新たな挑戦を始める高校3年生。長野県内唯一の高校女子野球部でエースを務めた小林美玲さんはこの春、強豪クラブに入団する。看護の専門学校に通いながら、目指すは女子野球の日本代表だ。
入団に向けて自主練習
「体力、落ちないようにはしています」
自宅近くのグラウンドを走る高校3年生の小林美玲さん（18）。部活引退後も体力を落とさないようにしているのには訳がある。
小林さんは、松本市の松本国際高校女子硬式野球部の元エース。この春、女子野球のクラブチーム「埼玉西武ライオンズ・レディース」に入団する。
松本国際高校3年・小林美玲さん：
小さい頃から野球が好きだったので、高校だけで終わらずにさらに野球を続けていきたいと思っていたので、次のステップに向けて一生懸命頑張りたいと思います
小林さんは御代田町出身。2人の兄に倣って小学1年で野球を始め、少年野球チームではピッチャーを任された。
中学校では軟式野球部に所属。松本市を中心に活動する女子野球のクラブとかけ持ちしながらプレーしてきた。
以前であれば、高校で野球を続けるには県外の高校へ進学するか、公式戦には出られない男子の野球部に入るしかなかったが…
松本国際高校・女子硬式野球部の1期生
女子硬式野球部1期生（2019年）：
頑張るぞ！オー！
女子選手の受け皿として発足した松本国際の女子硬式野球部に入部。小林さんは1期生5人の1人で、ピッチングに磨きをかけてきた。
松本国際高校3年・小林美玲さん（入部当時）：
（今は）コントロール重視でやっているが、球の速いピッチャーにもなりたいと思うので、頑張ってやっていきたい
下級生が入ると、単独チームとして全国大会にも2回出場。
しかし、一度も勝利をあげることはできず、2021年、夏の大会を最後に引退した。
（Q.やり残した感じはある？）
松本国際高校3年・小林美玲さん：
そうですね。相手チームが強かったっていうのもあるんですけど、そこで終わりじゃなくて次のステップでもっと活躍したいなっていう気持ちがあって
強豪チームへの入団が決定
そこで、小林さんは「西武ライオンズ・レディース」の入団セレクションに参加した。
チームは、プロ野球・埼玉西武ライオンズの支援と公認を受けて2020年発足。ワールドカップの日本代表経験者も所属し、全日本クラブ選手権で優勝もしている強豪だ。
松本国際高校3年・小林美玲さん：
一緒にセレクション受けた人たちと対戦するって形で、3人くらいに投げたんですけど結構（ストライクが）決まって。（セレクションの）最後の日に合格って言われたので、すごい驚いて、でもすごいうれしかったです
授業が無いため今は御代田町に戻り、入団に向けてトレーニングを続けている。
母の由美子さんは…
母・由美子さん：
高校までで、もう野球は見られないのかなって思っていたんですけど、また応援ができるということに自分もすごくうれしく思っています。（入団の）報告を受けたときは思わずハグをして喜びました
弟・真那斗さん：
こんにちは
今の練習相手は、少年野球チームに入っている小学4年生の弟・真那斗さん（10）だ。
記者：
うまいね
弟・真那斗さん：
ありがとうございます（笑）
弟・真那斗さん：
すごいバッティングの選手からも、三振をとれるようなすごいピッチングをしてほしい。お姉ちゃんもすごいチームに入っているので、僕も負けないように頑張りたい
看護師を目指しながら…目標は日本代表
実はこの春、もう一つ、小林さんのチャレンジが始まる。
松本国際高校3年・小林美玲さん：
（春から）看護師の学校に進みます。私の祖父母が病院に通院することがあって、そのときに接してくれた看護師がいい人だったっていう話を聞いて、私もそんな感謝される人になりたいなって思って、看護師目指したいなって
女子野球にもプロリーグがあったが、登録選手の減少などから事実上、消滅。クラブの選手たちは仕事をしながらプレーしている。
小林さんは将来を見据えて、進学先に看護学校を選んだ。平日は看護学校へ行き、土日はクラブの練習拠点・埼玉・加須市まで2時間かけて通う生活となる。
母・由美子さん：
体のケアとか食事の面とかも、できることは一緒にして協力していきたいと思っています
「燃え尽きていない自分」を感じ、あえて厳しい環境に身を置くことにした小林さん。春から新たな目標に突き進む。
松本国際高校3年・小林美玲さん：
日本代表になりたいっていう目標があります。素晴らしい選手のいるチームに入るので、良いところをたくさんつかんで、自分をさらにレベルアップさせていきたいなって思います。両方すごい大変だと思うんですけど、野球も看護も自分のやりたいこと。一生懸命、頑張って、さらに自分を磨いていけたらいいなと思います。頑張りたいです
（長野放送）
