高齢者への感染拡大で救急出動件数自体が増加

新型コロナウイルス第6波の感染拡大で、「救急搬送困難事案」が急増している。救急搬送困難事案とは、患者を受け入れる医療機関が見つかるまで救急隊が4回以上問い合わせ、かつ患者のもとに到着してから出発までに30分以上かかるケースを指す。

医療体制が逼迫した第5波の時も増えたが、2月の第1週で過去最多の143件。第6波に入ってからの方が大幅に、そして急激に増えている。

名古屋市の浅井清文医監は、要因として「高齢者にも感染が拡大し、救急出動件数自体が増えたこと」を挙げている。冬場は元々、高齢者が心筋梗塞などで搬送されるケースが多いという。

また「医療スタッフの感染や濃厚接触者になることで出勤できなくなるなど、受け入れ病院の体制が縮小すること」についても指摘。こういった事情が関係していると分析している。

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救急搬送困難事案では2021年1月、名古屋市で長時間搬送先の病院が決まらなかった高齢者が救急車の中で心肺停止となり、その後死亡する問題が起きた。

こうした事態を受け、名古屋市では消防局と八事日赤病院、名古屋掖済会病院が「緊急立ち寄り協定」を締結。病床が逼迫して緊急度・重症度が高い患者の搬送先が決まらない場合、症状が悪化しないよう、搬送先が決まるまで提携病院で一時的に受け入れることにしている。

実際にこれまで4例活用された。

(東海テレビ)

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