長期化、再拡大の恐れが
「極めて高い値で留まっており、同規模の感染状況が長期化する危機に直面している。もし増加比がわずかでも上昇すれば、感染の再拡大の恐れがある」
東京都の新型コロナウイルス専門家会議では新規感染者数の7日間平均は、前回の14564人から13057人に減ったものの、感染拡大のスピードを示す増加比は、前回の82%から今回は90%と、減少スピードが遅くなっている現状が示された。
この記事の画像(6枚)国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長から「今と同じ規模の感染状況の長期化」と「感染の再拡大」への危機感が示された。
7割弱が家庭内感染
年代別にみると6週間連続して60代以上と10代以下の割合が上昇傾向、感染経路では家庭内感染が68・7%と最も多く、次いで高齢者施設、病院、保育園、学校等の施設内感染が19・2%、職場内感染が5・4%、会食による感染が0・9%となった。
新規クラスターも 高齢者施設・保育園などの福祉施設が343件、学校・教育施設が184 件、医療機関31件となった。
夜の人出 措置後初の増加
「レジャー目的の夜間滞留人口は、重点措置適用後はじめて増加に転じており新規感染者数の減少傾向も鈍化しつつあります」 夜の街の人出が前の週から7%増加、重点措置適用後初めて増加に転じた、とのデータが示された。
東京都医学総合研究所社会健康医学研究センターの西田淳志センター長は、ここで夜間滞留人口が増加し続けると、新規感染者数が下げ止まり、再び感染拡大へと向かうリスクがある、として、長時間・大人数での会食などハイリスクな行動を引き続き避けるよう呼びかけた。
併存する他の疾患のため・・・
「併存する他の疾患のため集中治療を要する患者数も高い値で推移しており、警戒する必要があります」 東京都医師会の猪口正孝副会長は、入院患者数、重症患者数だけでなくコロナ感染により基礎疾患が悪化し集中治療が必要な患者も高い値で推移し、現状が長期化すれば、医療提供体制が危機に直面する、との見方を示した。
“ステルスオミクロン”市中感染増加
「発生する割合に増加傾向が見られています」 オミクロン株で感染性がより高いとされるBA.2が 12月に1件、1月に29件確認され、このうち25件が海外リンクのない市中感染である、とのデータが示された。 東京iCDC専門家ボードの賀来満夫座長は引き続き発生動向を監視する、と強い警戒感を示した
高齢者4割が3回目接種で状況好転か
「高齢者の3回目のワクチン接種が4割を超えたら重症者も死者も減ってくるだろう」 都内の65歳以上の高齢者の3回目接種率は先週の33・7%から48・0%に増加。 ある関係者は、過去の経験から、都内の高齢者の4割が3回目接種をしたら、重症者や死者が減ってくる、との見方を示す一方で「デルタのときはそうだった(=4割接種で重症者・死者が減った)けど、オミクロンは感染力が強いから、順調に減るかはわからない」との懸念も示した。
オミクロン株の高止まり・リバウンドとなるのか、減少となるのか、今がまさに“別れ道”なのだろう。
(フジテレビ社会部・都庁担当 小川美那)