「18歳以下の子どもへの10万円相当の給付」をめぐり、財務省が11月26日、半額の5万円をクーポンの形で支給することにより、事務費用900億円増加することを与野党に説明していたことが分かった。出席した立憲民主党の後藤祐一衆院議員が明らかにした。

「18歳以下の子どもへの10万円相当の給付」は年内に5万円の現金を、来年の春頃に5万円相当のクーポンを支給することとしている。このうち、中学生以下への5万円の現金給付については年内に始めるために、政府は新型コロナ対応の予備費から約7300億円を支出することを決定している。
これに関連して、26日に行われた衆議院予算委員会の理事懇談会で、財務省が予備費の使い道を説明した。
出席した立憲民主党の後藤祐一衆院議員によると、5万円の現金給付にかかる事務費用について、児童手当の仕組みを使う中学生以下の場合は約212億円、申請方式で行う高校生世代の場合は約100億円が必要で、その後行われる5万円相当のクーポン支給にかかる事務費用を合わせると計1200億円が見込まれるという。

一方でクーポン支給を行わず、10万円全額を現金で一括支給した場合も給付にかかる事務費用は、中学生以下で約212億円、高校生世代で約100億円と同様の額になるということで計312億となる。
つまり、現金とクーポンと分けて給付した場合の事務費用は約1200億円、全額を現金で一括給付した場合の事務費用は300億円強となり、クーポン支給をすることで事務費用は約900億円増加することになる。財務省は「現金支給だと貯蓄に回るのに対し、クーポンでなら使用期間を限定するので有効な需要につながる」と理由を説明したというが、後藤議員は「現金一括支給の方がシンプルで早いのではないか」と指摘している。
また財務省は「地方自治体の実情に応じて全額現金給付も可能とする」と説明したほか、年収960万円の所得制限を設けることで、203万人の子どもが給付対象から外れることを明らかにしたという。
国民民主党の玉木雄一郎代表は、自身のツイッターでクーポン支給での事務費増加分900億円について「このお金を使えば所得制限を対象から外れた世帯にも配ることができる」と批判した。