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フジテレビのスポーツニュース番組「S-PARK」では、毎年プロ野球選手100人に独自の調査を行い、打撃や投球など各部門のスペシャリストを選出してきた。

2021年は「守備」「バットコントロール」「スピードボール」「パワーヒッター」「走塁」「変化球」の部門で調査、最終回となる第6弾は変化球ナンバー1を選ぶ。

2011年はダルビッシュ有のスライダー、12年は前田健太のスライダー、13年は田中将大のスプリット、14年は金子千尋のチェンジアップ、15年は前田健太のスライダー、16、17年は千賀滉大のフォーク、18年は菅野智之のスライダー、19年はジョンソンのカーブ、20年は菅野智之のスライダーとこれまで球界を代表するエースたちがしのぎを削ってきたこの部門だが、2021年は“前代未聞の事態”が…

2021変化球部門・第5位

第5位(6票)は同数で2人がランクイン。1人目はルーキーながら2桁10勝利をマークした日本ハム伊藤大海のスライダーが選ばれた。

変化の大きさや球速、腕の位置を変えるなどして、本人いわく「6種類ほど投げ分けている」というまさに変幻自在のスライダーに対戦相手も舌を巻く。

「初めて交流戦で対戦した。スライダーがキレがあるというか速いというか」
(中日・高橋周平内野手)

「曲がりも大きいですし、鋭いですし、曲がってからが速いように感じるので。僕もあんなスライダーを投げたいなと思うような」
(ヤクルト・石川雅規投手)

「スライダーが1種類じゃなくてですね、自分の中で投げ分けているっていうのはすごいなって思いましたし、このスライダーを投げておけば初見では厳しいなと思う」
(ソフトバンク・甲斐拓也捕手)

2021変化球部門・第5位

そして、第5位にもう1人。沢村賞などタイトルを総ナメにしたパ・リーグMVP、オリックスのエース山本由伸のスライダーが選ばれた。

実は今季全体の2.5%しか投げていないスライダー。それでも、鋭い変化で絶大なインパクトを残し5位にランクインした。

「来るだろうなって思っていても打てないです。下に消えるようなスライダーなんで、手も足も出なかったです」
(広島・小園海斗内野手)

「ヤマモト、スライダー。キレがすごい」
(巨人・ウィーラー内野手)

2021変化球部門・第4位

続いて、第4位はセ・リーグ新人王、広島の守護神・栗林良吏のフォークが選ばれた。

ルーキーながら抑えに抜てきされると、新人最多記録に並ぶ37セーブ。さらに防御率は0.86と安定感抜群の投球を披露。東京五輪でも侍ジャパンの守護神を任され、胴上げ投手になった。

「途中で真っ直ぐだと思って踏み込んでいっても実際はフォーク。最後まで引きつけて見極めないと空振りしちゃいゃますし、いいボールだと思います」
(ヤクルト・山田哲人内野手)

「1年目でオリンピックの抑えもして素晴らしいピッチャー。ここでフォークなら空振りするだろうなというところで毎球フォークを投げて毎回空振りを取るイメージ」
(中日・柳裕也投手)

「本当に素晴らしいフォークだね。クリバヤシ。速いボール持っているけどフォークも速いので違いがないって言うのが打ちにくいし動きもすごく大きな動きをするので素晴らしい」
(DeNA・ソト内野手)

「ほんと真っすぐと同じようにしっかりと腕を振って投げていて、同じ軌道から沈むのでバッターは区別しづらいと思う」
(中日・福留孝介外野手)

2021変化球部門・第3位

第3位(8票)にはその栗林も絶賛する投手が…
過去に2度変化球部門ナンバー1を受賞したソフトバンクのエース千賀滉大の代名詞“お化けフォーク”が登場した。

「落ちがすごいのであのフォークはやっぱりすごい。オリンピックのときのアメリカ戦で、ベース手前のフォークとかも振らせていましたし、ブルペンで見ていても落ちがすごいので」
(広島・栗林良吏投手)

「分かっていても打てないと言いますか、落差がすごくあるんでバットになかなか当たらない」
(ロッテ・荻野貴司外野手)

「めちゃくちゃ落ちます。打てないですね。ストライクゾーンに来てもなかなか手がでないというかチャンスボールではないですね。フォークを打とうとか考えたことない」
(楽天・浅村栄斗内野手)

「ボールが消えるというか、絶対に振らないでおこうと思っても、真っ直ぐに見えて振ってしまう。打てないフォークです」
(ロッテ・藤原恭大外野手)

「不規則で、落ちるときもあれば変な動きするときもあるので。読みづらいです」
(楽天・島内宏明外野手)

2021変化球部門・第2位

千賀のお化けフォークを抑えて第2位(9票)に入ったのは、なんと2度目の登場、オリックス山本由伸のカーブがランクインだ。

平均球速152キロのストレートとの球速差はおよそ30キロ。被打率はわずか1割2分5厘。打者の意表を突くカーブはまさに魔球だ。

「あんなに落差のあるカーブはなかなか投げられないと思いますし、自分には絶対無理なので見ていて本当に羨ましい」
(ロッテ・益田直也投手)

パワーカーブなんですけどすごく落ちますね」
(ヤクルト村上宗隆内野手)

「速いんですねカーブが。曲がってからも速くて、打ちづらい球」
(中日・大島洋平外野手)

2021変化球部門・第1位

変化球部門の頂点に立ったのは…
史上初の快挙、同じ部門で3度目のランクインとなった山本由伸のフォークに。

特徴は何といってもそのスピード。4月14日のソフトバンク戦で主砲の柳田を三振に仕留めたのはなんと150キロのフォークだった。

「150キロのフォークとか見たことない。かわいそうだなって思う、相手バッターが
(オリックス・宗佑磨内野手)

