2月に麻生派を退会した自民党の佐藤勉前総務会長と菅前首相を支える園田修光参院議員らおよそ10人は、23日、国会内で勉強会を開催した。参加者によると、菅氏を中心とした勢力の結集に向けて、衆参両院で連携していくことを確認した。一方で、菅氏を中心とした勢力の初会合の開催時期については、続くロシアによるウクライナ侵攻を受け、慎重に見極めていくことで一致した。

また、菅氏を慕う「ガネーシャの会」は17日に菅氏が旗印として掲げる「縦割り打破」で、実現するべき政策テーマをまとめ、菅氏に報告した。

「縦割り打破」実現のための勉強会は、政策ごとに人が自由に入れ替わって集まる「この指止まれ」方式で開催される見通し。テーマは、温室効果ガスの排出実質ゼロを目指す「カーボン・ニュートラル」や不妊治療の支援策など、菅氏が首相時代に注力してきたものが多く含まれるが、「新しいアイデアもたくさんある」(参加者)という。勉強会には、菅氏を慕う無派閥の議員に加えて、二階派や森山派からも参加する方向だ。

菅氏を取り巻く動きは3月に入り活発化している。15日には、菅氏が二階元幹事長、森山前国対委員長、林前幹事長代理が会談し、連携を確認。22日も佐藤氏、森山氏、林氏が会談し、事務レベルでの作業を具体的に進め、菅氏を中心とした勢力の初会合の4月開催を目指すことで一致した。

「勉強会があれば、先々どうとでも転べる」(自民党重鎮)とより強固なグループ結成を意気込む向きもある一方、「菅氏はあくまで政策を実現するための真面目な勉強会を開催したいだけだ」(菅氏周辺)との声も上がる。

ただ、ここにきて「岸田首相と菅氏の関係が変化してきた」(自民党ベテラン議員)との見方も浮上している。これまで、緊張関係にあるとみられていた両氏だったが、選挙協力をめぐってこじれた公明党との関係修復に「首相側の要請に菅氏が応じ、尽力した」(自民党関係者)ほか、保守分裂選挙となった石川県知事選では、安倍派に所属していた馳浩元文科相の応援に入り、いち早く支持を表明。結果、馳氏は激戦を制して勝利した。

「菅氏は、岸田おろしをやりたいわけではない」(菅氏周辺)との見方も出る中で、夏の参院選に向けて、菅氏がどのような動きを見せるのか注目される。

政治部
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