全日本バレーボール高等学校選手権大会、通称「春高バレー」が1月5日から東京体育館で始まる。
昨年同様、今年も無観客での開催となる本大会に104校が出場。その中から注目の出場校や選手などをピックアップしていく。
今回は、未来の日本代表候補とも言える、春高のニューヒーロー&ヒロインたちを特集する。
香川・高松工芸 牧大晃

1人目の注目選手は、香川県代表・高松工芸の牧大晃(ひろあき)。
中学2年で202センチ、高校1年時には208センチあった身長は、現在210センチ。現日本代表の最長身・山内晶大(204cm)、歴代の最長身・大竹秀之さん(208cm)を超える逸材だ。
「緊張したんですけど、物凄く勉強になって、物凄く成長した約2週間でした」(牧)
2021年9月のアジア選手権前の日本代表合宿に、唯一の高校生として参加した牧は、「一番成長したのはメンタル」と話す。日本を代表する選手たちにアドバイスを受け、背筋を伸ばした堂々としたプレーや、身長を活かしたプレーを覚えた。
その実力は日本代表・高橋藍も、「サイドアタッカーであれだけ器用で大きな選手は、日本のバレー界を変える可能性もある逸材」と認めている。高身長ながらアウトサイドヒッターの牧は、その高い運動神経からバックアタックや2段トス、さらにレシーブも高基準でこなすプレイヤーだ。

しかし通っていた中学には男子バレー部がなく、女子バレー部に混ざって練習をしていたという過去も持つ牧。高校入学後は本格的なトレーニングで体重を6〜7キロ増やし、以前より動けるようになりスパイクの威力も上がったと自認する。
目標は海外で活躍できる選手になって、世界一を目指すことだ。しかし世界一の前に成し遂げたい事がある。
「全国優勝目指して頑張りたい」
今バレーができているのは中学時代の先生や女子バレー部のメンバー、そして親や先輩など環境を作ってくれた人々のおかげと話した牧。感謝の意味を込めて全国での活躍を誓う。
千葉・習志野 高橋慶帆

2人目の注目選手は、今大会No.1エース候補の1人の千葉県代表・習志野の高橋慶帆(けいはん)だ。
身長193センチのアウトサイドヒッターは、「世界へ羽ばたくような人になって欲しい」という願いから、ペルシャ語で「世界」の意味を持つ「慶帆(けいはん)」と名付けられた。髙橋の最高到達点の350センチは、イタリア・セリエAで活躍を続ける日本代表・石川祐希にも引けを取らない高さだ。
実はバレーボールを始めたのは中学2年生と、周りより遅かった高橋。しかしその高さに習志野の監督が目をつけ、わずか5年で世代を代表するエースに急成長した。

「高さのあるスパイク、そこに注目して欲しい」
そう語る高橋の夢は「日本代表に入って世界と戦うこと」だ。“世界”を意味する名前が好きになれなかった時期もあるが、今は違う。
「“世界に視野を広げる”って意味を込めてつけてくれた。昔は他人と違う変わった名前だったので嫌だった。もっとありきたりな名前が良かったけれど、世界に視野を広げている中で、他になく自分の志に合っているので気に入っている」
「自分が最後打ち切る」と語る、エースの自覚が芽生えた髙橋は、初戦、「高速コンビバレー」を伝統とする京都・東山高校と対戦する。
岡山・就実 深澤めぐみ・つぐみ姉妹

注目選手3人目と4人目は、“最強ツインズ”とも呼ばれる双子だ。
岡山県代表・就実の深澤めぐみ、深澤つぐみ姉妹は、昨年の春高バレー決勝戦で2人で49点と抜群の攻撃力を見せ、母校を優勝に導いた上、2年生ながらキャプテンとして活躍した姉・めぐみは大会MVPにも輝いた。
めぐみは自身の強みを「絶対にとらないといけない一点とか、負けられないと思ったときに、一点をどんどん攻めていけるところが強みだと思います」と語る。妹・つぐみは「どんな高いブロックが来ても怖がらずに打ち切ることだと思います」だと自負する。

生まれてからずっと一緒で、もちろんバレーボールも一緒に始めた双子の姉妹は、身長176センチ、最高到達点302センチとその高さも全く同じだ。2019年にはU-18/19女子日本代表の合同強化合宿にも共に参加してきた2人だが、春高バレーが終わるとそれぞれの道に進むことが決まっている。
姉・めぐみはVリーグ・久光製薬に内定が決まっていて、妹・つぐみもVリーグ・東レへと進む予定だ。
「目標は日本一なんですけれど結果はあとからついてくるので一試合一試合、2連覇へのチャレンジャーとして一試合一試合自分たちの力を全部出し切ることを目標にしています」(めぐみ)
「自分にとって高校生最後の大会になるので、最後自分達の力を全部出し切って良い結果で終われるように頑張りたいと思います」(つぐみ)
姉妹最後の大会で、目指すは優勝だ。
東京・下北沢成徳 古川愛梨

最後の1人は、高校バレー界の名門・下北沢成徳の2年生、古川愛梨。
身長184センチ、最高到達点300センチのミドルブロッカーは、同じ下北沢成徳出身の木村沙織2世と謳われる逸材だ。
大会屈指の高さはもちろんのこと、パンチ力の高いスパイクで得点を量産する古川。2021年のインターハイでは、センター線から次々と叩き込み、文字通り日本一の立役者になった。
中学時代に憧れの選手・木村沙織に成徳入りを勧められた古川は、入学当初は腕立て伏せも出来ず、体幹トレーニングもままない状態で、前回の春高バレー出場も逃していた。しかし「このままでは追われない」と厳しいトレーニングの日々を送り、スパイクにパワーが付いたことで、チームの中心選手として活躍できるようになった。

名称・小川良樹監督も、身体作りの間はミドルブロッカー、最終学年でアウトサイドヒッターという、木村沙織と同じ指導方針を敷いている。
「安定したプレーで、チームにどんな時でも貢献できるプレーヤーになりたい」
そう話した古川。
将来の夢である「オリンピックでメダルを取る事」を目指し、春高バレーでも優勝を狙う。
第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会
ジャパネット杯 春の高校バレー
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