防衛医科大学の卒業式が5日、埼玉・所沢市の同校で行われた。北朝鮮の弾道ミサイル発射により、岸防衛相は急きょ出席をとりやめたが、予定していた訓示は、防衛省の島田和久事務次官が代読した。
訓示では、ロシアのウクライナ侵攻に触れ、「世界有数の軍事大国による侵略が生起した欧州の現実に、驚いたのではないか」と問いかけた上で、「これが厳しい国際関係、そして安全保障の現実だ」とした。

その上で、卒業生に対し、「医療者としての立場であるとともに、自衛官として国を守る存在でもある。他国の有事に、自国の現状をかえりみてほしい」と呼びかけた。
さらに、新型コロナウイルスについては、自衛隊が東京と大阪でワクチン接種会場を運営していることや、防衛医大が300人近くの患者を受け入れていることを挙げ、「諸君の先輩たちは、普段の業務から離れ、新型コロナ対策という国家の危機管理上、重大な課題に、果敢に取り組んでいる」と強調した。
卒業生は、主に自衛隊の医官、看護官として、部隊や病院に配属されるが、「苦労や困難を乗り越えていってほしい」と激励した。