”軽はずみな行為”が数百万円単位の損害賠償に

2月22日、愛知県清須市で線路に自転車ごと侵入した(2021年11月)として、男子中学生が家庭裁判所に送致された。

線路内に許可なく侵入した場合、どのような罪に問われるのか。鉄道会社から多くの法律相談を受けている匠総合法律事務所の秋野卓生弁護士にうかがった。

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在来線の線路に入った場合、3つのケースが考えられるという。

1つ目が「鉄道営業法」違反。今回の男子中学生はこれにあたる。無断で線路内に立ち入った場合に適用され、1万円未満の科料が科せられる。

2つ目が「往来危険」と「過失往来危険」。置き石など列車の往来に危険を生じさせた場合などに適用され、「往来危険罪」では2年以上の懲役、「過失往来危険罪」では30万円以下の罰金が科せられる。

3つ目が「威力業務妨害」。例えば、駅員の制止を無視して線路内に立ち入り遅延や運休を生じさせた場合、列車の往来に危険が生じなくとも問われる。3年以下の懲役・50万円以下の罰金となる。

ここまでは刑事責任。科料や罰金を支払っても、鉄道会社に何らかの損害が発生していれば民事上の責任、つまり賠償金を支払う責任が生じる。

電車の運行に影響が出た場合、鉄道会社からの損害賠償請求額は「車両の修理代」「遅延による払い戻しで生じた運賃」「振替輸送」にかかったコストなどで算出される。

ラッシュの時間などでも変わってくるので賠償金はケースバイケースだというが、過去にはJR東海の列車と高齢男性の人身事故で、遺族に700万円以上が請求されたこともある。

秋野弁護士は「軽はずみな行為でも、数百万円単位の損害賠償を請求されることがある」としている。

(東海テレビ)

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