豊臣秀吉が大名や茶人を招いた「黄金の茶室」を復元しようというプロジェクト。
約1万6,500枚の金箔を1枚1枚貼っていく復元作業の結果、唐津市の名護屋城博物館に見事な『黄金の茶室』が蘇った。

金箔1万6500枚を1枚ずつ手作業で…

豊臣秀吉が安土桃山時代に制作を命じた黄金の茶室。記録では、茶室は移動ができる組み立て式で、朝鮮出兵の際には今の唐津市鎮西町にある名護屋城に運ばれ、4回使用されたとされている。

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その黄金の茶室を復元しようというプロジェクトが進んでいる。
制作は福岡・直方市の工房で行われた。
これは茶室の「天井板」。文化財の修復などを手がける「はせがわ美術工芸」の職人が、11㎝四方の金箔を1枚1枚貼っていく。金の純度は99.8%。

はせがわ美術工芸・中山智恵さん:
金箔は真四角に押さないといけないんですよね。それでぐしゃっとなったら貼り替える、そこが一番大変で。貼る間は、たまに息をすることも忘れるような感じで作業をしています

金箔を2度貼る「2度推し」を行っている中山さん
金箔を2度貼る「2度推し」を行っている中山さん

金箔を2重に貼る「2度押し」で、強度を上げる。
金箔は接着液を使って木地に貼り付ける。接着液を木地に塗る際も、高度な技術が求められる。

はせがわ美術工芸・野添晃太郎さん:
同じ液の濃さ、残し具合にしないとつやも変わってきますし、「残しすぎず取りすぎず」ということを意識しながら作業はしています

はせがわ美術工芸・野添晃太郎さん:
伝わってくる時のその重さで、接着液がいっぱい残っとるなとか

制作期間は、2021年8月中旬から約半年に及んだ。

黄金の茶室が名護屋城博物館に蘇る

部品は湿気を防ぐため、密閉された木箱で運ばれた。部品の数は75。搬入作業だけで1時間以上かかった。

波佐間崇晃アナウンサー:
搬入作業が終わりました。これまで博物館の休憩スペースだったこちらのブースで、組み立てが行われます

豊臣秀吉が大名や茶人を招いた黄金の茶室が蘇った。茶室の広さは3畳。壁、障子、ふすま、茶器、その全てに金箔が使用されている。枚数は、合わせて約1万6,500枚にのぼった。

幻想的な空間を演出するため、今後は更に照明の調整が行われる。

はせがわ美術工芸・中川洋昌取締役:
本当に素晴らしいなという風に見えてですね。本当に良かったなと思っております

名護屋城博物館 学芸員・安永浩さん:
名護屋城ともゆかりの深いこのお茶室を実際ご覧いただいて、豊臣秀吉が当時のこの名護屋の地で展開したお茶湯の文化に思いを馳せていただきたいなと思います

黄金の茶室の公開は3月27日から。公開後には、茶道体験などの催しで茶室の中に入ることができるという。

(サガテレビ)

サガテレビ
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