チームメートも相手に同情するほどの高速フォークは平均球速144.6キロ。その空振り奪取率は10%を超えれば優秀と言われる中、驚異の25.7%。データ上でもソフトバンク千賀のお化けフォークの27.8%に匹敵する数字を残している。

「打者有利な時でも投げられたりして、ああいう球があったら簡単にアウト取れるんだろうなって」
(オリックス・宮城大弥投手)

スピードが違う。150キロに近い球で落ちるので僕もああいう球を投げたい」
(ヤクルト・奥川恭伸投手)

「分かっていても振っちゃうボールなので。紅白戦で1回三振したんですけど、味方でよかった
(オリックス杉本裕太郎外野手)

「途中までは本当に真っ直ぐなんで、なかなか難しいボールだと思う。あのフォークボール」
(ヤクルト・青木宣親外野手)

「コントロールもストライクがボールになる。打者にとっては本当に打ちづらい」
(ロッテ・レアード内野手)

「速いし、しっかり変化する。ストライクもとれれば空振りもとりにいくこともできて自分で操っている感じがする。初球からバンバンくるしすごい」
(楽天・則本昂大投手)

前代未聞の全5球種がトップ10入り

史上初、3つの球種でランクインした山本由伸だが、それだけではない。投票した選手からはこんな声も…

全球種一級品の変化球。どれが良いかというか全部良いので」
(西武・森友哉捕手)

由伸の全ての球種。『これ』じゃないもう全ての球種
(ソフトバンク・甲斐拓也捕手)

なんと、7位にカットボール、さらに10位にシュートが入り、全5球種がトップ10入りという前代未聞の結果になった。

波乱の2021年…第7位から13位

オリックス山本がランキングを席巻したことで、波乱の展開となった変化球部門。
第7位(5票)には山本由伸のカットボールと同数で、ソフトバンクのモイネロのカーブが登場した。

「対戦したときに想像を超える変化だった」
(巨人・大城卓三捕手)

「ちょっと見たことない軌道かなって、横から見ての感想ですけど。他の投手のカーブと比べて最終到達点というか、落差っていうのはすごく大きい」
(日本ハム・伊藤大海投手)

第9位にはソフトバンクのマルティネスのチェンジアップが選ばれた。

「やっぱり待てない、まっすぐみたいに速く出てきて遅いみたいな感じの感覚ですかね」
(日本ハム・近藤健介外野手)

「やっぱり他にはない球だと思いますし、日本球界でも今多分ああいうチェンジアップ投げる人っていないと思うのですごいレアだと思いますし、すごいです」
(ソフトバンク・千賀滉大投手)

第10位(3票)には、山本由伸のシュートと同数で、中日・柳裕也のスライダーとカーブがそれぞれ選ばれた。

「中日の柳さんのカーブ。落差あるしあれでタイミングずらしている事もあるので自分もあんなカーブ投げれたら」
(阪神・伊藤将司投手)

第13位(2票)にはオリックス山岡奏輔のチェンジアップ、楽天・則本昂大のフォーク、上沢直之のチェンジアップ、奥川恭伸のスライダー、阪神・髙橋遥人のツーシーム、巨人・菅野智之のスライダー、巨人・髙橋優貴のスクリュー、中日・大野雄大のツーシーム、中日・橋本侑樹のスライダーとなった。

「山岡さんのチェンジアップですかね。今年怪我であんま投げられてなかったですが、腕の振りからは考えられないブレーキが効いたチェンジアップ」
(オリックス・紅林弘太郎内野手)

「上沢さんのチェンジアップ。真っすぐと思ってしまうくらい抜けてるというか、来ないというか」
(ソフトバンク・栗原陵矢)

「奥川君のスライダーです。打とうと思ったときにもう1個食い込んでくる。2回曲がるじゃないですけどそういう印象」
(日本ハム・西川遥輝外野手)

「髙橋遙人。ツーシームみたいな少し落ちる球。自分で投げ分けている感じがあるので」
(巨人・坂本勇人内野手)

「菅野さんのスライダー。もう無理っす。打てない。笑っちゃうぐらいやばいです」
(広島・鈴木誠也外野手)

「中日の橋本選手のスライダー。交流戦で出てる時に、投げてるボールすごい曲がってるなと思って。左バッターがみんな空振りしてたし、しかも近藤とか西川さんとかも「あれはえぐいわ」「まじで当たる気せんかった」「曲がってから速い」ってロッカー帰ってきたときに言ってたんで。
(日本ハム・上沢直之投手)

第6の魔球チェンジアップ習得に意欲

変化球部門ナンバー1初受賞に「フォークには本当に助けられているというか、本当にピッチングの軸になっていますね、今は」と喜びを隠せない山本。

さらに史上初、全球種が上位にランクインする結果にも「そうなりたいと思っていました。全球種どれも平均点が良かったというか安定感が出ましたね、今年は。もっともっとレベルアップしたいですね」とさらなる技術の向上に余念がない。

そして、既に来季を見据える右腕は「新しい球種を投げる予定はチェンジアップを投げたい」と新球チェンジアップの習得を目指す。実は2020年にキャンプでもチャンレンジしていたが、公式戦では封印。「もう2年ぐらい投げれていないので、このオフに練習します」と再び挑戦する。

進化を続ける若きエース山本由伸、来季はいったいどんなピッチングを見せてくれるのだろうか。