木原誠二官房副長官は5日のフジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、岸田政権の政策に対する「社会主義的」との指摘に反論した。

コメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長、弁護士)は、岸田政権が「分配」を前面に打ち出していることを念頭に「実態は社会主義だと思っている」と指摘。

これに対し、木原氏は「『成長も分配も』だ。企業がしっかり分配できるように、まず国がやり、法人税の減税をしながら、企業に(分配を)促していく。成長、規制改革もしっかりやる」と述べた。

一方、政府が決めた18歳以下への現金とクーポンによる10万円相当給付と、困窮世帯への10万円現金給付を巡り、事務的経費が膨らむ問題について、元財務官僚でもある木原氏は「どんな予算でも事務費は少なければ少ないほどいいに決まっている。削り倒したい」と強調した。

以下、番組での主なやりとり。

梅津弥英子(キャスター、フジテレビアナウンサー):
静岡・島田市が(18歳以下への)5万円相当のクーポン給付を現金で給付することを決めた。理由は、子育て世帯が望むのは現金であること、クーポン発行には手間と経費がかかることを挙げている。

松山俊行(キャスター、政治部長・解説委員):
(5万円相当の)クーポンを配るための事務費に900億円以上の金がかかるのは問題との指摘がある。政府与党内からは、多くの自治体がクーポンではなく現金給付を選択し、結果的には事務費が大幅に削減されるだろうとの見通しも出ているようだ。

橋下徹氏(番組コメンテーター、元大阪市長、弁護士):
今回の政策は、納税者として本当に怒り心頭だ。こんなばかげた政策をオッケーして。事務費と政策効果はどう考えても不釣り合いだ。教育施策であれば継続的にやらなければいけない。一回こっきりの5万円のクーポンで何が教育施策なのか。クーポンを使った分、家計費から貯蓄に回す場合もあり、全くわけがわからない。木原さんは今は政治家だが、もともとは財務省の官僚だった。財務省の官僚だったら、こんな事務費、削り倒すでしょう。

木原誠二氏(内閣官房副長官):
この事務費について削り倒すかどうかは別にして、削らないといけないと思う。どんな予算でも、事務費は少なければ少ないほどいいに決まっている。これは、おそらく各自治体にお願いするにあたり、決して事務が滞らないように十分に見積もった額だと思うが、各自治体とも協力して削り倒し、少しでも小さくしていくことは重要だ。クーポンで言えば、印刷代、郵送代は非常に大きい。従って、これをデジタル化していく。さらには、もしかしたらID化してパスワードとセットでやる。いろいろな工夫をしなければいけない。それはしっかりやっていきたい。

橋下氏:
デジタル社会がきちんと環境整備された段階で、電子クーポンはありだと思う。今、木原さんは事務費を「削り倒す」とまで言った。全国の自治体に「現金でやってほしい」と言うのが一番簡単な方法だ。現金給付なら280億円。これもおかしいとは思う。デジタル社会になれば、280億円なんかかからないと思うが、それでも現金一括給付ならとりあえず280億円で済む。(現状で)ベストなやり方だ。

木原氏:
そこは橋下さんと私どもの立場は少し異なる。(現金とクーポンの)2つに分けた最大の理由は、春先、入学、進学の時にかかる金をしっかり子どものために使ってもらおうということ。期間を絞ってクーポンにすることで消費効果を高め、確実に子どものために使ってもらうという政策目的がある。(給付方式を)2つに分けたこと自体は間違っていないが、事務費は少しでも減らす努力をしなければいけない。

橋下氏:
春先に届けるというのであれば現金給付の方がいい。使い方についても国民を信用してほしい。子育て世帯に配るのだから教育費に使う。

木原氏:
現金はダメだとは言っていない。それぞれの自治体が判断することだ。クーポンでやることは、デジタルクーポンであれ、IDであれ、その地域の教育業者、あるいは教育のさまざまな枠組み、サービスも振興できる面もある。

橋下氏:
住民税非課税の困窮世帯への現金10万円給付にも、事務費854億円がかかる。所得を確認するための事務費や人件費として自治体に渡すのだろうが、これもおかしな話だ。木原さん、財務官僚であれば、これ、削り倒すでしょう。

木原氏:
削り倒したい。やらなくてはいけないことは、やはりマイナンバーの活用。預貯金口座とひも付ける仕組みもできている。選択してもらうわけだが、リアルに所得状況等々をデジタル社会で国も把握できるようにしていく。そういう改革をしっかり進めていくことだと思う。

梅津キャスター:
岸田政権が掲げる「新しい資本主義戦略」の具体策も見ておきたい。電気自動車(EV)の購入補助金、最大80万円。保育士の賃金3%引き上げ、1人月額給与約9,000円アップなどが検討されている。            

松山キャスター:
この「新しい資本主義」をめぐっては、「分配」一辺倒ではないかとの指摘もある。岸田首相は「成長も分配も」と強調しているが、どう整合性を持たせていくつもりか。

木原氏:
総理が言う通り「成長も分配も」だ。日本経済は今までなかなか成長ができなかった。さまざまな改革をしてきたし、3本の矢もやってきたが、まだまだ成長できる余地がある。人への投資があまりに少ないということだと思う。生産性は伸びている。でも、諸外国では生産性が伸びると賃金が上がってくる。日本だけが乖離している。まず人へしっかり投資して、生産性につなげ、給与につなげ、需要につながっていく。そういう好循環を作っていきたい。これを分配と呼べば分配だが、われわれは、この人への投資をしっかりやりたい。

松山キャスター:
橋下さんは先ほど「(岸田政権の政策は)社会主義だ」と言っていたが。

橋下氏:
政治行政が金を分配することは一定賛成だが、もう一つ重要なのは、企業の自由な活動というものを合わせ持たないと成長できない。タクシーに関して、ウーバー・システムすらいまだに導入できていない日本は、企業の自由闊達な活動を認める方向には踏み出せない。オンライン診療の問題、オンライン教育の問題、農業の問題、ありとあらゆるところで企業の自由闊達な活動を全部止めているような社会では成長はできない。どうも政治行政が金を分配する話ばかりで、社会主義になってしまうのではないかという危機感を持っている。

木原氏:
それは私も共有する。社会主義は国がさまざまな生産手段を保有し、分配する仕組みだが、資本主義はそこを企業にやっていただく。企業がもっと分配するようになってくれないと本当に社会主義になってしまうので、われわれは企業がしっかり分配できるように、まず国がやり、法人税の減税をしながら、企業に促していく。そういう政策をやらせていただく。もうひとつ、成長はしっかりやる。デジタル行政臨調を作った。対面原則や書面原則などを見直し、規制改革をしっかりやっていく。

橋下氏:
規制改革という言葉がちょっと弱いなと思う。

木原氏:
それはしっかりやらせてもらう。