「大盤振る舞い」まだまだ続く!? 過去最大55兆円の経済対策につきまとう”バラマキ”批判
岸田政権の真価

「大盤振る舞い」まだまだ続く!? 過去最大55兆円の経済対策につきまとう”バラマキ”批判

安部俊孝
安部俊孝
国内

膨れ上がった経済対策

選挙公約は守られるべきだ。しかし選挙後3週間も経たずして巨額な経済対策が打ち出されたとなると多少の違和感と戸惑いを覚える。

岸田政権としての初めての経済対策は、財政支出が55.7兆円に上る過去最大規模となった。大きく膨らんだ最大の要因は直近の衆院選だ。経済対策には自民、公明両党が掲げた衆院選の公約が次々に盛り込まれた。

「税金を使って選挙のお礼をしているのか」。ある政党幹部は支援者からこんな反応があると話す。今もまだ大半の衆院議員は選挙後のお礼の挨拶回りで忙しい。地元に張り付いて選挙で世話になった企業や団体などを訪問する。「選挙後の挨拶回りの方が選挙前よりもむしろ大事なんだ」と閣僚経験者は熱く語る。早くも次の選挙に向けた戦いが始まっているということだろうが、今回の経済対策にも同じような匂いを感じる。

岸田首相は「今回の経済対策は、新型コロナ対策に万全を期し、コロナ禍で厳しい影響を受けた方々に寄り添って万全の支援を行うとともに、成長戦略と分配戦略により、新しい資本主義を起動していくものだ」と説明しているが、内容の精査がおろそかになった可能性はないのか。

「今回の経済対策により、新しい資本主義を起動していく」と述べた岸田首相
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子どもへの給付金「適切」は19%

経済対策の目玉である18歳以下の子どもへの1人10万円相当の給付は公明党の公約だった。「バラマキ」批判に配慮し、親の年収に960万円の所得制限を設けたが全体の約9割に給付される。また、所得が低い住民税非課税世帯への10万円支給は自民党の公約を踏まえたものだ。

18歳以下への給付をめぐっては、自民・公明両党の幹事長間で協議が行われ、開始からわずか3日でスピード決着した。本当に困窮している人への支援は必要だが、「票集め」のための公約がそれほど深く議論されないまま、現実の政策として実施が決まったことに納得がいかない人も多いのではないだろうか。

FNNの世論調査では、この給付について「適切だ」と答えた人は19.6%にとどまっている。「子どもに限った給付は必要ない」が33.7%に上り、「所得制限を引き下げるべきだ」が27.1%、「所得制限を設けず一律に給付すべきだ」が16.9%という結果だった。

FNN世論調査より(11月13,14日実施)

評判の良くない「子どもへの給付金」だが、衆院選では自民・公明両党だけでなく野党側も競うように「バラマキ」とも言える公約を掲げていた。立憲民主党は低所得者への年12万円の現金給付、国民民主党は国民1人あたり10万円を一律給付し、低所得者には10万円上乗せすると主張した。そんな「バラマキ合戦」を受けて策定された経済対策。政府・与党としても給付金政策を実行に移すことにさしたる抵抗感はなかったのではないかと推測する。

見据えるのは来夏の参院選

自民党内で財政出動の拡大を求める意見が強まったことも過去最大規模の経済対策の策定を後押しした。党内最大派閥の会長に就任した安倍晋三元首相は過去最大級の思い切った財政措置が必要だと訴え、高市早苗政調会長が取り仕切る政調全体会議では大規模な財政出動を求める意見が大勢を占めた。

過去最大級の思い切った財政措置が必要だと訴えた安倍晋三元首相

自民党が見据えるのは参院選だ。衆院解散のタイミングにもよるが、来年夏の参院選を乗り切ればその後3年間は国政選挙がない。岸田首相にとっては、参院選での勝利は長期政権に向けた基盤固めにつながる。「大盤振る舞い」への環境は整っていた。政権に対する期待を高める手段として積極財政を働きかける自民党内の声は、来年夏に向けますます強まりそうだ。

検証が必要なGDP押し上げ効果「5.6%」

内閣府は今回の経済対策がGDPを5.6%押し上げる効果があると試算した。だが、市場関係者の間にはそこまでの効果はないと見る向きが多い。個人や中小企業向けの給付が中心では経済成長につながりにくいというのが主な理由だ。

野党幹部からも内閣府の試算に否定的な意見が相次いだ。BSフジ『プライムニュース』に出演した日本維新の会・浅田均政調会長は「去年の1人10万円の特定定額給付金だって7割は貯蓄に回った。5.6%なんてとんでもない話。1%から1.5%の効果しかないと思っている」と指摘。

日本維新の会・浅田均政調会長(BSフジ『プライムニュース』より)

同じく出演した立憲民主党の大串博志役員室長も「民間の試算はだいたい1%から3%ぐらいのGDP効果。(内閣府の試算は)3~4倍の大きさで、かなり大きな数字になっている」と疑問視している。

 立憲民主党・大串博志役員室長(BSフジ『プライムニュース』より)

「盛っている」のか、「盛ってない」のか。答えはいずれ明らかになる。

臨時国会で議論を尽くせ

政府は経済対策に伴う予算措置として、2021年度補正予算案に31.5兆円を計上する。岸田首相は内閣記者会のインタビューで「財源は赤字国債をはじめあらゆるものを動員する」と説明した。財源の大半は国債でまかなうことになるのだろう。「本当に実効性のある内容になっているか、予算審議の中で厳しく問われなければならない」。立憲民主党の大串氏は内容を厳しく精査すべきだとの考えを強調した。

補正予算案を審議する臨時国会は12月6日に召集される見通しだ。十分な時間を確保した上で徹底審議を行い、本当に有効な予算かどうかをしっかり見極める場になることを期待したい。

【執筆:フジテレビ 解説委員 安部俊孝】

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