飛行機出勤も可能

ヤフーは柔軟な働き方を加速させ、4月から日本全国どこに住んでも良いようにすると発表した。

息子と一緒にそりを楽しむヤフー社員の女性。昨年4月に軽井沢に移住し、自然豊かな場所で子育てをしながらテレワークをしている。

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軽井沢に移住したヤフー社員・加藤末那さん:
リフレッシュするのが簡単になった。個人的な感覚だと生産性はかなり上がっているかなと思います。

ヤフーでは2014年に好きな場所で働ける制度を導入し、現在は社員や契約社員の9割がテレワークを行っているが4月から日本全国どこでも居住可能にすると発表した。

ヤフー・川邊健太郎CEO:
働く場所の選択をより拡充していきますし、どこでもオフィスのやり方の環境を支援していきたい。

これまでは出勤時一日あたり片道6500円までとしていた交通費の上限を撤廃、新たな制度では飛行機での通勤も可能になる。

新潟県湯沢町でテレワークをする男性。週末は家業の旅館を手伝い、経理から掃除までこなしている。

ヤフー社員・角谷真一郎さん:
高齢の母のすぐそばで生活できるというのは一番大きなところでした。私のように色々な事情を抱えた方、介護や育児を抱えた方にとってものすごく選択肢が拡がる事が一番期待するところです。

ヤフー・湯川高康CCO:
求めているのは「社員の自立」。会社から与えられるのではなくて、どうすれば一番パフォーマンスを上げられるか、自身の生活をより豊かにできるのかというのを能動的に考えてこの制度を活用してほしい。

ヤフーでは働き方の選択肢を増やし、優秀な人材を幅広い場所から獲得したい考えだ。

デジタル人材の採用有利に

三田友梨佳キャスター:
株式会社キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。石倉さんの会社は社員全員がリモートワークをされていますが、今回の試みをどうご覧になりますか?

株式会社キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
ヤフーは今までもテレワークが中心だったので小さな変更に見えますが、実は大きな変革だと思います。

今までの制度というのは、何かあったときに11時までに出社する必要があるということだったので、事実上、オフィスに通うことが出来る範囲に住んでいる人がテレワークも選択できるという状態だったわけですが、今回の制度変更によって、まったく居住地の縛りがなくなり、本格的に全国どこに住んでいてもヤフーで働けるようになったことは大きいと思います。

三田キャスター:
ヤフーのような誰もが知っているような企業が柔軟な働き方を加速させることは他に企業にも影響を与えそうですね。

石倉秀明さん:
働く場所を限定しない動きを進めると不足するデジタル人材の採用で有利に働きます。ヤフーのようなもともと人気のある企業が今回のような取り組みをしたことで、他の大企業でもデジタル人材の確保のために働く場所を問わない働き方を増やしてくると思います。

三田キャスター:
そのような企業が増えると地方経済にも影響がありそうですね。

石倉秀明さん:
地方に住む個人にとってはメリットしかないと思います。地方在住のデジタル人材やそれ以外の職種の人でも都会に行くことなく東京の企業で働く選択肢が増えるので、地元に残ったり地元に戻ったりする人もいると思います。

また“東京水準”の給与をもらう人が地方に増えることで、地元の消費を牽引する存在になる可能性もあると思います。

三田キャスター:
一方、課題をあげるとしたら、どんなことがありますか?

石倉秀明さん:
地方の企業にとっては試練でもあります。今まで人材獲得は地元企業間での争いだったのが、今後採用の競合は全国の会社となります。そうなると待遇や仕事の面白さ、働く環境などあらゆる面である意味「地方だから」というのが通用しなくなります。

今後は地方企業こそ、待遇改善はもちろん、テレワークの活用や副業者の受け入れなどを積極的に行い、全国にいる優秀な人とチームを組んで仕事をする、そういう会社に変化させることが大事になってくると思います。

三田キャスター:
例えば地元で働くことで子育て中のお母さんお父さんにとっても周りのサポートが受けやすかったりと働きやすさにつながると思います。 場所に依存しない働き方にはたくさんの可能性が広がっているように感じます。

(「Live News α」1月12日放送分)