個性的なビールを少量生産する地ビール、いわゆるクラフトビールのブームが再来している。
静岡・島田市でも初めてクラフトビールの醸造所がつくられ、ホップも栽培されている。めざすは「働く女性のご褒美ビール」。ビールが苦手な醸造長が、ビールが苦手な人でも飲めるよう工夫しているそうだ。

苦労の末にホップを収穫

島田市伊久美地区で、ビールに苦みをつける「ホップ」の生産に挑戦している小林浩樹さん。2021年春に栽培の様子を取材した。

ビアホップおおいがわ・小林浩樹代表:
その土地、土地でやり方が違ったり、栽培方法が違ったりするものですから、考えながら行動するのが大変であり、魅力でもあります

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ホップはつるを伸ばす植物で、高い位置に実をつける。そのため、つるをはわせる紐を張る必要がある。

小林代表:
一通りはわせると100本なので、ここのほ場だと500本準備しています。ホップ農家さんを見てわかっていたのですが、本当に大変ですね

多くの苦労の末、収穫までたどり着いた島田産のホップ。長雨やカモシカによる影響を受けたが、2021年夏に無事収穫することができ、冷凍保存されている。

小林代表:
収穫は畑によって格差がものすごく出て、目標通り収穫できたところもあるし、ほぼ全滅というところもあって、本当にいろいろ勉強した一年でした

醸造長はビールが苦手

小林さんたちは新たな挑戦を続けている。伊久美地区にあったそば打ちなどの体験施設の建物を活用し、2021年12月にクラフトビールの醸造所「193 VALLEY BREWING」(イチキュウサン バレー ブリューイング)をオープンした。

2021年12月にオープンした地ビール醸造所
2021年12月にオープンした地ビール醸造所

醸造長を任せられている渡辺威夫さんは、普段は島田市の地域おこし協力隊として活動しながら、ここでクラフトビールを醸造している。

渡辺威夫醸造長:
10年前、大学生の頃にこちら(伊久美地区)の方と交流を持たせていただいた。今度新しくビールをつくるよとなった時に、また自分たちが社会人になって経験して力をつけた状態で、何かお手伝いができるのではないかと関わり始めました

掛川市にある別のクラフトビール醸造所で今も勉強中だ。勉強を始めた頃は、とても苦労したという。

渡辺醸造長:
自分はビールが苦手だったということもあり、ビールに興味を持って勉強するところから、苦労とは思ってないがちょっと大変だった

めざすは“働く女性のご褒美ビール”

こうして完成した初の自社醸造クラフトビール。今回は海外産のホップを使い、伊久美地区にゆかりのあるアワを隠し味に加えたペールエールや、新アルコール飲料として注目されている低糖質や低アルコールの発泡酒のあわせて3種類を醸造した。

3種類の自社醸造クラフトビール
3種類の自社醸造クラフトビール

ビアホップおおいがわ・小林浩樹代表:
ビールが苦手な方にも飲んでもらいたいし、女性の方、働く女性の方にも“ご褒美ビール”という形で飲んでほしいので、苦くなくて香りがしっかり立つようなビールをつくっていきたい

地元特産レモンで新アルコール飲料も

新たな試みもある。地域に根差したクラフトビールをつくるため、伊久美の農産物を副原料として加えた新アルコール飲料を開発した。

小林代表:
無農薬栽培したこの伊久美地区のレモンと、クラフトビールで使うホップの品種で「モザイク」というすごい人気のある品種を一緒につけ込んだ新アルコール飲料です

地元産レモンを使ったアルコール飲料
地元産レモンを使ったアルコール飲料

ビールには欠かせない麦芽の量を通常の半分以下にすることで、レモンのさわやかさとホップの香りを先に感じることができる。

小林代表:
ビールの苦手な方もいるで、それを飛び越えたいと思い、麦芽使用の25%以下を目指した。さらに低アルコールで、2%のアルコール飲料にしました

観光施設にも問い合わせ

クラフトビールの一部は、島田市にあるKADODE OOIGAWA(カドデオオイガワ)のハンバーガーショップでも提供を始めた。

地元観光施設でのメニュー
地元観光施設でのメニュー

KADODE OOIGAWA・杉山貴紀マネージャー:
お客様が直接お店に来て「ビール飲めますか」とか、「ビンで置いてありますか」という問い合わせはすごく多くいただいております

まん延防止等重点措置の期間中は中止していたが、再び提供を始めた。

クラフトビールの力で地域を元気に

島田市で初めてつくられたクラフトビール。小林さんたちの、島田市、そして伊久美地区への思いが詰まっている。

ビアホップおおいがわ・小林浩樹代表:
地域に愛されるビール、お客様に愛されるビール。ビールは嗜好(しこう)品なので、好き嫌いはあると思う。そういう中でも愛されるビールでありたいなと思っています

クラフトビールの力で地域を元気に。小林さんたちの挑戦は続く。

(テレビ静岡)