マンション事情についてのリポート。長野県内の新築マンションの着工戸数は、リーマンショックの影響でゼロだった2010年度以降は増加傾向で、2020年度は571戸となった。長野市の中心市街地では、2022年1月末現在、4棟のマンションが建設中だ。
需要の高さは何を物語っているのか、マンション事情を取材した。

マンション需要が堅調

この記事の画像(8枚)

長野市や松本市で建設が進む分譲マンション。2021年度の着工戸数は12月現在、321戸だ。2020年度は、2010年度以降で最多の571戸に上り、約3分の1にあたる197戸は長野市内だった。

市内では現在も、少なくとも4棟のマンションが建設中だ。

記者リポート:
長野市の中心市街地です。建設中のマンションがあるんですが、大きく完売御礼と張り出されています

別の建設中のマンションも…

記者リポート:
長野駅の東口エリアにある建設中のマンションも、上の方に大きく完売御礼と書かれています

需要は堅調に推移しているようだ。

穴吹工務店は中心市街地で2棟を建設中だ。
公開中の「サーパス長野南県」のモデルルームは、2LDK+ウォークインクローゼットの間取りで、単身者やカップル向けのコンパクトなつくり。販売価格は3000万円から4000万円台が中心だ。

穴吹工務店信越支店・河原広平さん:
テレワークなんかもしていただける書斎スペース。最近は、お住まいの中で自分のスペースを確保したり、そういうことをマンションに求められている

モデルルームとは別の穴吹工務店のマンションを購入した長野市の男性(30)。妻と子どもの3人家族で、入居の日を待ちわびている。

マンションを購入した男性:
高層階に住めるのでそこからの眺めだったり、朝早く起きてベランダでゆっくりコーヒー飲みながら一日の支度をしていくのがすごい楽しみ

人気の理由は「利便性」「管理の手軽さ」

購入の決め手は何だったのだろうか?

マンションを購入した男性:
利便性がいいところですね。駅近だったりとか、値段との相談だったんですけど、気軽に歩いて何でもそろうところにあったので決めた

利便性の高さは購入理由の中で大きなウエイトを占めている。子育て世代だけでなくシニア層も…

穴吹工務店信越支店・河原広平さん:
郊外に一戸建てで住んでいたシニアの方々が、利便性や住みやすい環境を求めて中心市街地のマンションに住み替えるという傾向がある

穴吹工務店によると、新築物件の購入者の3割は60代以上のシニア層と言う。利便性の高さに加え、管理の手軽さも一因とみられる。

穴吹工務店信越支店・河原広平さん:
長野は寒冷地ですので、雪かきのご負担が年齢的にきつくなってくることを考えると、マンションの管理の手軽さや充実しているところが選ばれる理由の一つになっている。利便性の高い場所であれば、(シニアなどに人気の)傾向は続くと思うので、弊社としてもターゲットにして供給していきたい

マンション生活のシニア世代は…

マンション暮らしの女性(80代):
私は車をやりません。とにかく利便性を考えまして、これからどんどん年をとるばかりで足も不自由になりますし、市街の中がいいかなと

マンション暮らしの男性(60代):
商店街の近くだから生活に便利、買い物も楽だし。狭いマンションだから楽。あまり広いと掃除とか大変じゃないですか。便利と楽ですね

市内で1棟を建設中の「タカラレーベン」も、「子育てが一段落した夫婦が、利便性の高い場所に住み替えるケースが増えている」としている。

同じく市内で1棟を建設中の「マリモ」は、「中心地の物件ほど販売価格は高いが、シニア層や高所得層が購入している。価格は高くても、眺望の良い高層階の希望が多い」としている。

需要は今後も安定的か

マンション需要の高さは、それだけ核家族化が進み、世帯数が増えているためとみられている。
県内の人口は2015年から2020年の5年間で5万人余り減ったが、世帯数は逆に約2万5000世帯増えた。

ただ、人口減少が進めば、世帯数はいずれ減る。今後はどうなるのだろうか?

ツカダ不動産鑑定事務所・塚田賢治不動産鑑定士:
人口や世帯が今後減少していく中で、マンションの需要がそれですごく影響を受けるということはあまりないとみている。車を使わないで住めるところを求める需要はこれからも増えてくると思うので、便利な場所の管理が簡単なマンションの需要は、これからも安定的に推移するのでは

市街地のマンション需要は、しばらく高い状況が続きそうだ。

(長野放送)

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。