「ジェノサイド」と強調 キエフ市長インタビュー全容
日本時間3月17日夜、ウクライナのキエフ市長、ビタリ・クリチコ氏がフジテレビの情報番組「めざまし8」の単独インタビューに応じました。
その主なやりとりの全文をここに詳報します。
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
毎日私たちはメディアと一緒に仕事をしています。すごく大事なことです。今は「放送の戦争」になっているんです。毎日いろんなジャーナリストと話をして、インタビューを受けていて、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、インド(のメディア)にもインタビューされました。毎日5回、6回インタビューを受けています
毎日各国のインタビューに対応しているというクリチコ市長ですが、日本のメディアに答えるのは「めざまし8」の取材が初めてといいます。
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
情報がすごく大事なので、キエフで起きていることを全部お話します。今キエフではジェノサイドが起きているのです
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
ロシア軍は多くの民間人を殺して、ウクラナ人をいっぱい殺しています。殺しているのは子供たちや女の人たちなど、毎日民間人が亡くなって、子供たちも100人以上犠牲になっています
「プーチンは嘘をついている」指弾
――キエフの今の状況を教えてください。人々はどんな様子ですか?
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
キエフは前と全然違う街になってしまいました。私は民間人に家から必要なければ出ないでくださいとお願いしています。軍隊のサイレンを聞いたら、シェルターに行ってくださいとお願いしています。私たちは朝でも夜でも夜中でもミサイルの音を聞いています。(砲撃は)毎日建物を破壊して、毎日首都に砲撃がおきています。ミサイルは民間人が住んでいた建物にも落ちているのです。市民が望むことはひとつです。キエフ市民はどこへも出たくないし、武器がほしいです。キエフを守りたいのです。私たちはここに住んでいるのだから。ここ(キエフ)は私たちの家族、ここは私たちの子供たち、ここは私たちの未来なのです。ここで私たちはひざまずくことはありません。いま、キエフは要塞になりました。道が全部、建物が全部、要塞となりました。
私は、市長としていつでもどこでも、絶対に倒れない約束をしています。キエフはこれからもウクライナの街です
口にしたのは、ロシア軍に屈さず、故郷を守り抜く覚悟でした。
今後、さらなる犠牲者を出さないためには、一刻も早い停戦が望まれますが、その鍵を握るプーチン大統領についてクリチコ市長が指摘したのは「ウソ」について。
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
プーチンは嘘をついている。記憶を操作しています。安定した心を持っている人なら、こんな戦争は起こしてはいません
「プーチン大統領のウソ」と市長が指摘したのは、16日の発言です。
ロシア プーチン大統領:
キエフはロシアがロケットを撃ったと大きな嘘まで話していた
キエフの攻撃に関する発表をめぐってプーチン大統領は「大きな嘘」だと主張したのです。
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
プーチンは、民間人からゾンビを作りました。それは全部自分の国を守るためだと言ってはいるけれども、実際には自分のことだけを守りたいと考えているに過ぎません。ウクライナ人はみんなショックです。ハリコフという町はなくなってしまいました。今は安全なところがないです。あちこちミサイルが落ちているので、どこでも落ちる可能性があります。キエフの周りの小さな街、ブチャ、ゴストメル、イルピンでも何人も亡くなっています。連絡がとれなくて1000人以上亡くなった可能性があります。その街も破壊されました
クリチコ市長によれば、小さな街ごと破壊されている場所もあるとしています。
公用語「何語でも大丈夫」「ウクライナが好きかどうか」
停戦合意案の中身として「ロシア語公用語指定」が取り沙汰される中、市長は「元々多言語によって成り立っていて何語でも大丈夫だ」と見解を示しました。
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
どんな言葉をつかっても関係ない。ウクライナには70以上の国籍の方がいるから全く関係ないのです。ウクライナではどんな国籍の人でも関係がなかったのです。どんな宗教でも関係ないです。国にとってはウクライナ語だけになってほしいけれど、何語でも大丈夫です。クロアチア語でもロシア語でもブルガリア語でも人が話している言葉なのでそれは問題ない。それは一番大事な質問ではない。ウクライナが好きかどうか、それが一番大事な質問。どの教会に行っているのは関係がない。ウクライナが好きかどうか、それが一番大事な質問なのです
キエフ市長が今伝えたいこと
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
私たちは自分たちの国を守っているだけじゃなくてヨーロッパを守っています。世界中のスタンダードを守っているのです。私たちはプーチンの本当の目的はわからない。興味がどこで終わっているか知り得ないし、それがドネツクなのかポーランドやドイツの国境でとまっているのか、それは誰も知らないのです。外国の支援に心から感謝しています。ロシアに比べて私たちは小さな国です。外国からの支援により、わたしたちは戦う準備ができました。私たちはただ自分の国を守っています。私たちを助けてくれるみんなに感謝しています
――日本人に向けて伝えたいことはありますか?
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
ボクサーの仕事でも私は何回も日本に行ったことがあります。京都に何回も行きました。京都府知事さんととても仲良しです。日本が大好きで、日本を尊敬しています。ウクライナをサポートしてくれて尊敬しています
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
日本の人に一番大事なメッセージです。あなたたちはこの戦争を止めることができます。抗議を行動に起こして表明してほしいのです。例えばロシア大使館の前で「戦争をやめろ」と。誰にとっても戦争は必要ありません。ウクライナで戦争が起きていますが、日本は関係ないと思ったら間違いです。北方領土のことがある日本人には気持ちが理解できるのではないでしょうか。今、私たちが望むのは、いろんな国にひとつになってほしいということです。ウクライナは助けが必要です。戦争が広がらないように助けが必要です
キエフ市 ビタリ・クリチコ市長:
ロシアと取引をやめてください。1ドルでも1ユーロでもロシアに入るお金は軍のお金になります。経済制裁がウクライナを守るためのとても力になるのです。戦争が終わるためにこの方法しかありません。ロシアの軍を止めるために団結すること、それは私たちの力です。
(「めざまし8」3月18日放送取材より)