ドーピング疑惑が持たれていた、フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ選手(15)が、15日の女子シングルに出場できることが決まった。
一体なぜ、こうした判断となったのか。

日本時間の14日午後3時半から始まった、フィギュアスケート女子の公式練習。
そこに、あの選手の姿があった。
ドーピング違反疑惑が浮上した、ROC(ロシアオリンピック委員会)のカミラ・ワリエワ選手(15)。
練習では4回転ジャンプを次々と決め、笑顔を見せるなど、女子シングルに向けた調整は順調のよう。
その個人種目への参加が、ドーピング違反疑惑をめぐり、裁定待ちとなっていたワリエワ選手。
日本時間の午後3時、多くのメディアが詰めかける中、CAS(スポーツ仲裁裁判所)が注目の判断を示した。
CAS・リーブ事務局長:
CASの審議委員会は、ワリエワ選手が今後も北京五輪に参加する許可を与えることを決定した
スポーツ仲裁裁判所は、15日から始まる女子シングルにワリエワ選手が出場することを認めるとの裁定を下した。
理由として、「ワリエワ選手が、保護が必要とされる16歳未満であること」、さらに「北京で行われた検査では陽性と判断されなかったこと」。
そして、「出場を妨げることで、ワリエワ選手に取り返しのつかない害を及ぼすこと」などを挙げた。

ワリエワ選手は練習後、無言で立ち去った。
スポーツ仲裁裁判所が例外的な状況での判断として出場を認めた、この裁定。
海外メディアはどう受け止めたのか。
ロシアメディア:
ロシアのみんなが、この決定を待っていました
イタリアメディア:
スポーツの観点から見れば、大きな不安を残すものです
シニアデビューしたての15歳にして、世界最高得点を次々と更新してきたワリエワ選手。
ほかの選手が「絶対に勝てない」と諦めてしまうことから、“絶望”との異名を持っている。
今大会では、団体戦のショートとフリーに出場し、チームを金メダルに導いた。
ところが、この団体戦終了翌日の2月8日、2021年12月に行われたロシア選手権で提出した検体から、違反物質が検出されたことが判明。
その物質は、持久力を高める効果があるとされる、トリメタジジン。
このドーピング疑惑の浮上で、団体戦のメダル授与式が中止となった。
ロシアの反ドーピング機関は、ワリエワ選手の出場資格を暫定的に停止したが、ワリエワ選手側の異議申し立てを受け解除。

この決定を不服として、IOC(国際オリンピック委員会)などがスポーツ仲裁裁判所に提訴したが、14日、正式に出場が認められた。
ワリエワ選手に日本代表3選手が挑む、フィギュアスケート女子シングルは、15日に開幕する。