線維筋痛症は原因不明の激痛が全身に生じる病。
レントゲンや血液検査では異常が確認されないため、「本人の自覚症状」などをもとに診断される。
女性がかかりやすいとされており、国内の推計の患者は200万人(厚労省の調査より)。日常生活を通常通り送れる人もいる一方で、ほとんど寝たきりの人もいる。

「痛い」と「熱い」がわからなく火傷に

では、線維筋痛症にはどんな辛さがあるのか。21年間、この病気と闘い続けている岩手・盛岡市の女性に話を伺った。

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線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
(新型コロナの)ワクチンを打って、痛くて腕が上がらないっていう話を聞くが、その痛くて上がらないというのが、全身至る所にあると説明している。指先とかにも

齋藤茂登子さん(59)。線維筋痛症の中でも重症度が高く、2週間に1度、全身の約20カ所に痛み止めの注射を打ちながら病と闘っている。

線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
ご覧になってわかるように服も年中こんな感じ(薄着)。これ以上は重みで着れない。重みとこすれで痛い

歩くことも痛みにつながり、通院を除けば ほぼ全ての時間を自宅で過ごす齋藤さん。ホームヘルパーによる調理や入浴の補助を受け生活している。特に調理ができないのには理由がある。

線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
「痛み」と「熱い」っていうのが区別がつかない。常に痛いので、熱さを感じなくって火傷をしてしまったことがあった

発症したのは、息子が中学1年生の時の2000年11月。突然、自宅で全身の激痛に襲われて意識を失い、病院に運ばれた。

しかし、レントゲンや血液検査による診断の結果は「異常なし」。その後も症状が続きながらも、「線維筋痛症」と診断されたのは、6年後のことだった。
原因のわからない痛みに悩まされ、当時は自分を責めたという。

線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
それまでの自分の人生で何か自分が悪いことをしたから、こんな激しい痛みで苦しむ、罰なのかな(と思った)

線維筋痛症に詳しい盛岡市の医師・白沢榮嗣さんは、患者は真面目で実直な人が多く、「強いストレス」で「神経」に問題が生じることが発症要因の一つと分析している。

白沢整形外科医院・白沢榮嗣医師:
痛い場所が悪いわけではない。普通の人は「痛み」が脳に行かないように抑制する(神経の)回路があるが、その回路がうまく効いていないと言われている

診断の基準は全身に満遍なくある18カ所の「圧痛点」を指で押して、11カ所以上で「強い痛み」を感じ、かつ3か月以上体の広範囲にズキズキとした痛みがすることの大きく2つ。

しかし、いずれも「自己申告」が判断材料となることから「偏見」に苦しむ人もいる。

白沢整形外科医院・白沢榮嗣医師:
健康に見えるので、「サボっているんじゃないか」「怠けているんじゃないか」と。そういう風に見られて、患者さんは苦労されていると思う

痛みを完全に消す治療方法が確立されていないというこの病気。
では、どう立ち向かえばいいのか。白沢さんは、自分なりの「楽しみ」を見つけることが大切と話す。

白沢整形外科医院・白沢榮嗣医師:
美しい絵を見たり、好きな音楽を聴いたり、そういうことをすると色々な意味で痛みは軽くなる。情動(感情の動き)と痛みの回路は関連しているので、そこをうまく利用することが大事

理解を得られるよう発信する立場に

小さい頃は作家を目指していた齋藤さんにとって、それは「書くこと」。ペンを握るのにも痛みを伴うが、試行錯誤のうえ、病気以前にしていた新聞への投稿などの執筆活動を2017年から本格的に再開した。

そして、2年前に自身の人生を振り返る本「巡り合う私」を出版した。

「巡り合う私」より:
痛みは目には見えません。だからこそ、痛みの重さを図れる心で支え合う

文通を通じてエールを送り続けてくれた短期大学時代の教授や、いつでも母を気にかけてくれる仙台で暮らす息子。周りの人への感謝の気持ちをつづっている。

線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
支えとか、お気持ちとかをいただいて、自分の力が湧いてくる。目に見えないもので生かされるし、動かされている

病気に負けず、自分にできることに励む齋藤さんに、周囲の人も心を動かされている。

訪問ヘルパー・藤井しのぶさん:
(齋藤さんの文章は)心に映像が見えてくるよう。元気や励みになっている

訪問看護師・只野和子さん:
視点が前向き。そこが齋藤さんのたくましさ

子どもから高齢者まで、幅広い年代の人を悩ませる「線維筋痛症」。21年間、痛みと戦い続ける齋藤さんは、少しでも理解を得られるよう、これからも自分なりに発信していく。

線維筋痛症患者・齋藤茂登子さん:
(痛みは目に)見えないからと言って、それはないんだよとか、あなたの気のせいだよとか、努力が足りないとか、頑張りが足りないよっていう、それですませてしまわない。周りの優しさとか思いやりが広がっていけばいいなと思う

(岩手めんこいテレビ)