全日本バレーボール高等学校選手権大会、通称「春高バレー」が1月5日から東京体育館で始まる。

昨年同様、今年も無観客での開催となる本大会に104校が出場。その中から注目の出場校や選手などをピックアップしていく。

今回は、連覇をかけて挑んだ前回大会で“悪夢”の出場辞退を経験し、「去年の3年生の分の想いを背負って」戦う、京都・東山高校の今大会への想いに迫る。

あの“悪夢”から1年…

3年連続14回目の春高バレー出場となる京都の東山高校。東京オリンピック日本代表・髙橋藍の母校としても有名な、バレー名門校だ。同じく京都の名門・洛南高校にはインターハイ予選で負けたものの、春高バレーでは京都代表として夢舞台に帰ってきた。

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2020年度の高校バレーは、新型コロナウイルスの感染拡大により、インターハイが中止となり国体も延期と、立て続けに全国大会が無くなり、唯一開催したのは春高バレーだけだった。

東山高校はスタメン全員を3年生で揃え、一年を通して作り上げたチームの集大成を見せる舞台として春高バレーに挑み、初戦をストレート勝利。優勝候補に挙げられる中、前回王者として上々のスタートを切っていた。

しかし3回戦開始直前で部員の発熱が判明。大会実行委員会の判断で、棄権が決定。戦わずして、大会を去ることになった。

あれから1年、新チームとなった東山の注目は、2年生のミドルブロッカー・麻野堅斗(けんと)だ。

将来の日本代表を期待されるMB・麻野

MB・麻野堅斗
MB・麻野堅斗

「自分が出るからには一生懸命(当時の)3年生の想いも込めてプレーしたいと思っていました。自分たちも悔しい思いをしたんですけど、それ以上に3年生の方が春高にかけている思いが強い分、悔しかったと思います」

当時をそう振り返った麻野。

昨年選手たちに棄権を伝え涙を見せた豊田充浩監督は、この麻野が将来日の丸を背負うことを期待し、「今の日本バレー界はミドルを強化しないといけないので、ミドルにした」と語るほどの逸材と考えている。

身長は東山高校で歴代最高身長を誇る206センチ。最高到達点は345センチ。入学時は怪我が多く、なかなかバレーに集中することが出来ていなかったが、トレーニングの成果もあり、現在ではその長身からは想像できないほど機敏に動けるようになった。

初戦の相手は、全国トップレベルと言われる跳躍力を持つエース・高橋慶帆(けいはん)擁する、千葉・習志野高校。

「サーブで崩して、相手も高いのでその分ブロックで引っかけたりシャットしたり、自分の役割をしっかりして、チーム全員で勝っていきたいと思います。
去年の3年生の思いも全部背負って、一戦一戦プレーしていきたい」(麻野)

「先輩たちの分まで日本一を取る」

例年に比べて、麻野を中心に“大型”チームとなった東山高校で、伝統の「高速コンビバレー」を作り上げてきた新チームの中心は、チームキャプテンの辻本怜要(れい)だ。

キャプテン・辻本怜要
キャプテン・辻本怜要

寮生でもあった辻本は去年のキャプテン𠮷村颯太(現・日体大)と共に通学していたこともあり、去年の3年生の想いを強く感じている。

「自分の中でも、仲が良くて偉大な先輩だったので、ああいう形で終わってしまって、もう少し一緒にしたかったって自分の思いと、この先輩たちの悔しい想いをした分、自分たちが来年ここに戻ってきて日本一を取らないといけないと思いました」

新チームになってからも、キャプテンとしてチームをまとめられなくて責任感に潰されそうになったときには𠮷村に相談してきた。「自分が思うようにやればいい」とアドバイスを受け、「自分の中で我慢してしまう所があるので、そこを意識して口にして言えるように」なり、チームへの声かけができるようになったという。

「自分たちも去年の先輩たちのように、精度の高いバレーボールをして、多くの人達に勇気や感動を与えられたらなと思います。相手チームだけではなく、自分たちの見えない敵に負けてはいけない」(辻本)

21年12月には、イタリア1部リーグ・セリエAのパドバに今季終了まで加入する先輩・髙橋藍が、渡伊直前に激励に訪れた。髙橋に憧れて東山に入学した1年生エース・尾藤大輝(ひろき)も「オーラが凄くて圧倒された」と刺激を受けたという。

キャプテン・辻本は、「春高の舞台で先輩たちの分まで日本一取ります」と力強く語った。

あの悲劇から1年。先輩たちの思いも胸に、日本一奪還へ挑む。

第74回全日本バレーボール高等学校選手権大会
ジャパネット杯 春の高校バレー
https://www.fujitv.co.jp/sports/haruko/index.html