政府は、財政支出が過去最大の55.7兆円となる新たな経済対策を決めた。分配政策を柱に据え新型コロナ対策や経済回復策などが盛り込まれたが、給付への不公平感や赤字国債の追加発行による債務拡大などに懸念の声もあがっている。

BSフジLIVE「プライムニュース」では与野党の政策責任者を迎え、対策の効果と課題を徹底議論した。

約56兆円の経済対策は「岸田政権の当初予算」? その効果は

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新美有加キャスター:
11月19日に閣議決定された政府の経済対策、主な内容と財政支出の規模について。財政支出は総額55.7兆円で過去最大です。この評価は。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
選挙の際に政権公約として掲げ、今回出来上がったもの。今後のコロナの抑制、感染拡大の時期が来たときの対応の改善。併せてコロナを機に、未来のために新しい国民生活を作っていくための将来への投資や、さまざまな分野で成長を促す投資をするという予算組みです。

竹内譲 公明党政調会長:
純粋な国費ベースでは31.9兆円、残りが繰り越しや財政投融資など。妥当な規模。我々がマニフェストで訴えてきた内容がほぼ網羅されており、十分な内容だと思う。

大串博志 立憲民主党役員室長:
規模ありきで作った経済対策に見える。本当に実効性のある内容になっているか。

浅田均 日本維新の会政調会長:
これまでにない大規模なものをという意味では公約が守られたとは思う。しかし、補正予算は緊急のものに限るべき。今回、新型コロナと8月の大雨の対応以外のものも含まれている。本来ならば本予算で出されるべき内容が入っているのが問題。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
金額ありきではなく、必要なことを今やらなければという考え。これでも十分ではないが、何年もかけてやる予定のものについて、一挙にまず頭出しをする。これは補正ではあるが、16カ月予算。平時には当然、補正予算と本予算を区別してやってきたが、今回はまず間違いなく有事であり、時代の切り替わり時。

新藤義孝 自民党政調会長代理

反町理キャスター:
イメージとしては「岸田政権の当初予算」みたいな?

新藤義孝 自民党政調会長代理:
そうです。

大串博志 立憲民主党役員室長:
そこが問題。今後の予算の頭出しとして補正予算を使うのは、政策の機能として一貫性を欠く。本来であれば本予算でやるべきもの。日本の財政全体の信認を欠くことにもつながりかねない。

反町理キャスター:
内閣府は毎回、補正予算の経済効果の数字を出す。今回に関しては、GDPへの効果として5.6%押し上げるという試算。この数字をどうご覧になりますか。

大串博志 立憲民主党役員室長:
「かなり盛ってるな」と。民間の試算ではだいたい1~3%ぐらい。真水分の31兆円が丸々需要を押し上げたとして、やっと出てくる数字が6~7%ぐらい。普通、それはあり得ない。

大串博志 立憲民主党役員室長

浅田均 日本維新の会政調会長:
1993年以来、日本のGDPはほとんど変わっていない。5.6%なんてとんでもない話で、1~1.5%の効果しかないと思っています。

竹内譲 公明党政調会長:
内閣府は従来と同じやり方で試算している。この経済対策がなければ発生する可能性がある、経済の下振れを押しとどめる効果も含んだ計算。ほぼ合っていることは間違いない。

ガソリン元売への補助金は消費者にとっての値引きとなるのか

新美有加キャスター:
エネルギー価格の高騰対策。12月から2022年3月までの時限措置として、政府はレギュラーガソリンの全国平均の価格が1リットルあたり170円を超えた場合、元売に1リットルあたり最大5円を補助するという補助金を導入します。

大串博志 立憲民主党役員室長:
元売への補助金が、本当に小売でのマイナス5円につながるのか。税を臨時的に下げるならば直接、消費者が利益を受けることができる。

反町理キャスター:
トリガー条項と呼ばれる、ガソリン税の上乗せ分25.1円をそのまま抜く形?

