年々減少する書店…生き残りの鍵は“デジタル化” カフェスペース設けた本屋さん開店も【長崎発】
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年々減少する書店…生き残りの鍵は“デジタル化” カフェスペース設けた本屋さん開店も【長崎発】

書店業界の調査によると、全国の書店の数は、2000年からの20年間で半分ほどに減っている。
さらに2022年現在では、8,000店ぐらいにまで減ったと言われている。
長崎市近郊でも、2021年は3店舗が姿を消した。
年々、取り巻く環境が厳しくなる中で、どんな生き残るための工夫をしているのか。長崎の本屋さんの今を取材した。

生き残りの鍵は「デジタル化の推進」

(Q:本屋が減ったと思いますか?)
街頭の男性:

ああ、減ってますね

街頭の女性:
だからネットで注文しちゃいます。幼い頃は近所にあって、お小遣いをもらったら買いに行ってた。けど、年々少なくなっていて、商業エリアに行かないと買えない感じ

長崎市アミュプラザ長崎の3階にある「メトロ書店」の長崎本店。

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長崎市のほかに、熊本、福岡、神戸と4店舗を展開している。
書店が減っているその原因を聞いた。

メトロ書店長崎本店・専務 本田多紀子さん:
書店は昔から経営的に3つ大きな問題があって、1つは万引き。売り上げの大体1~2%くらいは万引きされる。2つ目は図書館さん。新刊を置き始めたり、文庫、コミックを置いたりと、これまでとは違う役割が出てきた。3つ目はアマゾンさんの台頭で、皆さんが書店に行く習慣じゃなく、ネットで買う動きになってきた

日本中で書店経営が厳しくなっている中、メトロ書店が生き残り続けているのは、大きな強みがあるからだ。
それは、「デジタル化の推進」。
メトロ書店は2代目の川崎社長が、「メトロシステム」という在庫管理ソフトを開発。それまで複雑だった書店業務を簡素化したことで、売り上げがそれまでの3倍になった。
さらに本の検索システムや、コロナ禍で急速に普及したセルフレジも独自開発を行った。

書店員の作業が減ったことで、新たな挑戦も始めている。

メトロ書店長崎本店・専務 本田多紀子さん:
やっぱりSNSの更新であったり、ユーチューブを使った発信であったり、インスタのライブであったり、というようなものに時間を使って、アナログの本をデジタルで紹介するというようなことを考えている

ウェブサイトでは、サイン本を販売している。
これは、さまざまな作家や出版社とのつながりがあるから実現できることで、メトロ書店だからこそできる付加価値を模索している。

電子書籍は好調  “ユーチューバー”の本も人気

一方、取り巻く環境が厳しくても、売れている本はある。
年々、伸びているのが電子書籍市場。2020年は全体の83%をコミックが占めており、電子コミックだけではなく、コミック本も合わせて購入する人が多いという。

メトロ書店長崎本店・専務 本田多紀子さん:
2019年12月ぐらいからだが、「鬼滅の刃」だったり、「呪術廻戦」だったり、「東京リベンジャーズ」であったり、実はデジタルでもコミックと呼ばれるジャンルは1番、今伸びている

さらに、こんな本も…

メトロ書店長崎本店・専務 本田多紀子さん:
ユーチューバーの本がものすごく売れているなあ、と感じてます。コムドットのやまとさんっていう人が書いた「聖域」だったり、何でこんなに売れるのかと思って読ませていただいたけど、彼は年間200冊ぐらい本を読む。本を読んで勉強して戦略を立てたうえで、動画を作って配信している。
ユーチューバーの方でも本を読むという基礎があって、ああいう人気になっていると思うので、(ユーチューバーに憧れる子どもたちに)少し見習ってほしいなと思います

「本を通して人生に彩りを」新たにオープンする本屋

書店経営が厳しくなる中、新たに本屋さんを始めた人もいる。
長崎市出島町の大通りに面している古いビルの2階、細い階段を上って重い扉を開けると明るい店内が広がっている。
「BOOKS ライデン」。店主は前田侑也さん(29)だ。

前田侑也さん:
わたし自身が本にすごい影響を受けたところがあって、大学時代にいろんな本を読んだんですけど、全然本を読まなかったら知らなかったであろう世界みたいなのを知ることになった。本を通して人生を充実させる、じゃないですけど、彩りを与えることがしたいなと思って本屋をやろうと思った

前田侑也さん:
新刊と古本と、大きく分けて2つあります。新刊は軸にしてることがあって、“20歳ぐらいの自分に読ませたいかどうか”というのを、1個の軸にしていて。全部が全部じゃないですけど。
これは「私とは何か」っていう本で、本当の自分なんていうのはいなくて、仕事で見せる顔と、家族に見せる顔って全然違ったりすると思うんですけど、その2つの顔、どっちも自分なんじゃないかなって考えてみてはどうかって

店内にはカフェスペースもあり、カフェを目当てに訪れるお客さんも多い。
この日訪れた大学生も、入ってすぐカウンターに向かいコーヒーセットを注文した。

(Q:どうしてこの店に?)女子大学生:
SNSで見て、ワッフルがおいしそうなので来ました

ワッフルは前田さんの手作りで、オランダに行った時に食べた味に感動し、試行錯誤のうえ完成。
ゆったりとした時間の中で、お客との会話も弾む。

前田侑也さん:
どういった本を読まれるんですか?

大学生:
最近、ミステリーを読んでます

大型店にはない、小さな出版社の本を置くのも戦略の1つで、あまり知られていない本でも一定の顧客がいるという。

また、前田さんは本屋がない地域では「出張本屋」を設けて、本屋仲間と一緒に不定期で開催している。
そこで感じたこととは…

前田侑也さん:
本を買う機会が全然ないんだな、と感じました。「久しぶりに本を買うよ」「本を買うのは何年ぶりだろう」とかいう声を、結構聞いて。僕は本で変わるきっかけを得たんですけど、そういうのがことごとくないのかなと思ったときに、ちょっと問題かなって感じまして

前田侑也さん:
本屋のないエリアに本を届けることで、考えるきっかけ、感じるきっかけを提供していきたいと思っている

2017年の調査によると、420の市町村(自治体、行政区)に書店がなく、現在ではそれ以上になっているという。
ネット通販を利用できる人がいる一方、高齢者などネットを使えない人たちがいることや、子どもたちが本に触れる機会が減る可能性もある。
「書店ゼロ」の自治体にならないためにも、わたしたち自身が、地元の本屋さんですてきな出会いを楽しむ機会を増やしたいところだ。

(テレビ長崎)

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