買収額は約4,100億円

プレイステーションの開発・販売などを手がけるソニー・インタラクティブエンタテインメントは、アメリカのゲームソフト会社「バンジー」を買収すると発表した。

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「バンジー」は、「Halo」や「Destiny」など人気ソフトを開発していて、買収額は約4,100億円だという。

ソニーグループの吉田憲一郎社長は、「ソニーグループの多様な技術を生かしてバンジーの進化を後押ししていく」とコメントしている。

マイクロソフトも1月、アメリカのゲームソフト開発大手の巨額買収を発表していて、ゲーム市場で買収の動きが広がっている。

ソニーは豊富なコンテンツで相乗効果

三田友梨佳キャスター:
早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに聞きます。
先日のマイクロソフトの買収に続く形でソニーもゲーム会社の買収を発表しましたが、かつてソニーで商品開発などに携わっていた長内さんはどうご覧になりますか?

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
今回のソニーによる買収はマイクロソフトへの対抗策のようにも見えますが、恐らくそれは主な要因ではないと考えられます。

ポイントは、ソニーの吉田社長がソニーグループが持つIP=知的財産のシナジーを生かす旨の発言をしていることです。
具体的には、ソニーが展開する映画、アニメ、音楽などの事業とゲームのコラボレーションの強化が狙いではないでしょうか。

三田キャスター:
ゲームとのコラボの強化とは具体的にはどう実現できるのでしょうか?

長内厚さん:
ソニーはコンテンツビジネスで、ゲームでは世界トップの座をテンセントやマイクロソフトと争うポジションにいます。
映画では世界トップスリーの一角を占めています。

さらに世界最大の音楽出版権を持つ、音楽のコンテンツオーナーでもあります。
この豊富なコンテンツを組み合わせて、例えば、プレイステーションの人気ゲームを実写化した映画が公開されたり、「鬼滅の刃」が音楽とコラボレーションする。

そういったコンテンツの様々な相乗効果によって事業を拡大させることが、今のソニーの戦略だと思います。

他社のゲーム機にも展開

三田キャスター:
ソニーとマイクロソフトでは、ゲーム会社の買収後に描く成長戦略にはどんな違いがあるのでしょうか?

長内厚さん:
マイクロソフトのコンテンツビジネスはあくまでゲーム機が中心で、ソニーのように映画や音楽など様々なソフトを持っているわけではないので相乗効果が狙いづらい。

そのためXboxというハードを起点に、そこで楽しめるゲームソフトの充実を進め、ゲームを入り口に普及していくとされる 「メタバース時代」の到来に備えるというのがマイクロソフトのやり方。

これに対して、ソニーももちろんプラットフォームとしてのプレイステーションは重要な資産ではありますが、ソフトウェアビジネスというのは開発費が固定費ですので、できるだけ多くばらまいた方がいい。そう考えると、プレイステーションだけでなく、様々なプラットフォームに展開した方が良策なわけです。

そのため、ソニーはバンジーの人気ゲームを他社のゲーム機にも展開していくと見られていますので、その辺がマイクロソフトとの違いなのではないでしょうか。

三田キャスター:
戦略としてプレイステーションだけではなく様々なデバイスに向けて開発し、人気ゲームの更なるヒットに繋げるということで、ゲームも新たな時代に突入するにあたって各社戦略的な動きが激しくなっているようです。

(「Live News α」2月1日放送)