「スタートアップ創出推進室」

日本発の「ユニコーン」は誕生するのだろうか。

経済産業省は1日、スタートアップ企業の支援を強化するため専門部署を新設した。

経産省はこれまで、分野別の部署がバラバラにスタートアップ企業の支援を実施していたが、支援策を一体的に取りまとめる「スタートアップ創出推進室」を1日、新たに設けた。

岸田政権は、スタートアップの創出と発展を成長戦略の柱の1つにしているが、海外からの資金流入などが進まず、設立10年以内で企業価値が10億ドルを超える「ユニコーン」と呼ばれる非上場ベンチャー企業が生まれにくい状況が続いている。

カギは株式市場の考え方の転換

三田友梨佳キャスター:
株式会社キャスター取締役CROの石倉秀明さんに聞きます。
スタートアップの経営にあたる石倉さんは今回の経産省の動き、どうご覧になりますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明氏:
経産省がどのような支援をしてくれるのかまだ中身がわからないので、それ次第かなと思います。

「ユニコーン」を日本から出すためには、株式市場とスタートアップの経営の考え方の転換が大きいかなと思います。例えば、赤字の状態が続いても投資を継続して事業拡大を優先するスタートアップの経営の仕方は、株式市場では評価されにくくて、株価が上がりにくいです。
そもそも赤字のままだと上場することもできないこともあり、より投資したら大きくなる可能性がある会社でも投資を抑えて小さな規模のまま、黒字化せざるをえないという現状があります。

資金調達の環境は良くなっていますが、やはり10年前後の短い期間でリターンを求められることが多いのも要因だと思います。

三田キャスター:
企業の成長を長い目で見守る投資を増やす必要があると思いますが、そのためにはどんなアプローチがあるのでしょうか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明氏:
例えば、政府系のファンドであるGPIFは、全運用のなかの25%となる約50兆円を国内株式に投資していて、その一部がスタートアップに流れてくるだけでも資金の量は大きく変わりますし、長期での投資資金が流れてきたら大分変わってくると思います。

三田キャスター:
資金調達とともに成長のカギとなる人材確保についてはいかがですか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明氏:
今は資金調達環境も非常に良いので、大企業よりも働く環境が充実していたり、給与が見劣りしないスタートアップも増えているので、そこで働くリスクは減っています。なので良い人材が全く来ないということはないと思います。

ただ、大企業で働く人の中には、賞与や退職金を加味して住宅ローンを組んでいることが足かせになって、会社を移れない方もいると思うので、こうした個人に対して国のアシストがあるとより優秀な人が動きやすいと思います。

三田キャスター:
経産省だからこそ出来るスタートアップの支援策はどんなことがありますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明氏:
最も期待したいのは規制緩和です。例えばドローンは当初日本メーカーが世界をリードしていたのに、規制によって一気に世界と戦えなくなってしまったという例があります。

新しいビジネスが出てきたときに政府はルールで縛ったり、既存のビジネスを守る側面もありますが、自然な競争により新陳代謝を促すことにフォーカスをして欲しいと思います。

三田キャスター:
日本でもイノベーションがもっと促進されるためにも官民一体となってスタートアップの支援制度や既存の規則改正についても取り組んでいく必要がありそうです。

(「Live News α」12月1日放送分)