コロナ感染者の中で高齢者が占める割合は日に日に高まっていて、医療現場は危機に瀕している。認知症を患う患者など、高齢者のみが入院している福岡市の病院を緊急取材した。

急激な食欲不振で点滴が必要な患者多数

画面に表示された「無呼吸」の文字。患者の異常を知らせるナースコールだ。音が鳴るたび、看護師は専用病棟に入り、隔離された空間を慌ただしく動き回る。

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高齢者のリハビリや緩和ケアに力を入れる福岡市東区の原土井病院。コロナに感染し入院が必要な患者のうち、介助が必要な高齢者のみを受け入れている。

原土井病院・野村秀幸院長:
(入院患者の)平均年齢が85歳。70%の方が、だいたい認知症

20床ある専用病床のうち現在使用しているのは14床。高齢の患者のほとんどは、入院後にある「共通の変化」を見せるという。それは…。

原土井病院・野村秀幸院長:
今回のオミクロンは喉の痛みを訴える方が多い。高齢者の方はその訴えがないが、急激に食欲不振になって食事が取れなくなる。ですから持続点滴やら、そういう医療的な処置が必要になってくる

急激な食欲の低下が起こり、この病棟では栄養補給の全てを点滴に頼っている患者も多くいる。

看護師:
朝6時くらいから夜10時くらいまで、ずっと点滴対応をしています

突然、病室から出て廊下を歩き回る人も

さらに入院患者の実に7割近くが認知症のため、想定外の急な対応を迫られることも多い。

看護師:
ナースコールを押さずに歩かれる方が結構、多くて。転んだりする方もいらっしゃるので、なるべく早く対応するようにしている

原土井病院・野村秀幸院長:
高齢者の方は、環境が変わると落ち着かなくなるんです。そういう方が突然、元気になって動き出される

患者の中には突然、病室から出て廊下を歩き回る人もいるという。

原土井病院・野村秀幸院長:
うちには精神科の先生がいますので、もぞもぞ動くような人に関しては先生にモニターを見て、ちゃんと診断して、薬を調合して頂く

感染対策で介護士が立ち入れず…看護師の負担増加

院内感染を防ぐためにもコロナ患者からは目が離せない。さらに…。

看護師:
患者が退院された後のお掃除から、入院を受け入れるまでの掃除とかも(看護師が)している状態

コロナ専用病棟への立ち入りを医師と看護師に限定しているため、看護師の負担が大幅に増えているのだ。

原土井病院・野村秀幸院長:
看護助手や介護士さん、それから掃除の方は入れません。だからベッドメーキングから看護師さんがします。1人ではなかなか難しいので、2人から3人でみないといけない。手が非常にかかるということですよね

経験を重ねた看護師でも困難を極める「介助」と「治療」の両立。

野村院長は、感染者数の大幅な減少=ピークアウトは間もなく訪れると予測しながらも、高齢者については予断を許さない状況が続くとみている。

原土井病院・野村秀幸院長:
外国のデータを見ると1カ月前後、40日前後でピークアウトするので、福岡市としては今週くらいで起こるのかなと思う。ただ高齢者はストンと落ちません。急激には減らないと思いますね。ですから高齢者対策としては、今週、来週、2月の終わりくらいが勝負かなと

また、現在の第6波後も予測は難しいのが現状だ。

原土井病院・野村秀幸院長:
新しいウイルス株のBA2というのが次に置き換わったら、そこからまた山ができるかもしれない

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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