仕込みの際に音楽を聞かせる珍しい味噌造り。音楽の刺激が、味噌にどんな変化をもたらしているのだろうか。

音楽スピーカーを入れて発酵…その効果は

NST・杉山萌奈アナウンサー
NST・杉山萌奈アナウンサー
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杉山萌奈アナウンサー:
日本酒にワイン。上越市は発酵食品の製造が盛んに行われています。もちろん、味噌造りも古くから行われています

戦国武将・上杉謙信のふるさと、新潟県上越市。上越の味噌は、この上杉謙信の時代から根付いたとされている。そんな発酵のまちで創業し、105年を迎えた山本味噌では…。

味噌から音楽がきこえる
味噌から音楽がきこえる

杉山萌奈アナウンサー:
扉を開けると音楽が聞こえてきます。味噌から音楽が聞こえてきます。えーっ、不思議!

味噌の中に音楽スピーカーを入れて発酵させる、なんとも不思議な方法で仕込まれていた。科学的な証明はされていないが、こんな効果があったという。

山本味噌醸造場 山本幹雄社長:
普通の味噌はだいたい半年で出荷するが、これは100日間、約3カ月で完成する不思議な味噌。音楽の力で発酵熟成が早くなったと言わざるを得ない

100日もの間、毎日24時間 音楽を聞かせて作った味噌
100日もの間、毎日24時間 音楽を聞かせて作った味噌

音楽を100日間、毎日24時間聞かせ続けるこの味噌は「味奏(みそう)」という商品名で、2021年9月に販売が始まった。

杉山萌奈アナウンサー:
100日間も聞き続けるって、味噌にとって疲れないですか?

山本味噌醸造場 山本幹雄社長
山本味噌醸造場 山本幹雄社長

山本味噌醸造場 山本幹雄社長:
ストレスが刺激となって、味噌がおいしくなる変化をもたらします

発案は音響機器メーカー 「酒造り唄」をヒントに

この一風変わった取り組みは、地元の音響機器メーカー・ウエタックスの発案で始まった。

ウエタックス 植木正春専務取締役:
音響屋が味噌を売り始めたと、みなさん興味を持ってくれている。「買いたい」とお客さんが

ウエタックス 植木正春専務取締役
ウエタックス 植木正春専務取締役

こちらの会社がもともと得意とするのは、水中スピーカー。水槽の中にスピーカーを入れてマイクを近づけてみると…。

杉山萌奈アナウンサー:
音楽が明瞭に聞こえます。こもったり反響したりせず、すごく明瞭ですね

ウエタックスの水中スピーカーは、東京オリンピックのアーティスティックスイミングの会場でも使われた。

ウエタックス 植木正春専務取締役:
工業製品は、なかなか一般の市場では難しい。食品のメイドイン上越とコラボできるとおもしろい。スピーカーでやれることが、たまたま今回「味噌」だった

ヒントになった「酒造り唄」
ヒントになった「酒造り唄」

水中スピーカーの技術を地元のために生かせないか…。植木さんがヒントにしたのが、酒の仕込み作業で動作を合わせるために古くから歌われてきた「酒造り唄」。

ウエタックス 植木正春専務取締役
ウエタックス 植木正春専務取締役

ウエタックス 植木正春専務取締役:
音楽を聴くのも、ヘッドホンやイヤホンのほうが重量感があるので。直接、味噌に音を聞かせてしまおうと

山本味噌醸造場 山本幹雄社長
山本味噌醸造場 山本幹雄社長

山本味噌醸造場 山本幹雄社長:
部屋全体やタンクにスピーカーをつけることはあるけど、味噌の中はない

味噌はヒーリングミュージックが好き?

植木さんは、スピーカーが熱を放っても味噌を傷めない構造を約1年かけて開発した。最大の課題は、どんな音楽を聞かせればいいか。

 
 

信州大学と共同で、ロック、クラシックなどさまざまなジャンルの音楽を味噌に聞かせて発酵具合を調査したところ、一番手応えがあったのはヒーリングミュージックだったという。

味噌はヒーリングミュージックが好き⁉
味噌はヒーリングミュージックが好き⁉

極端な数値の変化は出なかったものの、味噌の色に大きな差が出た。

杉山萌奈アナウンサー:
画面右が通常の作り方で作った味噌。左が音楽を聞かせ熟成させた味奏です。こうして見てみると、味奏のほうが色が濃いです

作り方で味噌の色に差が出た
作り方で味噌の色に差が出た

実際に食べ比べてみると…。

杉山萌奈アナウンサー:
味の違いがよくわかります。味奏のほうがまろやかです。そして、麹の豊かな風味も感じます。ここまで味の違いが出ると思っていましたか?

山本味噌醸造場 山本幹雄社長:
思っていない、正直びっくりした。何かとエビデンス(証拠)が求められる時代だが、よくわからないけど音楽を聞かせたら、すごくおいしい味噌になったという。夢とロマンがある、いい味噌

山本味噌醸造場 山本幹雄社長
山本味噌醸造場 山本幹雄社長

ウエタックス 植木正春専務取締役:
上越は発酵のまちなので、少しでも協力できたなら良かった

地元の企業が力を合わせて誕生した、味奏。「たくさんの人に味噌を食べてほしい」という願いを音楽にのせて、蔵にはきょうも静かな音色が響く。

(NST新潟総合テレビ)