依然としてウクライナの主要都市への攻撃を続け、強硬姿勢を崩さないプーチン大統領。そんな中、めざまし8はプーチン大統領の元側近を独自取材。すると、ウクライナの首都・キエフに対する真の狙いが見えてきました。

“キエフ制圧“への前進も…元側近「陥落はできない」

プーチン大統領の元側近 アンドレイ・イラリオノフ氏:
プーチン氏は公式の場でも、非公式の場でも口癖のように、『キエフを併合するんだ』と言っていました

取材に答えたのは、プーチン大統領の元側近、アンドレイ・イラリオノフ氏。プーチン氏が大統領に就任した2000年から5年間、経済顧問を担当。政権の中枢にいた人物です。そんなイラリオノフ氏が明かしたのが…

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プーチン大統領の元側近 アンドレイ・イラリオノフ氏:
プーチンは、ウクライナに対する戦争を21年前から計画していた。これはロシア部隊を打ち負かした、ウクライナ軍が得た機密文書の情報だが、実は2022年1月18日には、『ウクライナへ侵攻せよ』との命令が下されていた

以前から“ウクライナ侵攻”への計画があったというのです。
実際に現在ロシア軍は、ウクライナの首都・キエフ制圧に向けて部隊を前進させているとみられています。アメリカ国防総省の高官によると、「ロシア軍は3方向から侵攻。北西から攻めている部隊は、キエフ中心部か15km、東から攻めている部隊は20から30km地点まで迫っている」との分析結果を明らかにしました。

さらに、ロシア軍はこれまであまり攻撃をしてこなかったウクライナの西部にある軍事施設を攻撃するなど、戦闘を全域に展開。ロシア軍が攻撃したのはリビウ近郊にある軍事施設で、ミサイル30発以上が打ち込まれ、少なくとも35人が死亡、134人が負傷。西部にあるリビウは、東部からの避難者が集まるほか、物資供給の拠点にもなっており、攻撃が激しくなれば混乱が拡大する可能性があります。
また、アメリカの政策研究機関によると、ロシア軍は8日から10日にかけて、キエフを包囲するための攻撃に失敗し、11日から新たな作戦に向けた準備を進めるため、補給や部隊の再編成を行っているとしています。

また、イギリス国防省が明かしたのは。「ロシアが『燃料気化爆弾』の使用認める」という内容です。
ロシアが、ウクライナで「燃料気化爆弾」の使用を認めたとツイッター投稿で発表しました。通常兵器に用いる高性能爆薬よりはるかに威力が大きく、高い殺傷能力を持つ燃料気化爆弾。その使用は、民間人などを戦闘から保護する目的で作られた「ジュネーブ条約」で禁止されています。
禁じ手すら使ったとすれば、その背景にはなにがあるのでしょうか。プーチン大統領の元側近、イラリオノフ氏が語ったのは…

プーチン大統領の元側近 アンドレイ・イラリオノフ氏:
今回の軍事行動は、プーチンが考えていた計画通りには、いっていない。元々2週間と考えていたくらいだ。私はロシアがキエフを陥落することはできないと思う。ウクライナ人は絶対に諦めないからだ

ウクライナ侵攻遅れ…専門家指摘「4つの理由」

1つ目は、「ロシア軍連携不足」。
アメリカ国防総省高官によると、ロシア軍は「地上部隊と航空部隊の連携不足が目立つ」と発言しています。航空部隊の支援がないままに地上侵攻し、反対に攻撃を受けてしまうということです。
ではこの連携不足はなぜ起こるのでしょうか。筑波大学の中村逸郎教授によると、「無線機器が古すぎて指示が伝わらない」「無線を傍受されて、敵にも情報が伝わってしまう」ことが、連携不足に繋がっているといいます。

そして、2つ目は「ウクライナ軍の戦術」。
ウクライナ軍は“最新兵器”を駆使して、“ヒット&ラン作戦”というものを行っています。具体的には、最新兵器なので軽くて運びやすく、自分たちはすぐに攻撃をして、すぐに待避することが出来ます。これには実は“高層ビルが多く、広いところがない”といったウクライナの街というのも非常に影響しています。そういった意味で、ロシア軍としてはゲリラ戦に近いものに非常に苦しめられているという分析を中村教授はしています。

3つ目は「民間軍事組織の参戦」によるもの。
民間軍事組織というのは、軍人たちで形成されている会社のようなものです。スパイなどを研究している東京工科大学の落合浩太郎教授によると、国家が軍事経験者を雇い、1日最大で2000ドル(約23万円)の報酬を出すケースがあるそうです。具体的な行動内容としては、「最前線で戦闘」「一般市民を救出」「ウクライナ軍への武器の指導」が挙げられます。

さらに、4つ目は「ロシア軍の誤算」。
ウクライナの土壌は「黒土」と呼ばれていて、水分を含むと粘土質になります。そうなると、戦車の運行の妨げになるというのです。軍事ジャーナリストの井上和彦氏によると、戦いがロシア側の予想より長引き、雪解けが始まり、地面がぬかるんでしまったので、戦車なども思うように進みづらい状況になったといいます。

実際、ウクライナの平均気温は例年よりも5℃~6℃暖かくなったことで、雪解けの時期が前に来てしまった可能性があります。
戦闘の終結は、依然見通せていません。

(「めざまし8」3月14日放送)