ロシアに対する経済制裁が加速している。アメリカが名指ししたのは、ロシアの報道官とその家族。取材で垣間見えてきたのは、豪華な生活ぶりでした。

加速するロシアへの制裁 「過去に例がない経済戦争」

アメリカのバイデン大統領は、これまでロシアに認めてきた貿易における「最恵国待遇」の取り消しを発表。低い関税で取引してきたロシアからの輸入品に、今後は高い関税をかけられるようになります。

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一方、日本を含むG7も共同声明を発表。アメリカ同様にロシアの最恵国待遇の取り消しや、世界銀行などの金融機関からロシアが借り入れできないようにすることを決めました。さらに、プーチン大統領やロシアの新興財閥「オリガルヒ」などへの圧力もかけ続けると発表。

日を重ねるごとに厳しさを増す、ロシアへの制裁。それはロシア政府関係者に対しても…。

ロシア ペスコフ大統領報道官:
わが国に対して始められたような経済戦争は過去に例がない。

ロシアのペスコフ大統領報道官は、各国による例がない経済制裁によって国内経済が一時的なショック状態にあると非難しました。

そうした中、ペスコフ氏以上に怒りを表明したのが妻のタチアナ・ナフカさんです。2006年、トリノオリンピックのフィギュアスケートアイスダンスで金メダルを獲得。ロシアではフィギュア界のカリスマとして大きな影響力を持っています。

【タチアナ・ナフカ氏のインスタグラムより】
最近、私自身や私の家族、同胞、そして国全体に向けられた、単なる憎悪ではなく、ヒステリックな憎悪を大量に目にするようになりました。この人たちに言いたいのは、心から同情するということです。

「心から同情する」という表現で経済制裁を批判したタチアナ・ナフカさん。3月11日にアメリカ財務省が発表した新たな経済制裁の対象に入っているのです。

【アメリカ財務省 3月11日の発表】
ペスコフ報道官の家族3人は、公務員としての給与とは不釣り合いな豪華な生活を送っており、ペスコフとプーチンとのつながりから得た不正な富の上に成り立っていると思われる

アメリカ政府も注視している、プーチン大統領とペスコフ氏との繋がり。2人は一体、どんな関係なのでしょうか。

ペスコフ氏は「一番忖度できる政治家」

タス通信によると、ペスコフ氏はロシア外務省やトルコの大使館勤務などを経て、2000年からプーチン氏のオフィスや政府機関に勤務。20年以上に渡ってプーチン大統領を支えているのです。

こうした2 人の関係について、筑波大学の中村逸郎教授に話を聞きました。

筑波大学 中村逸郎教授:
ペスコフ氏は、プーチン大統領を一番忖度できる政治家。2021年の連邦議会選挙でオンライン投票が行われ、プーチン大統領もオンライン投票をしたが、その時に映ったプーチン大統領の腕時計の日付が投票日前だったため、不正が疑われた。ペスコフ氏はすぐに釈明会見を開き、プーチン大統領は腕時計を気にしない人だ、と説明した。これができるのはペスコフ氏だけ。

プーチン大統領を知り尽くしているペスコフ氏だからこそ、言い張ることができた強引な言い訳。そんなペスコフ氏が家族と共に送っている豪華な生活とは、どのようなものなのでしょうか。

SNSから垣間見える 大統領報道官一家の生活

妻のタチアナさんは、ペスコフ氏と一緒に過ごす様子をSNSに投稿。アメリカ財務省によると、引退後もロシア国営テレビでアイスダンス番組の司会を担当し、日本円で10億円以上の資産を保有。

その中には、プーチン氏も住むモスクワ郊外の高級住宅街の不動産やモスクワの高級アパート、さらにクリミア半島のアパートなどが含まれているといいます。

今回、アメリカ財務省が制裁の対象に加えたのは、ペスコフ氏の2人の成人した子供たちです。

アメリカ財務省:
多くの高級車を所有し、自家用飛行機やヨットで移動していると伝えられている。

こう指摘されたのは、息子のニコライさん。過去には、ロシア国営の放送局で働いていたことがあるといいます。

一方、ペスコフ氏の娘、エリザヴェータ・ペスコヴァさんについては…。

アメリカ財務省:
ソーシャルメディアに数万人のフォロワーを持ち、豪華なライフスタイルを披露している

SNSを見てみると、高級レストランとみられる場所でポーズを決め、色とりどりの風船や花に囲まれた写真を投稿したりと、贅沢な生活を送っている様子。

ロシアの報道によると現在、観光や広告業の会社のオーナーを務めているというエリザヴェータさん。一方で自身の生活に、父親の力が影響したことはないと語っています。

プーチン氏元側近「戦闘は数カ月間続くだろう」

こうした状況について、プーチン大統領の元側近であるイラリオノフ氏は次のように話します。

プーチン大統領の元側近 アンドレイ・イラリオノフ氏:
制裁はロシアを非常に苦しめているし、プーチン自身もまずいとは考えている。

しかし、その一方で…。

プーチン大統領の元側近 アンドレイ・イラリオノフ氏:
制裁そのものでは、このウクライナへの侵攻は止まらないだろう。彼がウクライナを沈めたい気持ちが勝っているからだ。私の考えでは、大規模な戦闘は数カ月間続くだろう。

ところが、軍事作戦そのものについては、プーチン大統領の焦りが透けて見えると中村教授は指摘します。

筑波大学 中村逸郎教授:
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻をもっともっと簡単にやり遂げることができると思ったんですね。ところが今は大誤算で、プーチン大統領はとても焦っている。

依然として強硬姿勢を崩さないプーチン大統領。攻撃のさらなる長期化が懸念されます。

(「めざまし8」3月14日放送)