3月で閉館する、長野市の「少年科学センター」。自然科学や科学技術に触れられる施設として36年間、世代を越えて親しまれてきたが、もうすぐ役目を終える。市民に思い出を聞いた。

ファイナルイベントに大勢の親子「さみしい」

城山公園にある長野市少年科学センター。まん延防止措置の適用で1カ月以上、休館していたが、3月8日に再開。子どもたちが戻ってきた。

気分は電車の運転士
気分は電車の運転士
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気分は電車の運転士。巨大なシャボン玉の中にも入れる。

巨大なシャボン玉の中に…
巨大なシャボン玉の中に…

重さ10キロのボウリングの球。これを細長い筒に入れ、掃除機で空気を吸い取ると…。

子どもたち:
ええー!

浮き上がった!
浮き上がった!

週末には、コロナ禍で休止していた工作教室やサイエンスショーが開かれた。センターの「ファイナルイベント」だ。3月末に36年にわたる歴史に幕を下ろす。

記者:
閉館するのどうですか?

息子(7歳):
さみしい

父親(市内・47歳):
朝一番に来ました。子どもの頃から来ていたところなので寂しい気持ちはあるけど、(自分の)子どもが生まれて一緒に来られて良かったなと

世代を超えて 体験型の展示が人気

北沢館長は約20年、センターで働いてきた。

長野市少年科学センター・北沢正晃館長:
すごく市民の皆さまに愛されている施設でしたので、寂しい思いが強かった

センターがオープンしたのは1985年。自然科学や科学技術に触れてもらおうと体験型の展示物をそろえ、子どもたちや家族連れに親しまれてきた。

長野市少年科学センター・北沢正晃館長:
80年代というのはすごく科学技術が進歩した年代だったので、学べる施設をつくろうという動きがあって、ここがつくられたのではないかと

オープンは1985年 当時の様子
オープンは1985年 当時の様子

コロナの影響で来館者はこの2年は落ち込んだものの、近年は年間10万人前後で推移してきた。

息子(7歳):
遊ぶやつがいっぱいあって楽しい

父親(市内・41歳):
自分も子どもの頃から慣れ親しんだ施設です。40回以上は来てるんじゃないですか。鉄道シミュレーターはやっぱり思い出に残っていますね

来館者は近年、10万人前後で推移
来館者は近年、10万人前後で推移

息子(市内・12歳):
(センターに来て)授業の理科が面白くなりました。将来は科学を生かして、環境にやさしいものを作れるようになりたい

父親(市内・48歳):
コンピューターに初めて触れることができたから、それが一番の思い出

イベントなど工夫を凝らして…科学への関心を実感

一方、これまで大幅なリニューアルはなく、次第に展示の古さが目立つようになった。

長野市少年科学センター・北沢正晃館長:
更新しようと思うと非常に高額な部分があるので、その辺が難しいところ

センターは、県外の施設で不要となった展示物や手作りの模型を設置。科学や宇宙に関する様々なイベントを開催するなど工夫を凝らしてきた。

長野市少年科学センター・北沢正晃館長:
子どもたちは質疑応答のコーナーで、すごく熱心に質問をする。将来、自分も宇宙の仕事がしたいけど、どうすればいいかとか。理科離れの中、そういう志を持った子どももいっぱいいるんだなと

しかし、科学分野の展示を更新し続けるのは難しく、就学前の子どもたちの利用ニーズが強いことから、2024年に屋内遊具を中心とした「ながのこども館」に生まれ変わることになった。センターの一部展示やサイエンスショーは引き継がれる見込みだ。

閉館が迫り来館者は増加傾向に。2021年の休日は1日300人ほどだったが、最近は700人に上る日もある。親子3世代で訪れた家族に話を聞いた。

母(千曲市から):
初めて来たときは小学校5年生くらいのときで、初めて科学に関していろんなものを見たのが思い出に残っています

娘(11歳):
なくなっちゃうから、もう来られない

祖母:
(こういった施設は)あった方がいいんじゃないですかね

こちらの親子にとってセンターは、学校の授業を補完する貴重な場だった。

父親(市内):
息子が発達障害を持っているので、普通の学校での学びとは別に、目で見て触れてというのが、この子はわかりやすい。学校や家庭だと難しい部分が、こういう場所ではやらせてもらえるのかなと

息子(14歳):
地下一階にある鉄道模型が好きで、動いていない列車もずっと見ちゃうくらい好きです。かっこいいです

子どもたちの夢を育み、多くの思い出を残してきた少年科学センター。営業はあと半月だ。

長野市少年科学センター・北沢正晃館長:
皆さん入ってこられて、真っ先に「懐かしい!」と言われるのが光栄です。(施設がなくなっても)ここで科学が好きになって将来、その方面に進んだというお子さんがこれからも出てくる可能性がある。期待しています

(長野放送)

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