しまなみに復元した塩づくりの装置に、今治市特産の菊間瓦がコラボ。
オリジナルの塩を作って開発したスイーツは、瀬戸内の「潮」と歴史が香る。

塩生産装置を復元 今治の歴史を感じさせるスイーツ

きらきらと輝くしまなみの海、愛媛・今治市大島の海岸近くで、2021年の秋に作られたのは塩づくりの装置。
ベースになっているのが、今治の特産・菊間瓦。

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持ち主は、今治市旭町の食のセレクトショップ「FunTable Kitchen」。
社長の河野秀俊さんは、ソルトコーディネーターの資格を持つほど塩に並々ならぬこだわりがある。

セレクトショップ「FunTable Kitchen」社長
セレクトショップ「FunTable Kitchen」社長

FunTable Kitchen・河野秀俊社長:
瓦で昔は塩を作ってたよっていう歴史を聞きまして。今治市の伝統産業である菊間瓦で、ぜひ塩を作ってみたいと

大島を含む瀬戸内は、江戸時代には全国的に知られた塩の生産地。
菊間瓦を使った装置は、太平洋戦争の末期に使われていたことを知って復元したもの。

この装置から作られるのは、オリジナルの「かわら塩」。
まさに今治の歴史と伝統産業の味わい。

店には新たなスイーツとして、この塩を使ったクッキー、そして塩チーズケーキが誕生し、瀬戸内の風味を添える引き立て役として使われている。

天日干しでエコな取り組み…甘さの中にさっぱりとした味わい

塩作りは、まず大島の海からくんだ海水の濃縮から。
装置に流し込んでポンプで循環させると、瓦が吸収した熱で水分が減っていく。

そして、ここからがこだわり。
濃縮された海水を器に移し、天日干しで塩の粒になるまで乾かしていく。
昔は海水を火を使って煮詰めていたが、この方法だと二酸化炭素が出ず、エコになるという。
さらに、水分が完全になくなると「かわら塩」のできあがり。
塩の粒は大きく、さらに「にがり」を多く含むため、味はまろやかという。

クッキーを作る際は、オーブンで焼く直前に「かわら塩」をパラパラ。
焼き上がってできるのは、レモンやブラッドオレンジなどを練り込んだ4種類。
クッキーは瓦の形をしていて、大粒の「かわら塩」は存在感抜群。

FunTable Kitchen・河野秀俊社長:
このちょっとしたアクセントが、口の中で甘さの中にさっぱりとした感じがあって、好評いただいております

これから春になり暖かくなると、海水が蒸発しやすくなり、「かわら塩」の生産量も増える見込み。

FunTable Kitchen・河野秀俊社長:
手土産で持って帰れるような形で、今度はパウンドケーキで塩キャラメルを作ってみたりとか、何かいろいろ塩を使った焼き菓子を新しく開発していきたいと思っております

「かわら塩」を使ったスイーツは、地元の産業とともに瀬戸内の塩の歴史も伝える。

(テレビ愛媛)

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