理想的な“トイレ姿勢”をご存知だろうか?

エーザイグループのEAファーマがパンフレットを作成したところ、SNSでは「義務教育で教えて欲しいと思った」「『考える人』の姿勢が理想的らしい」といったコメントが寄せられ、いま注目されているのだ。

その話題になっているページがこちら。

おトイレワンポイント(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
おトイレワンポイント(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
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便秘で悩む人のために理想的な排便の姿勢を解説したものだが、ポイントは4つ。
「前かがみになる。35度が理想」
「背筋を伸ばし腹筋にだけ力を入れる」
「両ひじは太ももの上」
「足元に台を置くと効果的」

だというのだ。

また「なぜ前かがみが良いのか?」については、「直腸と肛門の角度がポイントです。洋式便座に座っただけでは、この角度が直角に近いのですが、前かがみになるとこの角度が広がるため、便が出しやすくなるのです」と説明している。

なぜ前かがみがいいの?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
なぜ前かがみがいいの?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)

パンフレットは、「気軽に行って、気軽に話そう。Benpi」とタイトルで患者向けに医療機関から配布されている。またパンフレットでは、他にも便秘について様々な内容を紹介。例えば、日本で便秘を感じている人は、男性で2.5%、女性が4.4%だと紹介。また70歳以上から急激に増加するという。

便秘の人はどれくらいいるのですか?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
便秘の人はどれくらいいるのですか?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)

便秘の原因については、食事の量が少なかったり、運動不足だと便秘になりやすい。また、精神的なストレスも便秘をひき起こす大きな要因であることが知られているという。

どうして便秘になるのですか?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
どうして便秘になるのですか?(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)

秘め事でもある排泄のお悩み解決の一助に

便秘で悩む人にとっては、貴重な情報がまとまっているが、なぜパンフレットを作成したのか?また排便する上で特に重要なこと何なのか?

EAファーマの担当者に詳しく話を聞いてみた。

――SNSで話題になっていることをどう思う?

率直に驚いておりますが、我々の発信した情報がこのような形で多くの方の目に触れていただくことができ光栄です。慢性便秘症は加齢と共に有病率が増加する疾患であり、高齢になると男女差がなくなる疾患です。

SNSの利用者は若い方も多くいらっしゃいますが、若年者から高齢者まで興味を持っていただき、疾患に対する理解が広まることは患者様貢献に役立つと考えております。弊社では、疾患啓発Webサイト「イーベンnavi」や排便記録LINEアプリ「イーベンノート」を展開しておりますが、さらなる疾患啓発に努めてまいります。


――パンフレットはいつ作成した?

2018年に作成し、2021年に改訂しております。


――作成のきっかけは?

便秘で悩む方、ご家族が便秘で悩んでいる方に向けて、その原因、病態、治療、医療機関を受診する際におつたえすること、トイレでの排泄のコツをまとめた冊子があれば、秘め事でもある排泄のお悩み解決の一助になればという思いで作成いたしました。便秘は、病態も悩みもさまざまです。その悩みに気付いていただくことができたら?と考えたことも、作成のきっかけの一つです。

「気軽に行って、気軽に話そう。Benpi」表紙(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)
「気軽に行って、気軽に話そう。Benpi」表紙(画像提供:(c)EAファーマ株式会社)

排便時の姿勢と便の形を整えることが重要

――踏み台があることは重要なの?

前かがみだけでは35度にすることが難しいため、踏み台があるとお子様や高齢者でも35度に近づけることが容易になります。また、便座から床に足が届かないお子様は、うまくいきめない(お腹に力を入れられない)こともあるため、役立ちます。


――他に、おトイレワンポイントの中で重要な部分は?

すっきりした排便には、便形状を整えることも重要です。バナナ状の便が日本人には最も満足度の高い排便が得られるといわれており、排便時の姿勢と便の形を整えることが重要です。

便の状態もチェック(画像提供:©EAファーマ株式会社)
便の状態もチェック(画像提供:©EAファーマ株式会社)

便秘に対する正しい知識の啓発につとめたい

――正しい姿勢があることを知らなかったという声もあるが、まだまだ認知されていない現状をどう思う?

もっと認知いただく必要があると考えています。ヒューマンヘルスケア(hhc)の一環としてこちらをトイレに貼るためのポスターを検討しております。弊社では、疾患啓発Web サイト「イーベンnavi」や排便記録LINEアプリ「イーベンノート」を展開しておりますが、今後も便秘に対する正しい知識の啓発につとめます。

※ヒューマンヘルスケア(hhc)…エーザイグループは、ヘルスケアの主役が患者様とそのご家族、生活者であることを明確に認識し、そのベネフィット向上を通じてビジネスを遂行することを企業理念に掲げています。 この理念を一言に集約したものをhhcと呼び、社員一人ひとりが患者様の傍らに寄り添い、患者様の目線でものを考え、言葉にならない思いを感じ取ることが重要であると考えています。そして、すべての社員が就業時間の1%を患者様と共に過ごすことを推奨しています。 


――一方で、自然とこの体勢をやっていたという人もいるが、これは人間の本能として備わっているもの?

排泄時間は哺乳類である程度一定であるというデータもあり、その際に直腸と肛門の角度を整えるのは本能として人間にも定まっていたと考えられます。 


――和式トイレが減っている現状については?

和式トイレが排便の姿勢にはマッチしていても、やはり洋式トイレの快適さは重要です。毎回しゃがみこむ動作が大変という方もいらっしゃいますし、洋式トイレには便座の温度調整やウォッシュレットなど、さまざまな機能も備わっています。現代社会においては、和式に戻すよりも洋式トイレの中でうまく姿勢をとれる啓発が重要と考えております。

※イメージ
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生活習慣や食物繊維の摂取の見直しを

――この体勢でもうまくいかない人はどうすればよい?

物理的な姿勢を整えても、うまく排便出来ない場合には、さまざまな原因があります。その中で、生活習慣や食物繊維の摂取など見直すとともに、便の形を整えることも重要です。便に水分が足りていないのか、腸が動いていないのかを判断する意味でも、また便秘の原因を探る意味でも、医療機関を受診されることをおすすめします。


――便秘で悩まれる人に向けてのメッセージを聞かせて。

便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と慢性便秘症診療ガイドライン(2017年)で定義されています。便が出る、出ないだけでなく、快適に排便できているかが重要です。ご自身の排便が快適ではないと感じた際には、こちらの冊子もご参考にしていただき一度排便について見直してみてはいかがでしょうか?すべての方に快適な排便を!をモットーに、便秘で悩む方が少しでも減るよう弊社も尽力してまいります。


担当者の話では、トイレの姿勢も大事だが、これに加え、便の形を整えることも重要なようだ。このパンフレットはEAファーマのHPからも入手できるので、便秘に悩む方はぜひ参考にしていただきたい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。