東北大学などの研究チームが、仙台市の下水から検出される新型コロナウイルスの量を測定し、1週間後の感染者数を予測する研究を進めている。下水で予測を行う研究は世界的にも珍しく、その精度は上がってきているという。

週2回サンプルを採取 予測精度は向上

東北大学環境水質工学研究室​ 佐野大輔教授:
新型コロナは呼吸器系のウイルスだが、お腹でも感染するようで、下水処理場で水を採れば感染者から出てきたウイルスを捕まえられる。

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東北大学で環境水質工学などを研究する佐野大輔教授。佐野教授は山形大学などと共同で、2020年8月から下水に含まれる新型コロナウイルスの分析結果をもとに、今後1週間の感染者数を予測する研究を進めている。

サンプルは仙台市の南蒲生浄化センターの下水道から週2回採取し、検出されたウイルスの量から、機械学習を使って次の週の感染者数を予測する。

東北大学環境水質工学研究室 佐野大輔教授:
感染者数が増える前に、下水からの陽性率が上がった。第3波と第4波の間に予測が下がり、実数も下がった。

実際に算出された2月の予測値。2月7日から13日までは2891人。同じ期間、仙台市が確認した新規感染者は2993人だった。2月14日から2月20日までの予測は3030人。これに対し、仙台市の感染者は3170人となった。

感染の波を繰り返すたびに、予測の精度はあがってきている。2021年8月の第5波では…。

東北大学環境水質工学研究室 佐野大輔教授:
2021年の8月に入り実数の推移が上がり、下水の陽性率が上がった。ワクチン接種率が上がり、下水濃度も減ってきた。

そして、2021年の年末にも第6波を予測する結果が出ていた。

第6波の今後は? データを公開「行動の参考に」

東北大学環境水質工学研究室 佐野大輔教授:
12月中旬を過ぎると、感染者は少なかったのに下水からの陽性率が上がり始めた。少し注意するべき時期であろうと認識した

オミクロン株が宮城県内で初めて確認されたのは2022年1月6日。研究チームは、年末には宮城県内でもオミクロン株の感染が始まり、ほとんどの人が無症状だったと見ている。第6波による感染者の急増が始まって1カ月あまり。佐野教授は、しばらく同じような推移が続くと考えている。

東北大学環境水質工学研究室 佐野大輔教授:
過去最大のところまで行く可能性はあるが、レベルとしてはほぼ同じで、急激に減る状況にはならない

研究チームは予測したデータをホームページで公開していて、予測結果をもとに出かけるのを控えるなど、行動の参考にしてほしいとしている。

2月21日に公表された、仙台市の2月27日までの1週間の新規感染者の予測数。研究チームは3079人としている。この予測について、佐野教授は「急激に感染者が増加するとは思えないが、3000人台で横ばいに推移することが予測され、引き続き十分な注意が必要」としている。

(仙台放送)

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