人「京もの認定工芸士」の一員。仏像や位牌などの制作を手掛けるプロなのだ。

宮本我休さん

投稿では「彫刻家を父に持つとこうなるんだよ」と冗談めかしてもいて、遊び心にTwitterでは「すごい良い顔してるな~このお地蔵さま」「絶対に無くさないと思います」などの反応が続々。22万以上のいいねを集めている。(4月6日時点)

子どもの守り仏であるお地蔵様を彫った

ほっこりとする“いたずら”だが、お地蔵様を彫ったのはなぜだろう。そして、娘さんの反応はどうだったのだろうか。いたずらの経緯やその後を宮本さんに聞いた。


――色鉛筆にお地蔵様を彫った経緯を教えて。

ちょうど4年前、当時3歳の長男に同じことをして喜んでもらえた(色鉛筆に大黒様を描いた)ので、娘には違う種類の仏様をと考え、子どもの守り仏であるお地蔵様を選びました。長男の時は妻から「名前が書けるように削っておいて」とだけ言われましたが、彫刻刀を持つとどうしても形にしたいという欲求に駆られました。

息子さんの色鉛筆には大黒様を彫った

――今回の制作時間は?彫ったのは赤鉛筆だけ?

制作時間は休憩時間の1時間くらいです。もっと完成度を高めたかったですが、ご依頼でお待たせしている方もおられる中で、これくらいが限界でした。(彫ったのは)赤だけになります。赤は魔除けの色でもあり、子どもを守ってもらいたいという思いもありますし、お地蔵様のよだれかけも赤ですので。


――お地蔵様を彫る上でこだわったことは?

やはりニッコリとさせること。我が家は笑いが絶えない家族ですので、満面の笑顔で彫るように心がけました。あとは赤のよだれかけですね。鉛筆は芯の部分を除くと彫れるところがかなり少ないので、限られた範囲での細かい細工にとても苦労しました。

宮本さんはお子さんから着想を得た作品も制作している

――色鉛筆以外で彫刻家ならではの“いたずら”をしたことはある?

それがないんですよね。これが長男、長女それぞれ最初で最後だと思います。

3歳娘は「かみたま?」の後に大爆笑

――娘さんはお地蔵様に気づいた?反応は?

朝の子どもの面倒は私が見るのですが、4月4日の朝、食事を取ったあとにこちらが促して開けさせました。第一声は「これかみたま?(神様)」で、その後に少し間をおいて大爆笑。ニコニコで「使っていい?」といって早速使ってました。3歳なので言葉での表現が難しいですが、親としてかなり喜んでくれているということがわかってうれしかったです

お地蔵様が彫られた鉛筆を使って大爆笑する娘さん

――娘さんには色鉛筆をどのように使ってほしい?

大事にしてくれたらいいなと思いますが、3歳だから難しいかなと…。私は親が役人で日頃どういった仕事をしているかを感じることなく育ち、大人になり知っておきたかった、という後悔が今もあります。色鉛筆を通して、子どもたちには父親の仕事を身近に感じてもらいたいですね。


――子どもが父親に影響されて、彫刻を彫るようなことはあるの?

はい、この間、息子がやってみたいといいだしたので、球体を彫らしてみました。

息子さんのお願いで一緒に彫刻をすることも

――お地蔵様や大黒様は普段でも彫っているの?制作でのこだわりは?

よく制作します。私の処女作が大黒様であり、わらべ姿のお地蔵さまは長男が1歳のとき、可愛くて可愛くて、どうにかこの可愛さを形にしたいと思い制作を始めました。子どもは存在自体が純粋無垢な仏様のような存在です。混沌とした世の中で、人の心も蝕まれてきているように思いますが、その純粋無垢な可愛らしさで人に癒やしを与えられるような仏様を彫れるようにと日々心がけています。


お地蔵様はいたずらで彫ったとのことだが、そこには子どもを守ってほしい、仕事を身近に感じてもらいたいという、父親の願いが込められていた。娘さんも気に入っているようなので、色鉛筆を使うたびにニッコリとほほ笑んでくれるかもしれない。

(提供:宮本我休さん)

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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