18歳以下を対象とした10万円相当の一律給付をめぐり、気になる動きが出始めている。

10万円給付クーポン離れ?

群馬・太田市では18歳以下への10万円給付について全額10万円での支給を検討している。
全額現金での給付は政府が示してきた方向性とは異なる。政府はまず現金5万円の支給を年内に開始、残る5万円を2022年春にクーポンで給付する方針を示してきた。

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松野官房長官は7日午前の会見で「経済対策においてクーポンを基本とした給付を行う」と説明。

そのクーポンでの給付について政府は先週、自治体関係者向けに説明会を行った。
その席では「紙のクーポンか通販サイトのポイントのいずれかを自治体が選択して支給する」と説明。さらに「現金での支給も選択できる」とした。

紙のクーポンの場合は、公募に応じた小売店で使用ができる。
一方、通販サイトのポイントは民間の通販サイトではなく、自治体が独自に開設する専用サイトで使用できる仕組みとなっている。

内閣府によると、参考にしたのは東京都が実施している「子育て支援事業のカタログサイト」だという。

これはコロナ禍で出産育児をする家庭に10万円相当の支援をするもの。カタログには育児用品や食材さらに家電などさまざまな商品やサービスがずらりと並ぶ。

太田市長「クーポンは使いにくい」

一方、群馬県太田市の清水市長がTwitterで表明したのは、10万円の全額現金給付だ。

「国の10万円給付(半分はクーポン券という)クーポンにすると900億円も余分に経費がかかると聞く。クーポン券の使いみちは自治体で決めてということらしい。ちっちゃな子から大きな子まで様々、クーポンはまことに使いにくい。いっそ、全部現金で配るとしよう!!と決めた。担当に伝えた」

政府が進めるクーポン支給は「使いにくい」と判断し、全額現金給付にかじを切ったという。

太田市の街の声は…

市長の決断に、太田市の子育て世帯からはさまざまな声が聞かれた。

太田市民30代(子ども3歳・6ヵ月):
個人的には現金で頂けるっていうのはすごくありがたい話ですね。子供も外に出られるようになってきたので、そういう所にも使いたいと思いますね

太田市民20代(子ども2歳):
クーポンとかの方が経済的に回りやすいのかなって。やっぱり現金だと貯蓄に回してしまう方もいるのかなと思うので

太田市民30代(子ども11歳・8歳・5歳):
クーポンだとそのお店でしか使えないってなっちゃううんだったら現金の方が嬉しいかなって

では、地元の店はどう感じているのか?約3000点のお菓子や駄菓子が並ぶ子どもたちに人気のお店で聞いた。

おかしやさん太田店・齋藤由美さん:
これから年末にかけて家族と過ごす時間も多いと思うので、現金で支給される方が皆さん使って頂けるんじゃないかなと期待しています

30代(子ども3歳):
現金の方がいいですかね。子どもにお菓子だったり使う為に頂けるものであれば限られない方がいいかな

政府「あくまでクーポン給付が基本」

クーポンでの支給をめぐっては追加でかかる事務経費が967億円に上ることが分かり、批判を受けた。

政府は「自治体の実情に応じ現金での給付も可能とする」としているが、松野官房長官は12月7日、「あくまでクーポン給付が基本」との考えを強調した。

松野官房長官:
まずはクーポン給付を基本として検討いただきたいと考えています。地方自治体とよく意思疎通を図っていきたいと考えます

しかし、自治体の間には現金給付の動きが広がりつつあり、すでに静岡・島田市は全額現金給付の方針を表明した。

さらに12月7日、大阪市の松井市長は「ペナルティがないなら15歳以下は今月27日に現金10万円を一括現金で給付したい」と話している。

今後10万円給付をめぐる対応が自治体ごとに分かれることになれば、新たな混乱も懸念される。

イット!スタジオでは…

加藤綾子キャスター:
自治体の判断で決められるのはそれぞれの事情に合わせられるメリットもあると思うんですけど、一方で使い道にバラツキがでてきたりすると、結局何のための給付なのか目的が曖昧になってしまう、そういった懸念も出てきそうですよね

キャノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏:
効率を考えたら現金。目的が子どものためにということであればクーポン。全国一律で同じことをやらないといけないわけではないから、私は各地方で判断をして一番その事情にあったものをするのが一番賢い方法だと思います

加藤綾子キャスター:
莫大な事務費もかかり、先々も利用できるシステムなど無駄のない給付の仕組みを作っておく必要もあるように感じます

(「イット!」12月7日放送分より)