FNNは、3月19・20日の両日、全国の18歳以上の男女を対象に、電話世論調査(固定電話+携帯電話・RDD方式)を実施し、1,029人から回答を得た。

年金生活者5000円に厳しい声 反対54・5%

今回の調査で注目されたのは、政府与党が検討している年金生活者らに5000円を支給する案の是非だ。自民、公明両党の幹部は15日、岸田首相にこの特別給付金を要請した。新型コロナの影響で現役世代の賃金が下がり、それに応じて年金支給額が下がることがその理由だ。

この給付金について、世論調査では、「支給すべきでない」が54.5%と半数を超え、「支給すべき」は41.2%だった。

年金生活者らに5000円給付すべきか?
年金生活者らに5000円給付すべきか?
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これを年代別に見ると、60代では、「支給すべき」36.3%、「支給すべきでない」55.7%。70歳以上では、「支給すべき」39.1%、「支給すべきでない」55.7%。いずれも半数以上が支給に反対している。単に5000円をもらえない若い世代が支給に反対しているという単純な構図ではないことがうかがえる。

年代別:年金生活者らに5000円給付すべきか?
年代別:年金生活者らに5000円給付すべきか?

17日の参院予算委で、立憲民主党の蓮舫参院議員は、「7月は参院選。選挙目当てじゃないか」と岸田首相に迫った。参院選を意識した「バラマキ」との批判に、今後、政府与党がどう対応するかが焦点だ。

岸田首相×立憲・蓮舫氏
岸田首相×立憲・蓮舫氏

一方、原油価格の高騰を受け、ガソリン税の税率を一時的に引き下げる「トリガー条項の凍結解除」も注目だ。税率引き下げのための凍結解除をすべきだと思う人は68.6%、思わない人が20.3%だった。公明党は実現に積極的だが、政府与党内には、積極論、慎重論の両方があり、参院選も睨んで攻防が続いている。

トリガー条項の凍結解除
トリガー条項の凍結解除

まん延防止を全面解除 コロナ対策への評価も上昇

一方、内閣支持率は堅調だ。岸田内閣を「支持する」人は、2月の前回調査から3.2ポイント増えて65.8%。「支持しない」と答えた人は2.1ポイント減って27.9%だった。

内閣支持率の推移グラフ
内閣支持率の推移グラフ

さらに、政府の新型コロナウイルス対策を評価する人は、2月より12ポイント増えて58.9%。評価しない人は34.1%だった。

政府のコロナ対策の評価推移
政府のコロナ対策の評価推移

東京・大阪など18都道府県に適用されていたまん延防止等重点措置は、期限である21日までで全面解除される。この政府の判断を評価する人は65.6%、評価しない人は27.7%。重点措置の解除がコロナ対策への評価につながっているとみられる。

岸田首相は20日、訪問先のカンボジア・プノンペンで、記者団から内閣支持率について問われ、時折笑みも浮かべながら、「いい数字が出ることもある。厳しい数字が出ることもある。一喜一憂しても仕方がない」と語った。

「一喜一憂しても仕方がない」岸田首相  カンボジア・プノンペン
「一喜一憂しても仕方がない」岸田首相  カンボジア・プノンペン

ウクライナ侵攻で尖閣・台湾の危機を懸念84.2%

ロシアによるウクライナ侵攻についても聞いた。

ウクライナ侵攻に対する岸田首相の対応を評価する人は57.6%、評価しない人は29.0%。6割近くが岸田首相の対応を評価している。

ウクライナ対応の評価
ウクライナ対応の評価

日本が米国などと行っている経済制裁については、「非常に効果がある」(6.1%)、「ある程度効果がある」(58.8%)で、効果があると考える人はあわせて64・9%だった。

一方、効果がないと考える人は、「あまり効果がない」(28.7%)、「まったく効果がない」(3.1%)をあわせて31.8%だった。

ロシアへの経済制裁の効果
ロシアへの経済制裁の効果

一方、ウクライナ侵攻が、中国の武力による台湾や沖縄県の尖閣諸島の危機につながることを懸念している人は、「非常に懸念している」(41.7%)と「ある程度懸念している」(42.5%)をあわせて84.2%にのぼった。日本人の中にも不測の事態への危機感が広がっている。

中国の武力による台湾・尖閣諸島の危機
中国の武力による台湾・尖閣諸島の危機

ウクライナでの戦闘の停止や避難民の支援に、日本が国際社会と連携してどう取り組んでいくのか。岸田政権の対応を注視していきたい。
 

(フジテレビ 報道局政治部 編集委員 三嶋 唯久)

三嶋唯久
三嶋唯久

フジテレビ報道局政治部編集委員・解説委員。神戸市出身。細川政権から政治取材をスタート。
政治討論番組「新報道2001」のプロデューサーやFNN世論調査なども担当してきた。

政治部
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日本の将来を占う政治の動向。内政問題、外交問題などを幅広く、かつ分かりやすく伝えることをモットーとしております。
総理大臣、官房長官の動向をフォローする官邸クラブ。平河クラブは自民党、公明党を、野党クラブは、立憲民主党、国民民主党、日本維新の会など野党勢を取材。内閣府担当は、少子化問題から、宇宙、化学問題まで、多岐に渡る分野を、細かくフォローする。外務省クラブは、日々刻々と変化する、外交問題を取材、人事院も取材対象となっている。政界から財界、官界まで、政治部の取材分野は広いと言えます。