福岡市の水族館「マリンワールド海の中道」は、飼育しているメスのカマイルカの妊娠を発表した。
待望の「妊娠」なのだが、実は喜び2倍の「W妊娠」なのだ!
無事に出産すれば、福岡で初となる
高いジャンプ力で観客を魅了するカマイルカ。その名前はカマのような背びれからきている。
この記事の画像(17枚)今回、妊娠が判明したのが、ショーで喝采を浴びるメスで推定22歳の「サンゴ」と推定16歳の「ヒカリ」だ。
マリンワールド海の中道 木下克利さん:
(マリンワールドで)これまでカマイルカの出産はありませんので、そういった意味ではかなりのチャレンジにはなった
マリンワールドでは、カマイルカの妊娠は初めてのことで、無事に出産すれば福岡では初の快挙となる。
カマイルカの繁殖計画が動き始めたのは2021年5月のこと。オスのプールにサンゴとヒカリを移して、お見合いが行われた。
うまくいってほしいと飼育チームが見守る中、積極的に近づくオスの様子も見られ、期待は高まっていた。
そして6カ月後の11月5日。
トレーナー:
見えた?
獣医師:
あー、いますね!
ヒカリの胎内に赤ちゃんがいることが確認された。
そして、7月にはサンゴの妊娠も確認されていた。
順調にいけば、2022年の5月から9月ごろ、それぞれ出産を迎えることになる。
飼育下での出産は課題多く…気の抜けない日々
マリンワールド海の中道 木下克利さん:
とてもうれしい反面、来年、大丈夫かなという不安もありますね。初産になるので。あとマリンワールドでも、カマイルカの出産は初めてになりますので…
カマイルカは神経質で、飼育や繁殖が難しいといわれている。国内で飼育中のカマイルカの出産はこれまでに52例あるが、子どもが1歳以上に成長したのは、半分以下の22例に留まっている。
木下さんによると、さらに2頭のような初産の場合、その成功率は10%ほどで、非常に難しい出産となるという。
さらに課題は多く…
マリンワールド海の中道 木下克利さん:
これは人工保育の時に使用するミルクになります
生まれたばかりの赤ちゃんは、お乳を見つけられず母乳を飲めないことがあり、人工保育が必要となるケースもある。そこでアメリカから動物用ミルクを仕入れたというのだが…
マリンワールド海の中道 木下克利さん:
こちらが10万円、こちらが8~9万円ぐらい。輸送費とか込めると20万円近くかかります
野生に比べて、飼育下での出産はノウハウが少ない一方で課題も多く、スタッフも週1回、エコー検査を実施するなど気の抜けない日々を過ごしている。
マリンワールド海の中道 木下克利さん:
産まれるまでに、ちょっといろいろと対策を練るのが重要になってきます。成功例も少ないので、どうやったら一番いいのか、ベストな状態を一緒にみんなで考えているところ
「元気な赤ちゃんをお披露目したい」
イルカの飼育チームも、総力戦で出産準備に入っている。
サンゴとヒカリは現在、イルカショーに参加しているが、予定される出産時期の2~3カ月前には“産休”に入るそうだ。
(テレビ西日本)