大串博志 立憲民主党役員室長:
それは別物。リッター160円が3カ月続かなければ発動しない。

浅田均 日本維新の会政調会長:
私たちは方法のひとつとして、トリガー条項の凍結解除を目的とする法案を国民民主党と一緒に出す準備をしています。供給者より消費者を優先させるべき。だから今回の補助金には反対。消費者にクーポンを配るといったことなら賛成。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
今回の補助は緊急避難措置。地域における実際のガソリン価格のモニタリングと公表も考えています。

公明・竹内氏「10万円給付は経済対策ではなく子育て・教育政策」

新美有加キャスター:
「18歳以下に10万円相当の給付」については、「児童を養育している者」の年収が960万円未満の世帯との制限がつきました。公明党は18歳以下への一律給付を公約としていたが、竹内さん。

竹内譲 公明党政調会長:
これはいわゆる経済対策ではなく、子育て・教育政策。我々は子どもの幸せを最優先する社会を目指す、社会全体で子育てをやるという考え方。できる限り子どもは平等に扱うため一律給付を主張していた。そこは自民党さんとの話し合いの中、やむなしと。

竹内譲 公明党政調会長

大串博志 立憲民主党役員室長:
政策目的と政策内容が乖離していると思う。子どもを社会全体で育てるというのは正しいが、ならば補正予算の一回で終わるのではなく、本予算で毎回やるべき。一回だけではみなさん貯金してしまう。

竹内譲 公明党政調会長:
本来はそうしたいが、財源をいきなり確保はできない。しかし、妊娠・出産から大学卒業までの段階を支援するトータルプランの一里塚としたということ。

浅田均 日本維新の会政調会長:
まさしく自公の妥協の産物。子育て支援と言うならば所得制限があることがおかしい。困窮者支援ならば、もっと厳しく所得を制限するべき。

浅田均 日本維新の会政調会長

竹内譲 公明党政調会長:
複数の目的を持たせることも効率的。教育政策なのだが、暮らしの支援という効果も重ねてある。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
政策効果を上げるためにはスピードが重要。今回は迅速にプッシュ型で行うが、困っている人にすぐ手当てするルートがない。私はずっとマイナンバーカードの政策をやってきているが、電子化を進め、素早く支援できる仕組みを作る。銀行口座と紐付けをすればマイナポイントがつく施策もその一環。

大串博志 立憲民主党役員室長:
皆さんが自発的にマイナンバーカードに登録されればいいが、なかなかそうなっていない。いったん給付をして、高額所得者の方に関しては渡した分が税で国に返ってくるという考え方で、所得制限的な要素を持たせるという考え方も必要。

基礎研究は国主導で 世界に投資される国となるために

新美有加キャスター:
岸田政権の目玉政策でもある「新しい資本主義」の成長戦略について。科学技術立国に向けた10兆円規模の大学ファンド、デジタル田園都市国家構想、経済安全保障として先端半導体の生産拠点の国内立地などが盛り込まれています。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
コロナをきっかけに、革命的に速いスピードで国を変えようという気持ちを持って作っています。

浅田均 日本維新の会政調会長:
アメリカの経済対策を見ると、単に115兆円という規模だけでなく、5Gや6Gに向けた通信インフラの整備、そして再生可能エネルギーへの移行を踏まえた電力網の整備と、次世代の姿が見えてくる。日本は見えないことが残念。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
問題は、日本には世界の投資が入ってこないこと。また企業が国内競争ばかりして、世界でまったく太刀打ちできない。研究開発でも、政府は種金を出すが、そこに世界が投資してこなければ勝てない。そのビジネスモデルができない限りダメ。日本は優秀な人たちがたくさんいるのだから、研究と実用化・実装することを結びつけるビジネスモデルを。

浅田均 日本維新の会政調会長:
ただ、国が主導したものはみな失敗してきた。僕らは民間主導でやってもらいましょうという考え。

大串博志 立憲民主党役員室長:
一方で、基礎研究はお金にならないから、国がきちんとやってそれを民間につなげる流れが大切。アメリカでもインターネットの基礎は国が作った。科学技術に投資するのなら、どかっと投資するという方向性を国として打ち出すべき。

財政健全化を無視してはならない。円安に注意

新美有加キャスター:
財政健全化への道筋について、お考えは。

新藤義孝 自民党政調会長代理:
財政を健全化することは国の根本。だが、1年2年で行うことではない。お金は出すべき時に出し、それを新たな成長を生み出す投資にしていかねばならない。プライマリーバランスを含めて、最終的にどうそれをバランスさせるかは常に考えている。そこを無視して国債をいくら出しても大丈夫とは一切考えない。

大串博志 立憲民主党役員室長:
コロナ禍の財政においては少々思い切ってやるべき。一方で財政健全化への姿勢は絶対に崩してはならない。今は円安に振れているが、通貨の信認に関わる時期になっている可能性もある。

竹内譲 公明党政調会長:
もちろん政府として財政健全化は大事なこと。ただしこの20年、いつも財政再建主義が出てきて経済の再建を潰してきた。経常収支、対外純資産、外国からの借金などを見れば、日本はすごく財政のいい国。だが油断はできない。物価高には気をつけなければ。

BSフジLIVE「プライムニュース」11月23日放送